MENU
735,788

スレッドNo.6544

アイビー の俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1

枕木も朽ちて廃線冬ざるる (森野)
季語「冬ざれ」の本意通りの使い方は、外連味が無く好感が持てる。おそらく復活されることもないであろう廃線。廃線の枕木がボロボロに朽ち果てている。その様子を「冬ざるる」と言い留めた作者。こうやって詠めば俳句になるんだよ、と教えられたような気がする。

寒いよーJapanの家は地獄かな (ラガーシャツ)
兼好法師が「徒然草」の中で述べているように、日本の家屋は、夏向けに造られているそうだ。寒さはどうにか凌ぐ方法があるが、夏の蒸し暑さは凌ぎようがないという内容である。それでも今日の次元から言えば、防寒対策はお粗末というほかない。まして、外国から来た人々には、地獄に思えるのだろう。外国人の口調を借りて、「Japanの家」と言ってみたり、全体に「舌足らず」の感じを入れて工夫したのが効果的。

寒紅を引きて女は強くなる (ABCヒロ)
「寒紅」は寒中の作られた口紅のことで、品質が良く色鮮やかに引けるので重宝される。女の人は、特に何事かを決意した時に朱の口紅を引くと、今までのモノトーンが、紅の朱に染まり一層鮮やかさを増す。その様を「女は強くなる」と言い留めた作者の感性は鋭い。 

父の癖思ひだして冬至柚湯 (えっちゃんあら)
何気ないときにひょいと飛び出す癖。誰にもある癖だが、故人となると、「そう言えば、あんな時に決まってする癖があったなあ」と、思い起こす。そんな癖のある亡父を懐かしく思い出す作者。亡父への懐旧の念が滲み出た佳句だが、「字足らず」になったのは残念。「字余り」は字余りを狙って作る場合もあるが、「字足らず」の句は避けるのが無難と思う。「亡き父の癖思ひだす冬至風呂」

広告に溢れるおもちゃ十二月 (弥生)
12月の声を聞くと町は歳末商戦一色である。クリスマス、正月と子どもたちにとって楽しみな行事が目白押し、そこに目を付けない玩具メーカーはない。かくて、デパートの玩具売り場は、どこもかしこもゲームに玩具と商戦に熱が入る。そんな歳末風景を早速俳句にした。

人は人吾は吾だと冬将軍 (コビトカバ)
解釈の仕方によって様々に解釈できる。一応「人は人吾は吾だと」と繋がっているから、そう考えているのは冬将軍自身ということになる。もし、切れていれば、冬将軍以外の誰かが主体となる。切れのあるなしで句の解釈がまるで違ってくる。このあたりが、俳句の怖さであり魅力でもある。是非、同一のテーマで、切れを入れて作って欲しいように思う。

初雪や音なく過る鳥の影 (馬渡谷)
今年は夏の暑さが異常なほどで、その分暖冬になると思いきや、冬は例年通りに寒いと聞く。なんか損した気分になる。というのは冗談。雪が積もると、あたりは静寂が支配する世界に変わる。これは誰しも経験があることだろう。一面の白い静寂に、鳥影が動いた。見事なのは中七の「音なく過る」の描写で、静寂の世界を雄弁に語って、間然としない。

佇めば風吹き抜ける松手入 (ヨヨ)
「松手入」は秋の季語とされる。おそらく作業が終わった後の情景を詠んだものと思われる。庭の手入れも済んでほっとした瞬間、一陣の風が庭を吹き抜けた。心なしか、風も清々しい。これは経験豊かな職人の仕事に違いない。素人では、そうはいかない。

以下次号、不定期掲載。

引用して返信編集・削除(未編集)

アイビーさん、おもちゃの俳句の鑑賞ありがとうございます。
近頃はクリスマスと言っても特別何も欲しがらない子供も多いのだとか。
つまり、既に買って貰っているからです。
広告を見て目をキラキラ輝かす子供も減ったのでしょう。
今や広告商戦は空振りかも知れません。

弥生

引用して返信編集・削除(未編集)

アイビー様鑑賞ありがとうございます。きゃっ字足らずで失敗😵💧でした。亡き父の癖思ひだすや冬至風呂。ありがとうございます。

引用して返信編集・削除(未編集)

このスレッドに返信

ロケットBBS

Page Top