選句鑑賞
12 枯草を束ねて結ぶ通学路 (尾花) 2
この句当初は意味が解りませんでした。通学路、枯草と思いを巡らせるうちに雪に至りました。雪と言えば北海道。やっと枯草に結びつきました。雪景色が醸し出す風景、住民の知恵等新鮮に映りました。自解を!
14 大阿蘇の枯れて尾花の風となる (森野) 4 ◎にゃん、
大きな句ですね。枯れ芒の大草原、風が阿蘇の山山を吹き抜けています。現地に立たねば出来ない句。作者も大自然に取り込まれ一体になっているんでしょう。
31 埋火やあいまいに生くこれよりは (あんのん) 5
達観でしょうか。人生経験を重ねた上での。あいまいとは幾通りにも解釈できることと辞書にあります。「あいまいに生きる」と宣言した作者ですが上五の季語が微妙。 私は「自然体」をモットーにしています。
42 診察は旅の話しや冬うらら (ダイアナ) 10 ◎てつを、◎弥生
田舎の診療所でしょうか。何代かお世話になった医者。患者の健康状況は全て把握しています。後は現状を診るのみ。つい話し込む。次の患者も巻き込んで。折しもうららかな初冬、長閑に時は流れます。
56 襖絵の虎の眼や山月忌 (馬渡谷) 2 ◎ナチー、
この句の山月忌が歳時記を見ても分らずネットで検索、小説家で「山月記」の作者中島敦の忌日と分りました。人間の獣性や自尊心と後悔、
才能と努力などをテーマに中国の古典や南洋の文化に材を採った作品を発表、病弱で昭和17年36歳で他界しています。山月忌を取り上げた作者の見識に敬意を表し特選に戴きました。一度襖絵を観たいものです。
ぜひ自解を!
ナチーさん、枯草の句の鑑賞をありがとうございました。
とても想像力が豊かできれいな景を描いていただき脱帽です。でも?
私の住んでいる武豊町の狭い道ですが(通学路)道路脇に茅花のような枯葉がずっと続いてるところがあり、その葉をその場所で束ねてクルッと丸くして結ぶ。2~3メートルおきに15~20くらいあったでしょうか・・・! 誰が何のためにそうしたのか解らないのですが、多分中学生が下校時、お友達とおしゃべりしながら遊び心で作ったものではないかなーと思いました。別れを惜しんで道草をしていたのではないかと。
後日ある方に聞いたのですが、それを作っていたのはかなり高齢の男性だったということで、私の「中学生の道草」説は間違いだったようです。すみません。
拙句 襖絵の虎の眼や山月忌 特選で取っていただいてありがとうございます。12月5日が投句の始まる日で中島敦の忌日だと思ってなんとか句にしたいと思いました。忌日は12月4日で一日間違えました。没年33歳です。虎の絵は兵庫県の香住の大乗寺(応挙寺)に応挙の虎の間があります。応挙は虎を見たことがないので猫を見て描いたという話が残っています。中島敦の忌日は敦忌または山月忌みたいです。代表作は李陵ですが歴史上実在の人の名を取るわけにもいかないようです。山月記は心の葛藤が人間を虎に変える話だから虎のまなこではつき過ぎかも。全集は北村透谷と中島敦しか持っていない。あるときふと透谷は若くで縊死、敦も33歳と思ってなんか怖くなって遠ざけたまま。