形だけの家族より別れたほうがいいか?
Q
とても素晴らしいお話をありがとうございました。しかしそれでも夫と仲良く暮らすことを諦めている私は、子どもが大きくなるまで形だけの家族を続けるしかないと思ってきました。形だけの家族を続けるよりも早く別れたほうがいいのでしょうか?形だけの夫婦関係はせっかくの人生を無駄にしているようなのですが、子どもにとっては父・母が必要なのです。9歳男の子、4歳男の子、私と子どもたちとの関係は良いです。夫と子どもの関係もとても良いです。夫と私は話し合うことができず、近づくと権力闘争になってしまいます。尊敬することができません。仲良く暮らすことを諦めてからはもめることが少なくなりましたが、期待もしなくなっているので、こんなんでいいのでしょうか?何か虚しいものがあります。
A
こんなんで良くないです。仲良く暮らすことはたぶん可能なんですよ。どんだけ投資するか。僕たちは例えばロシア語をしゃべれるようになるか?僕は誰でもなると思う。投資すれば。英語は習ったことがあるけど、ロシア語は習ったことないでしょう、多分。習ったことないけど、今から始めても、例えば多分3年くらい夢中になってやればきっとしゃべれるようになると思う。ということは夫婦関係も、夢中になってやれば仲良くなれるようになると思う。初めから「私たちは無理です」と諦めたら何も動かないと思う。夫婦の両方が、今までのいきさつはいっぺん置いておいて、仲良くやってみようやと考えてそれで夫婦のカウンセリングを受けたり、一緒に学ぶ機会を増やしたり遊ぶ機会を増やしたりして、そこへエネルギーをつぎ込んでいけば上達はすると思う。人間というのは学習する動物です。ということは逆に言うと、学習しないと何もできない動物なんです。昆虫はまったく学習しない動物です。虫に芸を教えられると思う?無理なんです。昆虫は学習しない動物です。というのは、遺伝子に何もかも全部書いてあるんです。蜘蛛の巣の張り方とか蜂の飛び方とか蝶がどの花に止まるかとかどこに卵を産むとかは、考えてない。虫や蝶は「キャベツにしようか白菜にしようか」悩まない。遺伝子に全部書いてあるから学習しないんです。で、逆に人間は遺伝子にほとんど何も書いてない。すべてを学習で学んでいくので、勉強しないといけない。夫婦に関して学習がない。育児に関しても学習がない。旧来育児と呼ばれていたものが、ほんとはあまり大したことではなかった。育児というものはやっぱり学ばないといけないもんだと、パセージを受けた方はよくわかるよね。夫婦も学ばないといけないのですが、残念ながら夫婦はああいうグループがうまくいかない。アメリカのアドラー派の人が夫婦のグループワークを開発しましたが、うまく動かない。なんでかというと、1つは夫婦ごとにすごく違うから。親子はどこの親も同じような問題の抱え方をするが、夫婦は夫婦ごとに問題の抱え方が全然違うので、集団療法で話題が共通しない。夫も妻もたまたま両方とも来てくれたとしても、その夫婦が抱えている問題が他の夫婦と共通しないので、一般的なプログラムでなかなかできない。それが1つ。それから、夫婦には言えないことがある。親子のトラブルは、実はこんなこんなでと人前で言える。夫婦のトラブルは特にsexがらみ、お互い同士の性関係とか婚外交渉、浮気とかになると、あまり人前でさらけ出したくないという文化があって、言えないことがいっぱいある。その結果グループで動かない。だから夫婦の学習グループは残念ながら成功してない。今でも試みはたくさんあります。試みはたくさんありますけど、今後ともやっぱり難しいのではないか。だから個別に相談しながらやっていかないとしょうがない。これは、夫さんの了解が得られれば、例えば月に1回でも夫婦のカウンセリングを予約されて受けられると、きっと進化はあると思う。夫婦カウンセリングはあまり何もしません。夫婦が話し合う場所を提供して、そこにカウンセラーが座っているだけなんです、一番基本的には。というのは、夫婦2人で話し合うとつまらない権力争いをするでしょう。そこに全然知らない他人が座っていたら冷静に話をするでしょう。これだけでも大したことだと思いませんか?だからカウンセリングは値打ちが多分あると思う。(回答・野田俊作先生)