アイビーの俳句鑑賞 その3
アイビーの俳句鑑賞 その3
お年玉ぽいと投げ捨て反り返る (古市)
お年玉を渡す際に、いちいち教訓を垂れる人がいる。作者はこれと真逆のタイプのようで、邪険にポンと放り、「欲しけりゃ持ってけ」という顔をする。照れ隠しというか、偽悪ぶりも極まった。お年玉を貰う方にしてみれば「またいつも儀式が始まった」ぐらいに受け止めている。孫への愛情が無い訳ではなく、愛情の裏返しの表現なのだ。
鶴万羽眠り付きゆく出水の野 (森野)
鹿児島県の出水市は、鶴の飛来地として知られる。万羽の鶴が眠るということだが、想像を絶する壮大さだ。視界すべてが鶴で白の世界が果てしなく、一大景色だ。特異な題材をうまく処理した印象。ただ、秋の季語・出水(でみず) と紛らわしいので、「出水」にルビを振ってはどうか。
初春や笑いが絶えない麻雀卓 (みにょん)
麻雀仲間を和気藹々と詠んだ句。ひと昔なら麻雀と言えば、賭け麻雀、テツマン、煙草の煙もうもうの不健全の代表みたいな扱いを受けてきたが、当節は様変わりだ。家庭の主婦を対象に、多くは自治体が音頭を取っての「麻雀ブーム」とか。楽しく健康的な麻雀を外連味なく詠んだ。
ハヤブサの如き自転車冬休 (ヨシ)
猛スピードでやってくる自転車、運転するのは中学生と思しき若者のようだ。何処となく精悍な表情をした若者だ。身のこなしでも俊敏そうだ。一体に物分かりの良さそうなマイルドな若者が増えた昨今珍しい部類の若者だ。こういう若者をハヤブサに喩えた。猛禽のハヤブサである。作者はそれを好ましいことと思っている。
百四歳に孫の献身年守る (ふうりん)
どういう状況か分からないが、104歳の老親族に懸命に尽くす孫。「年守る」は大晦日の夜、家族が揃って新年を迎えることを言う。孫も勿論、寝ずに夜を徹したに違いない。自分も連綿と繋がる家系の一員であることを確かめながら。そして、老親族の健やかな余生をな念じつつ。
まあ今月も無点句が出てしまった。どこをどう直せば良かったのか、皆さんと一緒に考えてみたい。
御慶とて烏にカアと申すなり (無点句)
この句がどうして無点なのか分からない。洒落っ気もあって、冗談が分かるおじさんのなぜいけないのだろうか。ま、俳句の正統派でないことは確かだろうが…。
初詣どつと神宮の最寄り駅
全体に大人しすぎる印象だ。もっと踏み込んで良いと思う。「初詣神宮前で皆降りて」
七草や無病を祈る朝の粥
「無病を祈る朝の粥」は歳時記のままを写した印象。季語を説明しても仕方がない。というより季語は、「七草粥の概念が全部含まれている」と考えれば良い。「季語を説明するな」という格言がある。
小晦日のし餅買ふて急ぎけり
小晦日は旧暦の12月30日のこと。年末の用意をする日。少し前の時代から江戸時代を詠んだ句と思われる。庶民のその日暮らしが当然だった江戸時代と、現代の飽食の時代とでは、餅一つとってみても価値観が違う。餅が無ければ麺類でと、いう訳にはいかない。時代と分かる仕掛けが欲しかったように思われる。
初春や箸袋には鶴亀画
目出度い鶴と亀。ややパンチ不足の感。「初春の箸袋にも鶴と亀」
賀状来る安全願ふ左馬
お金が溜るようにと「左馬」の年賀状が来た。馬を左向きにさせ「うま」が「まう」
というシャレだが不発に終わった。肝心のシャレの意味が分からないことにはどうしようもない。
アイビーの俳句鑑賞:完了
アイビーさん、ハヤブサの句を鑑賞して下さりありがとうございます。私は生き生きとした少年の姿が好きで、この時も車で信号待ちをしていたのですが、4、5人が自転車でピューっと来て全身から楽しさとエネルギーが感じられ見ている私までワクワクしました。うちは娘3人なので男の子に憧れがあります。
だけど思春期の少年限定です(^^)
アイビーさん、
鶴の句の鑑賞をありがとうございました。
万羽の鶴の飛来を受け入れるって凄い事ですよね‼ 出水に住む夫の従姉妹に見に行こうって言ったら、鶴はわざわざ見に行くものではないよって言われましたが、いざ飛来地に行きましたら一言、凄いねって言っていました。 車で10分程の所に住んでいながら始めてなんて‼ そんなものなのかな~と‼ 夫も従姉妹も隣町育ちで子供の頃から見ていたそうで、そういえば鶴のついた地名がいくつかあるな~と思い出しました‼
汀子先生の句碑を写メにおさめながらこれが最後かな~と思い鶴を見て来ようと思います。
ご指摘のように「でみず」と紛らわしいときには「いずみ」とルビを振ったほうがいいですね。ありがとうございました。
古市さん、
反り返るの句、私はご説明の通り受け取りました😃まだ、お年玉に興味ない年齢の子に渡して、その時機嫌が悪く反り返ったんだな~と😃
御慶の句、一読で笑えました❗️
候補に入れておいたのですが、六番目になりました😅🙏楽しかったです❗️
参った。 お年玉ぽいと投げ捨て反り返る お母ちゃんに抱かれている赤ちゃんにお年玉を握らせてやる。ありがとうはと言われて頭をこくんと下げる。それから持たされたお年玉の袋をちょっと見てポイと投げてお母ちゃんの腕の中で反っくり返る。あるあるの風景だと思ったけどなあ。こっちは反り返るとひっくり返りまっせ。それから 御慶とて烏にカアと申すなり
狭い芝生にカラスが着陸、サンルームのわてに向かってチョンチョンと来た。てっきり正月の挨拶に来たと思いおめでとうと言おうとしてカラスがわからないかもと カアといってやった。
烏は一瞬目を合わせ首を振って飛んでいった。世界はドラマに満ちている。