子どものきょうだい喧嘩に夫の親から批判
Q
中学3年の男の子と小学6年の女の子とがよく喧嘩をします。それで、夫の両親から「私が何もしないからだ」と、トバッチリが私のほうに来ます。どうしたらいいでしょうか?
A
この人はいいお嫁さんでいたいんでしょうか、いいお母さんでありたいのでしょうか、どちらでしょうか?
これはときどき矛盾するんです。私だったら、いい嫁であるよりはいい母親であるほうをとるべきだと思う。だって、大きな声で言えませんが、お姑さんはもうすぐあの世に行かれますが、子どもはこれからあなたよりも長生きしますよ。だから、子どもの利益になる母親であるほうがいいと思う。悪い嫁である覚悟をまずすること。
僕たちの親の世代は僕たちより、もっとかわいそうでした。僕たちの親の世代はわれわれに間違った育児をしましたが、それは彼らの責任ではないのです。彼らは僕らよりもっと間違った育児をされましたから、僕たちのおじいちゃん、おばあちゃんは、僕たちの親たちを間違った育児をしましたが、それも彼らの責任ではないのです。それはひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんたちがもっと間違った育児をしたから。だから、お姑さんの世代というのは、僕たちよりもっと気の毒な世代です。僕たちよりも誤った信念をよりたくさん持っているんです。そして、あの人たちにわかってもらうというのはとても難しいんです。
わかってもらえるたった1つの方法は、僕たちが悪い嫁や悪い婿であることを一度覚悟して、子どもときちんと接してみて、確かに子どもが変わったということをおじいちゃん、おばあちゃんが納得してくれるときに、「ああ、このごろの若い人たちって口だけじゃないのね」って言ってくださるようになる……かもしれない。ならないかもしれない。
それから、お姑さんやお舅さんにこちらが競争して勝とうという意識がある限り、向こうも競争して勝とうという意識がありますから、われわれがすることに反対なさる。だから負けましょう。「バカな嫁です。バカな嫁ですが、育児に関しては私の思うとおりにさせてください」という線でいかなければしょうがないと思います。
それから、子どもの喧嘩のことですが、これは子どもの課題です。だから、子どもの責任において解決するしかない。学校でも家庭でも、子どもというのはしょっちゅう喧嘩をします。これはいいことです。喧嘩をするというのは、子どもにとっていいことです。ただ、喧嘩をしていて襖を破られたり、物を壊されたら困りますね。これはお願いするんです。「あなた方が喧嘩をするのは大いに結構なんだけど、家の物を壊さないでください」。
喧嘩をして大声を出してやかましいのは、それがイヤで迷惑だったら、共同の課題にすることができます。「静かに喧嘩してくださいね。もしも、どうしてもやかましく喧嘩したいんだったら、家の外でやってください」。公園とかでやってくれるんだったら、一向にかまわない。
「喧嘩をやめてください」とは言わない。「物を壊すのをやめてください」とか、「われわれに迷惑をかけるのをやめてください」という言い方をする。これは子どももわかってくれると思うんです。冷静に頼んでいればね。しかし、そのあたりのことをわれわれは分離できないんですね。われわれの共同の課題になるものとならないものとの分離をしなくてはいけない。(回答・野田俊作先生)