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スレッドNo.363

自分を勇気づける

Q
 「自分を勇気づける」とか「受け入れる」というのは、どういうことですか?また、どのようにしたらいいのですか?

A
 逆に、われわれが一番受け入れられないことは何かというと、年を取ることではないでしょうか。そう思いませんか?女性は顔にシミなんかできるとパニックで、30万円出してエステに行ったりします。なんで年を取るのがそんなにイヤなのか。私(野田)は自分で克服しました。考えてみると、むしろ年を取るのはすごくいいことだと、いろんな点で年を取ることの長所というか、プラスの面を見つけることができました。
 まず、確実に賢くなっています。そりゃそうです。それだけ長いこと生きていますから。20年とか30年しか生きていない人に比べたら、50年以上も生きているから、知恵が積み重なってきています。一方で物忘れも激しくなっていますが……。アドラーによれば、「覚えているのは必要なことで、忘れるのはいらないことだ」と言うから、「きっと忘れたことはいらないことばっかりなんだ」と思います。それから、最近性欲が下火になって、世の中が大変美しく見えるようになりました。これっていいですね。10代の後半なんか困りました。もともと元気な人だから、そのころはものすごい元気でね、アパートでひとり暮らしをしていましたが、駅からアパートまで20分くらいの距離を、夜、大学から帰るのに、前を若い女性が歩いていると、襲いそうで困りました。なるべく見ないようにして歩かないといけないくらい元気だったんですけど、このごろそんなこともしなくなって、女の人たちと平静にお友だちとしてたくさんつきあえるようになったし、色香に迷わなくなって実に良かったです。こんな美人ばっかりたくさん集まると、昔はクラクラっとしたんですが、今はしないです。もっとも、お客も僕と一緒に年を取ってきているから。
 それから、年を取るのがイヤだというのは、社会の流れの中で、社会に任せて生きるからイヤなんでしょう。例えば定年になるとか、世間のみんながしていることができなくなるという発想をみんながするんです。私なんか、年間だいたい80日から100日くらい出張していますが、最近ときどきちょっとつらくなりました。新幹線で博多とか東京とかへ行っていると、腰が痛かったりしてね、イヤだなと思うことがあるので、来年からはちょっと出張回数を減らそうと思っています。その代わり、大阪にいる時間は増えるから、大阪でできることは増えます。例えば、過去10年くらい、「登校拒否について書いてくれ」だの「劣等感について書いてくれ」だのという心理学関係雑誌の原稿依頼をずっと断ってきましたが、今年から引き受けることにしました。
 私は“7年周期”という変なものを信奉していて、「7年目ごとに人生は変わる」と強く信じています。嘘だとは思うんですけど、信じておくと7年目ごとに変われていいでしょう。48歳、56歳と変わりました。63歳には、都会を引き払って田舎で暮らそうと思っています。月に1回くらい大阪へジャーンと出てくると、すごい値打ちがあるでしょう。2泊3日くらいいて、また消えていく……。それから本をゆっくり書こうと思っている。そうやって、もしも自分の人生を自分で決めてしまうのなら、年を取るってすごくいいことで、年を取ったときにしかできない暮らし方がまたあるだろうと思います。
 私が言いたいのは、自分を受け入れるというのは、気持ちの問題じゃないということ、思い込みじゃないということ。自分の人生を自分で操縦していれば、受け入れる方向へ受け入れる方向へと操縦していけるし、人に任せておけば、受け入れられないことがいっぱい出てくるわけです。だから、毎日の暮らしから、今日1日どうやって暮らすかから、あの人と会うか会わないかから、買い物に行くか行かないかから、果ては人生全体をどうやって暮らすかまで、なるべく自分で決めよう。自分にとって一番いい方向へ、自分の貴重な時間を一番うまく使う方向へ動かしていこうということが、つまり自分を受け入れていく方向なんだと思います。
 年金の支給は、私なんか難しいと思います。昔、役所に勤めていました。退職のとき、「退職金ください」と言ったら、「退職金もらうと、あとで年金なくなりますよ」と言われた。「それ、何ですか?」と聞くと、「制度が変わって、退職金を一時払いでもらうと、年金がなくなる」と言うんです。「そんなの聞いたことないけど」と言ったら、「でも、そうなんです」と言われて、退職金をもらわなかった。その後、厚生年金に切り替わったけど、「厚生年金なんて、われわれが老人になったときに本当にくれるんだろうか」なんて心配すると、だんだん人生と自分が受け入れられなくなるでしょう。だからあんなものアテにしないで、自力で生きる。「クサレ年金なんかもらってたまるか」と思うと、自分を受け入れることができ、勇気が湧いてきます。政府に頼らない。友だちに頼らない。妻に頼らない。子に頼らない。「俺の人生は、全部何とかできる限りは手作りでやるぞ」と思っていることが、勇気を持って生きることだし、自分を受け入れていくことへつながる道だと思います。だから、「悪いあの人、かわいそうな私」をやらないためにも、まずもう少し人生を自分の手に取り戻してください。(回答・野田俊作先生)

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