－－－金曜昼下がり－－－

馬さん『こんにちは。御隠居いらっしゃいますかぁ』
御隠居「おっ、その声は馬さんかい。じゃぁ、勝手に上がっておいで」
馬さん『へい、へい、勝手知ったる他人のお家ってねっ』
　　　『御隠居、こんにちは』
御隠居「はい、はい、馬さん、こんにちは」
馬さん『御隠居。汗血馬の野郎、ひでぇ事しやがりますね。許せませんよ』
御隠居「馬さん、御怒りだね」
　　　「さん付けから野郎に変わってる」
馬さん『怒りが収まるまでは、さん付けは止めます』
　　　『それにしてもネタばらしした上に昼酒かっ喰らっていやがる』
　　　『何考えているんでしょうか。あのウマシカ野郎は』
御隠居「確かにネタばらしは困りもんだが」
　　　「昼酒は安全パトロールの反省会だから仕方ないだろう」
　　　「１年間御苦労様でしたという事で飲み会になったんだろうから」
馬さん『いや、この後、大事な用がありますから今日は御茶にしますと言えばいいんですよ』
御隠居「馬さん、厳しいね」
　　　「まぁ、兎に角、御茶を入れようかね。少し待ってておくれ」
－－－寸の間経ちました－－－
御隠居「はい、お待たせ。御茶請けは今日も蜜柑で良いかい」
馬さん『勿論です』
御隠居「良い馬券が取れたら本葛の葛餅を御取り寄せするから待ってておくれ」
　　　「葛練りや葛切りもいいかな」
馬さん『へぇ、楽しみに待っていやす』
　　　『しかし、御隠居。あんなにネタばらしされちゃうとアッシらの出番がありやせんね』
御隠居「そうかい。そうでもないと思うけどね」
馬さん『えっ、あるんですか。他にも』
御隠居「ちょっと苦しい気もするけどね」
馬さん『いいですよ、ちょっとくらい苦しくたって」
　　　「聞かせておくんなせぇ』
御隠居「まず、その前に汗血馬さんは重要な事を忘れているよ」
　　　「あくまでも汗血馬さんに取ってはという事だがね」
馬さん『へぇ、何ですか』
御隠居「いや、ここでは言わない」
　　　「馬さんには、後で内緒で教えてあげるけど」
馬さん『えっ、ネタばらしの仕返しですか』
御隠居「まぁ、そんなところだね」
　　　「話しは変わるが馬さんは秋の七草を言えるかい」
馬さん『はぁ、春の七草は言えますが秋の七草は言えませんね』
御隠居「ハギ（萩）ススキ（芒）クズ（葛）フジバカマ（藤袴）オミナエシ（女郎花）」
　　　「キキョウ（桔梗）ナデシコ（撫子）秋の七草」
馬さん『おや、スラスラ出ましたね』
御隠居「５７調で覚えると簡単だと思うよ」
　　　「萩と葛は何方が最初でもいいんだが花札知ってるのなら萩芒がいいだろうね」
馬さん『あぁ、７月が萩で８月が芒ですね』
御隠居「藤袴と女郎花もどちらが先でもいいんだけど、私はこの方が語呂が良かった」
馬さん『うん、うん。うん、うん、うん。うん、うん』
　　　『成程、覚え安いですね』
　　　『へへっ、今度誰かに言って自慢しよう』
御隠居「それでだね。レース名に秋の七草がついているのは三つあるが」
　　　「ききょうＳと萩Ｓが２歳ＯＰの芝」
　　　「なでしこ賞は２歳１勝Ｃのダート」
馬さん『はい、はい、ありますね』
御隠居「ききょうＳと萩Ｓは小頭数になる事が多い」
　　　「昨年は、ききょうＳが６頭立てで９Ｒ」
　　　「萩Ｓは７枠７番除外で６頭立て、こちらは８Ｒ」
馬さん『あれっ、当初７頭立ての萩Ｓは９Ｒから８Ｒに変更してるのに』
　　　『６頭立てのききょうＳは９Ｒのままですか』
御隠居「この小頭数でレース順が変わる基準がよく分からない」
　　　「それなりの基準や考えがあるんだろうがね」
馬さん『ちょっとモヤモヤする所ですね』
御隠居「今回、ききょうＳで３枠３番⑤人気４着だったジューンテイク牡が若葉Ｓ２枠２番で出走予定」
　　　「萩Ｓで３枠３番④人気６着だったアレグロブリランテ牡がスプリングＳ７枠７番で出走予定」
　　　「他では萩Ｓ４枠４番ギヴイットアゴー牝が日曜９Ｒフローラルウォーク賞に出走予定」
馬さん『へぇ、牡２頭は３枠３番に入っていた馬ですか』
　　　『何やら怪し気な匂いがしますね』
御隠居「然も共に前走が２枠２番で２着」
　　　「１勝ＣとＯＰの違いはあるけどね」
　　　「そして、ジューンテイクは前走に続いて２枠２番」
馬さん『ありますか』
御隠居「あるんじゃないかな」
　　　「それとスプリングＳにも繋がると思うんだよ」
馬さん『御隠居。乗ります。乗らせて下さい』
御隠居「出来ればギヴイットアゴーの枠順も確認したいな」
馬さん『成程、こっちも気になりますか』
御隠居「拘り過ぎかもしれないけれど葛は秋になると赤紫の花が咲く」
馬さん『あぁ～、３枠で赤か』
御隠居「そして、春から初夏にかけて葉が茂るんだが」
　　　「若芽と若葉は湯がいて食べると美味しいらしいよ」
　　　「それと朝摘みの若葉を御茶にしたりもするそうだ」
馬さん『若葉Ｓと関係有りという事ですね』
御隠居「後、花は乾燥して二日酔いの薬、茎は繊維を取り出して葛布にする」
　　　「色々と役立っているね」
馬さん『これでアッシらの馬券にも役立ってくれると良いんですが』
御隠居「あぁ、そう願いたいねぇ」

～お後が宜しい様で<(_ _)>～