選句鑑賞
11 七輪に秋刀魚焼く子と皿持つ子 (玉虫) 4
良いですね。この楽しい雰囲気。七輪とありますから過去の思い出かな。姉弟、姉妹、兄弟、兄妹のどの組み合わせかな。それとも複数か。昔は子沢山でしたからね。それにしても秋刀魚も高級魚の仲間入りをしたようです。
13 箒草日に恥じらふて朱に染まり (淑子) 1
箒木、箒草、ははきぎ・・・「ユーラシア産、中国から草箒用として渡来した。晩夏淡緑色の小花を付ける。次第に小花まで赤みを帯びて美しい」と辞書にありました。季語は夏。絵を見るとまさに正に木だが見かけたことがあるような気がします。今が花時でしょうか。「日に恥じらふて」と言い止め一句に仕上げています。箒になった姿を見たいものです。
41 太陽も風も鋤き込み秋耕す (ヨシ) 6
「太陽も風も」大きいですね、句柄が。大自然を漉き込んでいる土塊。豊作を予感させます。多くの共感を得ました。特選を迷った句です。見習いたい句です。
50 母の目に光戻りぬ秋日和 (ふうりん) 4
4人の賛同を得ました。恐らく年老いた母でしょう。床の上で心配な状態なのでしょうか。その目に光が戻ったのだ。そのベットに秋の日差しが。希望の光です。一読切なくなります。特選に戴きました。
62 木葉髪この世に悔いも諦めも (てつを) 6
中7以降を上5に託した佳句と思いました。木の葉を辞書で見ると、本来の意味の他「小さいもの、取るに足りないもの、軽いもの」と出ています。木葉髪は辞書に出ていませんでしたが、枯れた、儚くなった髪と進み「深みを増した」に到達。人生を詠んだ深みのある句とやっと腑に落ちました。
64 晩秋の訃報に還る友との日々 (和談) 1
次々と訃報が続きます。例年10通は下りませんが今年はまだ5通、平均年齢は91歳。女性は皆無。殆どが顔も知らない元同僚の親です。同僚の多くが老老介護の生活を送っているようです。一方、中学生の折後にした田舎の友人もそろそろ欠け出しました。全員あだながあり本名が出てこないほど。ほとんどが漁師の子。ちなみに私は灯台守の孫。船に乗せてもらった思い出も多く訃報の度に句作に悩む次第。この句に出逢い目から鱗。字余りだが気になりません。
73 わが子には多く望まず新松子 (ABCヒロ) 4
撫子さんのコメントに思わず膝を打ちました。「この子は美人だし賢い、天才だ」と、 長女のことです。その後結婚し看護師の資格を取りましたが相手の浮気で離婚。その後鬱に。今手元にいて私達の世話をしてくれていますが中学生の孫娘も良くしてくれます。
子供は近くにいてくれるのが一番。この句新松子が切ない。