アイビーの俳句鑑賞
アイビーの俳句鑑賞
3 初鏡齢重ねし顔なるや (泉也)
自分の顔は毎日見てるから気がつかないが、正月などの節目に改めて吾が顔を見るとその変貌に驚くことがある。誰しも経験する正月の一コマを通じ、容赦ない時間の経過を突き付けられた思いだ。
7 成長を願い三年日記買ふ (新之助)
誰の成長なのか言ってないが孫であることは自明だ。私には孫がいないが、次代を担う世代の健やかな成長を祈る気持ちに変わりはない。まして自分の血を受け継いだ孫ならなおさらであろう。三年日記まで買うとなると、これは親馬鹿ならぬ孫馬鹿か。
14 方言でそっと囁き雪女郎 (野の風)
野の風さんの在所の雪女郎なら津軽弁ということになろうか。考えてみれば雪女郎は標準語を喋らなきゃならん理由がない。津軽弁を喋る雪女郎がいたって不思議でも何でもない。愉快な一句となった。
19 美(は)しきもの汚きものも冬の川 (てつを)
俳句の題材は美しいものばかりではない。我々の住む社会にしたって同様だ。美しいものも汚いものも、全部引き受け、許容する冬の川。そのようにして時は過行く。
24 余生とは余りにあらず青木の実 (てつを)
私がいつも感じている思いをそのまま俳句にして頂いた。その通り、と声を掛けたいほどだ。青木の実との取り合わせも見事。