選句の感想(後半4句)
遅くなりましたが、いただいた句の感想を書きました。
森更けてなほ蜩の鳴き止まず (森野)
「森更けて」という表現が素敵と思いました。夜になっても森から蜩の声が聞こえてくる、それだけのことしか書いていないのですが、句を読み終えた瞬間にすっと山に連れていかれて、森から吹く清涼な風を感じたような気がしました(感じたことを上手く言えなくてすみません)。
手花火のじじと弾けてみな終る (かをり)
最後に少しだけ光って燃え尽きる手花火。「じじ」がいいですね。手花火で遊ぶ楽しい時間が果てた後の寂寥感…。今年の夏ももう終わりです。
蛍の点滅闇を争はず (ナチーサン)
「闇を争はず」という言葉に、はっとさせられました。蛍の光の点滅はメスに対するアピール合戦と思っていました。私も、競ったり、争ったりするのが好きなヒトの一人と気づかされました。
藍浴衣男嫌ひをとほすかな (えっちゃんあら)
すでにえっちゃんあらさんが句の背景を説明されていますが…。藍染の浴衣がハンサムな女性によく合っていると思いました。
ナチ―サンさん
私は、まちまちに蛍が光って飛んでいる光景を思い浮かべていました。
蛍は同調して光るのですね。読みが浅くてすみません。
コメントを読んで「闇を争はず」がますます心に滲みてきました。
にゃんこさんへ
蛍の点滅闇を争はず (ナチーサン)
拙句へ鑑賞いただき有り難うございました。この句テレビを見ていての句ですが、どこでしたかほたるの里で無数の蛍が揃って発光を止めその間一瞬の闇の静寂が、それが規則正しく繰り返される状況に心打たれ詠んだ句です。これも子孫を残す生物としての蛍の営みの現象でしょうか。この規則正しい点滅の現象に暫し心を奪われてしまいました。