アイビーの感想
アイビーの感想
野の風さん、幹事役お疲れさまでした。アイビーの感想です。
年賀状互いの生の証しとも 新之助さん
歳のせいか年賀状の遣り取りも億劫になってきた。来年から止めにしようと思うのだが、その一方で、お互いの消息確認の意味もあることだし、やはり続けようかと思い悩む。年賀状ぐらいしか交渉のない知己にとって、賀状には健在報告としての意義もあり、あながち虚礼とも決めつけられない。老年者の偽らざる心境に共感。
投釣りの竿の放列浜小春 てつをさん
放列というからには一本や二本ではなく、無数の釣り竿が林立する様を想像する。その場所が突堤かなにかとすれば、同じ向きに竿が並ぶ。遠近法を駆使した絵画的な構図の中、「浜小春」がまたいい味を出している。小津安二郎の映画のシーンを見るようだ。
よさこいの舞の躍動小春の日 野の風さん
「よさこいの舞」とは高知県にちなんだ催しかと思う。私どもの中京圏に、〝どまんなか祭り〟というのがあるが、企画からプロデュースまで若者が行うイベントがあり、あるいは、そんな類かと思う。若者の熱気が渦巻いて躍動する。その様を小春に擬えたところにこの句の良さがある。若い連中も「なかなかやるではないか」という気分が窺える。
病床の妻にさしこむ小春かな 泉也さん
口では悪態をつきながらも、その実、愛妻家の泉也さんらしい情感のこもった一句。おそらく奥様の最後の闘病の様子を詠まれたものかと。柔らかな小春日和の日差し、病室のベッドにまで日差しが届いているのが分かる。奥様も安らかな最期を暗示しているようだ。