アイビーの感想
アイビーの感想です。私個人の受け止め方と作者の意図と違うかも知れませんが、俳句とはそういうものとしてご了承ください。
落陽の茅渟の海より秋の声 泉也さん
大阪湾あるいは和泉海とせずに、敢えて古称の茅渟の海としたことで、句に風韻をもたらしたと思います。秋の声の声は実際に音がしたのではなく、気配を声と表現したもの。格調高い一句になりました。
小魚の散りては群れて水の秋 新之助さん
秋は水が澄んでいますから魚群がありありと見えます。じっと観察してると、魚群が色んな物の形に変化します。その様子も水が澄んでいればこそで、いかにも秋らしい句になりました。
ひたすらに咲いて淋しき草の花 野の風さん
特定の名を持たない諸々の草に花が咲いています。どうしてもマイナーな花ですから、咲き乱れていても何かしら寂しい印象を持ってしまいます。決してそんなことはないのですが、見る側の私たちの主観がそうさせるのでしょう。
家苞(いえづと)に巨峰ピオ―ネマスカツト てつをさん
ただ単に土産とせず、家苞としたことでぐっと俳句のイメージが膨らみました。巨峰ピオ―ネマスカツトと品種を列挙し、読み手に豊穣の秋を連想させる佳句と思います。
若者の縮め言葉やうそ寒し てつをさん
実際その通りで、私なども意味を解しかねることがあります。座五のうそ寒しで、作者のてつをさんも若者言葉を苦々しく感じていることが分かります。