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スレッドNo.252

上司は「タテの関係」か

Q0410 
 アドラー心理学で「タテの関係」「ヨコの関係」という言葉がありますが、上司がその立場を利用して支配的な態度をとることを言いますか?

A0410
 言わないですね。アドラー心理学は、アメリカでは結構軍隊で使われている。軍隊では上官の命令には絶対服従です。それはアドラー心理学が言う「タテの関係」とは違います。「タテの関係」というのは、どっちが上でどっちが下か、どっちが正しくてどっちが間違っているか。どっちがいい人でどっちが悪い人か、どっちが勝ちでどっちが負けかを決めようとしている関係のことを言う。これが定義なんです。軍隊では上官と部下は、どっちが勝ちでどっちが負けかとか、どっちが上でどっちが下か、どっちが正しくてどっちが間違っているかを決めようとしていません。そうではなくて、協同で敵に向かおうとしています。だから「ヨコの関係」です。会社でも、上司を引きずり下ろして、下剋上で、自分が次の上司になって、このおっさんやめさせてやろう」と思ってると「タテの関係」です。一緒にあるプロジェクトを成し遂げようと思っていて、態度が少々威張っていても、それは「ヨコの関係」なんです。言葉というものは、定義、どういう意味かということが決まっています。勉強嫌いな人が多いんですね。定義をちゃんと知らないで使っているんだよね、いろんなことに。例えば、今度「住民投票」が大阪であるんです。これはきわめて非民主的なんです。住民投票をするということは、民主主義に対する破壊活動なんです。なんでか?去年の10月にこの法案(大阪都構想か)は議会で否決されたんです。大阪都構想と呼ばれているこの法案は、昨年10月の大阪市議会で正式な手続きで否決されました。ところが、市長と公明党が裏取引をして、住民投票しようというのを議会に再提出したんです。公明党が入ったものだから、住民投票をするという条例ができちゃったんです。でも、この条例そのものが民主主義に対する侮辱ですよ。民主制というのは、議員さんを選んで議員さんに一切お任せするというのが民主制なんです。直接民主制というのは僕らの世界ではアナーキズム(無政府主義)と言いまして、民主制と言わない。これが政治学の定義です。そういうのをみんな勉強しないものだから、議会が決めるよりも住民投票のほうが民主的だとみんな思い込んじゃっている。あの民主党でさえ、この住民投票には反対なんです。民主党は住民投票が大好きなんですけどね。でも住民投票のほうが素敵だと思う、お勉強しない人がいっぱいいるんです。民主制というのは、「決める人を決める」という制度なので、「自分たちで決める」という制度じゃないんです。自分たちで何もかも決められません。私はわからないことがいっぱいあります。原子力発電所っていっても、技術は知っているんです。こうこうこういう技術と。でも原子力発電はいったい良いのか悪いのか、究極的に原子力発電でもって国家運営をすべきかどうかというのは、長い目で見ると何とも言えない。どっちとも言えない。たくさんの人が結局意見の一致は見られない。だから感情じゃなくて、宣伝じゃなくて、科学的な事実をきちっと並べて、時間をかけて議論していかないとしょうがないことだと思う。そんな科学的な事実を並べたり、時間をかけて議論していると、おまんまの食い上げになるんですよ。だから議員さんとか学者とかに、「それやってね」とお願いするのが民主制なんです。民主制とデマゴーク(衆愚政治、大衆洗脳)と区別してとらえないといけないけど、言葉をいいかげんに使うからよくわかっていない。「タテの関係」「ヨコの関係」というのも、中根千恵先生という東京大学の人類学の先生が、『タテ社会の人間関係』という本の中で書かれて、それがまた誤解されて、中根先生が言っている「タテ社会とヨコ社会」と、皆さん方が日常言っている「タテの関係・ヨコの関係」というのが違うもんですが、みんな勝手に言葉の意味をねじ曲げて使うんです。ねじ曲げて使うと言葉が通じなくなる。アドラー心理学では、「タテ関係・ヨコ関係」というのは、どっちが正しいかどっちが間違っているか、どっちが上かどっちが下か、どっちがボスかどっちが家来かを、お互い同士が決め合おうとして争う関係のことを言います。(回答・野田俊作先生)

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