片づけ
Q
普段から手紙を書こうとか身の回りを片づけようとかほんとによく思っていますが、なかなか実行しません。実行できるアドバイスがあればお願いします。
A
私は「お片づけ」に関しては2つの原則を守っていますので、これはうまくいっています。1つは、うちのおうちは私が住んでいるのではなくて、神様・仏様が住んでいらっしゃるお社(やしろ)なのでございます。あなた方は知らんでしょうが。『法華経如来神力品(ほけきょうにょらいしんりきぼん)』にそう書いてある。「君の住んでいるおうちは昔お釈迦様がお生まれになり、修行をなさりお悟りを開かれた、その場所なのである。だから、ゆめゆめおろそかにしてはならずお掃除はちゃんとし、きれいにしておかないといかん。そうしないとお釈迦様が出て行かれて、あんたのおうちはどんどんみすぼらしくなり、あんたの暮らしも惨めになるであろう」と書いてある。こりゃいかん。やっぱりきれいにしておくと、良い神様が住みつかれて心もすがすがしくなり体も元気になりますので、神様のお守りで。神様っていうのは汚いところがお嫌いなんです。汚くすると、今いる神様が出て行って、代わりに貧乏神が住みつくんですよ。これが住むとなかなか厄介なので、そういうのが住まないようにいつもお掃除をしようと、まあ基本的に思います。これが第一。「家に神様が住む」と言うと、みんな「ふーん?」と言うんだけど、でもねえ、それは僕、ある程度実感として思う。1つはねえ、この近所にあるおうちがあって、おじいちゃんとおばあちゃんと2人で暮らしていらっしゃったんですけど、両方とも亡くなっちゃったんですよ。亡くなっちゃったあと、その子どもさんたちが来ないのかいないのか、家をそのままにしばらく置いてあったらね、ひとつきもしないうちに、家が荒れてくるんです。昔の造りの家で瓦の家なんですけど、なんか傾いてくるんですよ。ということは、そのおじいちゃん・おばあちゃんがいらっしゃったときに、家の神様がいて、おじいちゃん・おばあちゃんが住めるように家を保っていたのが、いないからどっか行っちゃって、それで家の力がなくなっていっているんだと思いますが、皆さんはそんな経験ないですか? 人の住まなくなった家ってアッという間に荒れるんだって。なんもないのに。それから僕の父親が死んだときのことなんだけど、ずっと開業医をしていて、年取ってきたら、「医療機械が心電図とかそんなんも買い換えてもねえ、先どんだけあるかわからんし、騙し騙し使おうよっ」て、古い心電図とか血圧計とか使ってた。親父が死んでしばらくすると、その機械たちがみな故障するんです。動かないんです。親父が死んだあと、親父の患者さんの紹介状を毎日毎日書いて暮らしたんだけど、その間に父親の使ってた医療機械がどんどん壊れていくんです。これは親父が生きてた間、皆頑張って生きてたんだと思いました。そんなもんじゃないですか。皆さん方だって、皆さん方が亡くなられたら、皆さん方が大事にされている掃除機とか洗濯機とかが壊れるかもよ。だから、そう即物的に神も仏もいないと思って暮らさないほうが、生活に潤いがあって生きている世界に生きられますがね。だからきれいにしてあげておこうと思います。
もう1つは「超整理法」という血も涙もない方法です。この間、CDを40枚くらい人にあげました。なんであげたかというと、泣く泣くあげたんですけど、新しいCDが買いたいからなんです。わが家のルールは本棚に入ることができる以上の本を買うことができない。もし買いますと、古い本を捨てなきゃいけない。だからどの本棚もどの引き出しも絶対はみ出ないんです。古いのを捨てないと新しいのを入れられないから。いつも満タンなんですけど、これ僕の絶対的秘訣。だから超整理法で、一冊買ったら、「さあどれにしようかな」って、どの子かを捨てないと新しい子を買えない。これいいでしょう。あなたたちの洋服ダンスはきれいになりますよ。絶対着ない服をどっかへ捨てれば。そうやってお掃除してください。手紙はねえ、一応年賀状は、長いこと年賀状はやめようと思いまして、あんなん「明けましておめでとうございます」って書いてもしょうがないじゃないですか。と思ったら、団四郎さんという心理療法家で漫画家の人が、びっしり書き込んだ年賀状をくれたんです。その年1年の出来事を。これいいと思って、うちもびっしり小さい老眼の人は絶対見えない字で前の年1年の出来事を報告する年賀状を復活いたしました。私から年賀状ほしいという人は、言ってくれたらあげます。もうすぐ年賀状書きますからね。何も芸はない。ただ1年の出来事をびっしり書いてあるだけなんですけど、これを出してから、結構長いこと会わなかった人が返事をくれるようになったんです。それで手紙のやりとりとかメールのやりとりとかできるようになったから、まあああいうものをうまく利用することだと思います。(野田俊作)