アイビーの感想
アイビーの感想
母の忌のひとつ話や心太 (てつをさん)
母の忌に親戚、兄弟が集まるたびに、決まって話題に上ることがある。どんな話かは分からないが、その話が出るたびに、亡き母が生き生きとよみがえる。状況が目に浮かぶようだ。
卒寿来て未だ余白あり新茶汲む (泉也さん)
卒寿になったが、どこまでも前向きな泉也さん。「余白あり」にその心意気がうかがえる。余白に、自分の好きな絵を描けるのだ。季語の「新茶汲む」が味わい深い。
夏めきて陽の力あるけふの空 (新之助さん)
「夏めく」と「陽の力」とが絶妙のコンビネーションを発揮。物みな旺盛な生命力を持つ初夏の雰囲気を活写している。とりもなおさず、新之助さん自身が、なお衰えぬ力に満ちている証なのだ。
あっけらかん生きて食して心太 (野の風さん)
老境にさしかかった野の風さん、もはや世間の思惑や外見は眼中に無く、あるがまま明鏡止水の心境なのだろう。そんな気分を「あっけらかん」表現した。あたかもグニュっと突き出される心太のように。