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スレッドNo.85

論語でジャーナル

14,邦君(ほうくん)の妻、君これを称して夫人(ふじん)と曰う。夫人自ら称して小童(しょうどう)と曰う。邦人これを称して君夫人(くんふじん)と曰う。異邦に称して寡小君(かしょうくん)と曰う。異邦の人これを称して亦(ま)た君夫人と曰う。

 一国の君主の妻のことは、君主がこれを呼んで「夫人」と言う。夫人が自分を称して「小童」と言う。国民が夫人を称して「君夫人」と言い、外国に向かって言うときには「寡小君」と言う。外国人が夫人を呼ぶときにはやはり「君夫人」と言う。

※浩→「邦君」は諸侯、「妻」はその正妻。その女性を君主が呼ぶときには「夫人」と言う。仮に「奥方」と訳せば、妻その人に向かっても「奥方」と呼び、他人に対しても「奥方がこう言う、こうする、こう考える」と言う。またその女性が自分自身の一人称としては、つまらぬ子どもを意味する「小童」を用いる。国民は彼女を「君夫人」、「殿の奥方」と呼ぶ。ただし、それは同国人相互の会話で、外国人に対しては「寡少君」、「うちのつたない副君主」と言う。逆に外国人がこちらの国の奥方を呼ぶ場合、これはまた「君夫人」「殿の奥方」と呼ぶ。
 1人の人物が、場合場合によって、いかなる呼び方をされ、またするかは、今の日本語でも、お父上、お父さん、父、と、場合によって呼び方を替えます。
 『論語』の中に突然孤立してこういうことが抱えているのは、奇異の感がする、と吉川先生は述べられています。おそらく、この篇の最後のことでもあり、他の書物の竹簡の簡の破れた頁が、ここに間違って綴じ合わされたのだろう、と、こういう解釈が面白いです。日本語は一人称も二人称も多種の呼び方があります。三人称は少ないですか。「彼」「彼女」「あの人」「あいつ」「彼ら」「彼女ら」「あれ」「あれら」、と、単数複数合わせてこれくらいでしょうか。英語は、一人称単数はI、二人称単数はyou、三人称単数はit、複数はthey。フランス語は、一人称はJe、二人称はvouとtu、三人称はilとelle。あとは知りません。おっと、中国語がありました。一人称単数は、「wo3我」、二人称単数は「ni3你 」、三人称単数は「ta1他」「ta1她」「ta1它」です。
 日本の親族名称は、家族の最年少からの呼び方で呼ぶのが普通です。例えば、1人の女性の場合、独身時代は、「~ちゃん」から「~さん」と呼ばれ、結婚して子どもができるまでは配偶者からたぶん名前で呼ばれたのでしょう。まさかいきなり「おい!」はないでしょう。子どもができたら、子どもが「お母さん」と呼ぶのは当たり前ですが、不思議なことに夫からも「お母さん」と呼ばれるようになります。そして、孫ができると、孫からは当然「おばあちゃん」と呼ばれますが、夫からも「ばあさん」と呼ばれます。こういう呼び方は子育てをする上で望ましくない、と、野田先生もおっしゃいました。家族の主役は夫婦であるのが健全なのだそうです。日本では夫婦よりも「親子関係」が柱になっているようで、子育てにとっては具合が悪いのです。やはり、夫婦は互いの名前で呼び合うのが好都合でしょう。子どもというのは、その一家にとっては、親離れして独立していくまでの“同居人”だと考えたほうがいいのだそうです。夫婦は、子どもたちが独立すると、やがて2人きりの新婚時代に戻ることになります。もしも、夫婦の絆よりも親子の絆のほうを優先していたら、それが切れたとき、家にはまるで“見知らぬ男女”が同居しているような淋しい空気が漂っているでしょう。現実として、子育てには甚大なエネルギーを費やしますが、子どもが思春期になったころから、そろそろ親子よりも夫婦のほうにエネルギーを振り向けていくことを考えて実践していくほうが、老後の夫婦にとってしあわせな暮らし方ではないでしょうか。と、全部、野田先生の受け売りでした。
 「季子篇」はこれでおしまい。次回からは「陽貨篇」です。

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