強圧的な84歳の父
Q
84歳、ワンマンで神経質で通してきた父ですが、救急車をタクシーのように呼び、退院手続きが遅いというだけで、「お前何年婦長しとるんだ」と、婦長さんを怒鳴りつけます。病弱な母を、「あいつは病気には馴れている」と、ちょっと気に入らないと平気でこき使い怒鳴りつけます。ついつい足が遠のきますが、何か接し方でアドバイスを。同居している姉は、父がいるときには敷地内に出てこないそうです。
A
劣等感が強くなっているんですね。だから、そういうとても権威のある偉い人につきあうようにまわりがつきあえば、もっとおとなしくなるんです。そうでないようにつきあうから、「俺は偉くて強いんだぞ」と見せようとするんです。向こうがこうやって強圧的に出てきたときには、奉(たてまつ)っておくほうが多分有益なんです。いつも言いますが、親とかお姑さんとかいうのは「歩くご先祖様」なんです。「歩くお位牌」。もうすぐほんとのお位牌になります。もうすぐほんとの位お牌になりますとしょうがないから、毎日お茶もご飯もあげ、先祖供養するんですよ。せんわけにはいかんでしょう、死んでしまったら。それなら、生きているうちに先祖供養しておいたほうが御利益が大きい。先祖供養しないから、こうやって祟りがあるんです。みんな生きている先祖に供養しないんです。死んだらしてやるわと言っても、死んでしまったら「口」はないからね。死人に口なしで。お位牌になればかわいいもんですよ、どんなじいさんでも。お位牌になってからの先祖供養では御利益が小さいですから、生きているうちに「あれは歩くご位牌様」、「朝夕のお勤めがわが家の安全を生む」と、こうまず思う。そう思うと幾分腹が立たない。子どものほうは、うちはいつも「これはうちのペット」と思ったんです。ペットにしてはよくできている。糞の掃除もせんでええし、散歩も連れて行かんでええし、一応日本語言うと、まあ聞かんときもあるけど、わかっている顔をするし、まあかわいらしいペットだと思ってつきあうと、わりと心穏やかにつきあえます。やがて心がそう思わなくてもちゃんとつきあえるようになりました。親のほうはあれは「歩くご先祖様」。心の中で密かに思う。バレると怒るから。それで先祖供養だと思っていろいろします。是非、いっぺん試してみてください。(回答・野田俊作先生)