感想
秋のミニ句会のアイビーの感想です。
日誌みて秋蒔き種を買ひに行く てつをさん
農日記というほどでなくて備忘録程度のものかもしれないが、去年の今時分に蒔いた作物を思いだし、種苗店に買いにゆく作者のてつをさん。日常のありふれた事柄でも俳句になることを示した一句。
買い物を一つ忘れて秋暑し 新之助さん
年齢の所為とは思いたくないが、買い物を一つ忘れた。以前ならこんなことはなかったのに。やっぱり齢かなあと嘆息混じりの作者。この程度のことは誰でもあるさと慰めてはみても。それにしても秋だというのにこの暑さはどうだ。一定の年配者には容易に共感できる一句。
旅一夜郡上踊りに飛入りす 泉也さん
兼題の踊りに郡上踊りを持ってきた泉也さん、流石。上五の「旅一夜」で状況を説明し尽くしたお手並みの鮮やかさに脱帽。実際、旅一夜とすれば、ほかに何も付け加える必要が無く、俳句の神髄を見る思いだ。
立佞武多見上げて首のねじれけり 野の風
私は佞武多というものを見たことが無く、一度見たいというのが念願だ。野の風さんの地元なだけに堂に入った詠みっぷり。特に「首のねじれけり」は実際に現場にいた人でなければ出てこない実感だろう。