MENU
64,839

スレッドNo.345

素朴に素直になるには?

Q
 素朴になるため、素直になるために、どういう行動を積み重ねたらいいでしょうか?

A
 こんなことを考えている限り、きっと素直にはなれませんねぇ。僕たち精神科医が一番手こずる患者さんは、対人恐怖症の患者さんで、自分の顔つきが不自然だとか、目つきが不自然なので、何とか自然にしたいと思って来る人です。「私は顔つきが不自然なのでみんなに嫌われます。先生、どうしたら自然な顔つきになるのでしょうか」と言う。
 自然な顔をしようと努力すればするほど不自然になるんです。努力をやめさえすれば自然になります。でも、その人は自然になるためにあらゆる努力をするんです。で、ますます何が自然だかわからなくなる。これは、それと一緒です。
 素直に生きたいとか、素朴に生きたいとかという努力をしたらいけないんです。まず、「人間関係の正しい知識」を身につけることが必要だと思います。それから、急がないこと。それが醸し出されなくてはいけない。人から聞いた知識が頭に詰まっているという段階では、まだもうひとつなんです。
 例えば、アドラー心理学を学んだら、その学んだ知識が少しずつ時間をかけて体に染みついていくでしょう。その間は焦らないでくださいね。「できない、できない」と自分を責めないでいると、自然にできてくるんです。体に染みついてしまったら、それが自然になります。それには時間がかかる。何年もかかる。それはそれでOKです。心が自然にそのように動くようになるまで、ただボーッと待つことですね。
 禅の講話ですが、あるお弟子さんが悟りを開いたんです。それでお師匠さんに、「ついに悟りました。もう私は悟りましたので弟子を取って教えていいですか?」と言った。「ちょっとそれは早かろう。あなたが悟ったとしても、まだ人に教える力はないだろう。だから10年間まだ修行しなさい。そうすれば弟子をとって教えてもいいだろう」とお師匠さんが言った。すると、その弟子は10年間指折り数えて待っていた。早く自分も弟子を取って教えたくてしょうがない。ついに10年がたち、お師匠さんのところへ飛んで行って、「10年がたちました。もう教えていいでしょうか?」と聞いた。するとそのお師匠さんは、「君は今、下駄を玄関の右に脱いだか、左に脱いだか?」と聞いた。そのお弟子さんは覚えていないんです。10年を指折り数えて待つことばかりをして、普段の生活を全部忘れてしまっている。だから、悟ったこともいつの間にか全部ご破算になってしまった。10年間を数えないで焦らないでいたならば、きっと身についたと思う。
 知識を持つと早く人に教えたくてしょうがなくなるんですが、そういうことはやめましょう。自分の中でそれが醸し出されて、良い味になってくるのを待ちましょう。私(野田)が言ったことや書いたことを、そのままオウムさんみたいに、テープレコーダーみたいに言うのではなくて、自分の言葉になって自然に出るようになるのを待ちましょう。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)

このスレッドに返信

このスレッドへの返信は締め切られています。

ロケットBBS

Page Top