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スレッドNo.78

アイビーの感想その2

アイビーの感想その2です。

28端居して妻の繰り言聞き流す (轟さん)
素十の名句「端居してただ居る父の恐ろしき」を持ち出すまでもなく、端居の主は寡黙で少し難しい人物像を思い浮かべる。この句の端居の主は随分したたかだ。細君の愚痴とも繰り言ともつかぬ話を聞いている振りを装い、その実聞いてない。ときおり相槌を打ったりして破綻しないのは、もはや名人芸の域。かくして家庭内に波風も立たず、細君もストレス解消できて八方丸くおさまった。

39心太黒蜜かけて好きになる (無点)
心太のタレは酢醤油にゴマというのが昔から決まっているが、別にどう食べようと勝手である。作者は酢醤油の代わりに黒蜜をかけたら、これが葛切りの食感に似ていけるのだ。惜しくも無点句になったが、少し表現が大人しすぎたかもしれない。アイビー流に詠めば  黒蜜をかけ病みつきに心太

41手放せば子は噴水へ走り出す (ABCヒロさん)
見事最高点に輝いた。途中まで祖母と手を繋いできたが、視野に噴水が入った途端、祖母の手を振り切るように一目散に駆け出した孫。写真で言えば絶好のシャッタ-チャンスを逃さず捉えた句。流石というべきか。

43涼しさや大放水の黒部ダム (束束子さん)
作者の束束子さんばかりでなく、ギャラリーの私たちまで涼しくなる句だ。何の説明も要らない。ただ涼感に浸り、雄大な黒部のダムを思い浮かべれば、居ながらに旅行気分になれる。

44子守唄小さく聞かす団扇風 (杏さん)
何といっても「小さく聞かす」の楚辞が素晴らしい。扇風機ではなく団扇、子守歌を小さな声で優しく歌う、母親の
細やかな愛情を表現して過不足がない。

53夏座敷北前船に富みし店(たな) (ちとせさん)
同じちとせさんの 「梅花藻や澄める流れに浮き沈み」の句は束束子さんの絶賛の鑑賞があるのでそれに譲りたい。 
掲句は北陸地方を旅行した際、廻船問屋の旧宅を訪れたのであろうか。栄華を極めた豪商の佇まいの残る店舗兼住宅、まさしく夏座敷というに相応しい端正な風格。しばしタイムスリップして往古の偲ぶ作者。

61向日葵や出来るまでする逆上がり (玉虫さん)
一生懸命逆上がりの練習をする子。もう一寸のところで失敗を繰り返す子。あと一息で成功するのに。こうなったら途中で止められない。季語の向日葵との取り合わせが秀逸。
76綿羊の草食む大地雲の峰 (玉虫さん)
高点句。作者本人も気にしていたが、私は大地と雲の峰の取り合わせが正解だと思う。雲の峰を持ってきたのだから、大地という大きな舞台を用意すべきだろう。玉虫さんの二句は二句一章のお手本のような句だ。

以下次号、不定期掲載。

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 夏座敷北前船に富みし店
アイビーさんの感想、まさに富山港の岩瀬を訪ねた時の雰囲気を
もれなく解説して頂いて、ありがとうございます。
回船で栄えた問屋の住宅、梁の高い回廊、幾間も続く座敷、中庭
へと開け放たれて、しばし当時にスリップした感じでした。

 涼しさや大放水の黒部ダム(束束子さん)
訪ねた時のあの大放水を思い出し選句しました。
解説されたとうり涼しさが大放水です。

 綿羊の草食む大地雲の峰(玉虫さん)
いいですね、北海道の広い大地が目の前に広がり
そこに🐏🐏🐏雲の峰、清々しさに感服です。

結果発表の後の皆さんの感想や、アイビーさんの解説、感想、
色々な事を踏まえた温かな賛辞が楽しみです。有難う御座います。

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