汗血馬:やっと降りて来てくれました
水曜の昼下がり、御隠居と馬さんの会話。
馬さん『こんにちは。御隠居いらっしゃいますかぁ』
御隠居「おっ、その声は馬さんかい。じゃぁ、勝手に上がっておいで」
馬さん『へい、へい、勝手知ったる他人のお家ってねっ』
『御隠居、こんにちは』
御隠居「はい、はい、馬さん、こんにちは」
「久しく顔を見なかったがどうしてたね」
馬さん『すいませんね。野暮用が重なりまして中々寄せて貰えませんでした』
御隠居「そうかい、そうかい」
「でも、お声がかかる内が花だからね」
馬さん『そう言って頂けると有難いんですがね』
『それよりも、寝ぼけたじじいさんかエライことになりました』
御隠居「あぁ、肺癌が見付かって入院されると御書きになられていたね」
馬さん『へぇ、心配ですね』
御隠居「確かに心配だけどね」
馬さん『えっ、心配だけど何ですか』
御隠居「医療技術の進歩は目覚ましいから助かる例が多くなっているよね」
「そして、何よりも寝ぼけたじじいさんのカキコミを見ると気力に溢れている」
馬さん『そうですね』
『癌なんか、吹っ飛ばしそうな勢いですよね』
御隠居「元気に早期退院が叶うといいね」
「イヤ、叶うに違いない」
馬さん『そうですね』
『アッシもそう思います』
御隠居「あぁ、すまない、すまない」
「今、御茶を入れるからちょっと待ってておくれ」
馬さん『ありがとうございます』
『出来れば、甘いものも付けて頂けるとなお宜しいんですが』
御隠居「ハハハ、分かっているよ」
「到来物の残りだけど、やせうまがあるからどうだい」
馬さん『やせうま・・・ですか』
『競馬好きには、あまりありがたくないヤツですね』
御隠居「ハハハ、やはり、そうきたか」
「私も最初に貰った時はそう思ったんだがね」
馬さん『えっ、違うんですか』
御隠居「これは、大分の友人が贈ってくれた物なんだけどね」
「やせうまは元々大分の郷土料理なんだそうだ」
馬さん『へぇ、そうですかい』
御隠居「それをアレンジして作った半生菓子がこのやせうまだ」
「そして、やせは痩せではなくて八瀬、乳母の呼び名だそうだ」
馬さん『へぇ、八瀬ですか』
御隠居「出身が京都の八瀬で八瀬と呼ばれてんだね」
馬さん『じゃぁ、うまはなんですか』
御隠居「うまは、幼児言葉で食べ物の事をウマとかウマウマっていうだろう。あれだ」
馬さん『てぇことは、幼児が乳母に食べ物をおねだりした言葉ですか』
御隠居「そうだね」
「何時もは12月に贈ってくるんだが今年は早かったね」
馬さん『御隠居の所に来ると珍しい物が頂けて嬉しいですよ』
『でも、御隠居、何で今年は早く贈って来られたんでしょうね』
御隠居「うん、そうだね」
「そういや、わざわざ金曜の夜にやせうまを贈っておいたぞとメールも来てた」
馬さん『へぇ、どんなメールでした』
御隠居「やせうま、贈っておいた」
「日曜の昼頃届くからマイルチャンピオンシップはこれでも食べながら見てくれ。だったね」
馬さん『それだけですか』
御隠居「イヤ、最後に崇徳院の歌が書かれていた」
「その内に再会しようってぇ事じゃないかと思うんだがね」
馬さん『ちょっと待って下さいよ』
『御隠居、パソコンをお借りしてもいいですか』
御隠居「構わないよ。どうぞ」
馬さん『へいへい。えぇっとコレコレ』
『ふん、ふん、そうか。成程、成程』
御隠居「馬さん、どうした」
馬さん『すいません、もう少し待って下さい』
『あぁ、そうか。そうか。へぇ、そうなるかぁ』
御隠居「なんだねぇ、一人合点していないで、教えておくれ」
馬さん『分かりました』
『そのめぇに確認しておきますが、大分の御友人も馬券上手ですよね』
御隠居「よく分かったね」
「京都のKと甲乙付け難い馬券上手だ」
馬さん『やっぱりねぇ』
『そして、Kさんと同じで優しい方でいらっしゃる』
御隠居「そうかなぁ?」
馬さん『いいですか、御隠居』
『京都の八瀬。京都は8枠』
御隠居「いや、8番かもしれない」
馬さん『そうなるといけないから崇徳院様』
御隠居「えっ、瀬をはやみ、かい」
馬さん『八瀬の瀬、はやみ=8を見よ』
御隠居「えっ、ええっ」
馬さん『岩にせかれるるですよ。岩に割かるる』
御隠居「???」
馬さん『8枠16番ナミュールの同枠15番イルーシヴパンサーは安田記念でもナミュールと同枠で騎乗は岩田望来』
『安田記念5枠10番ソウルラッシュ・6枠11番イルーシヴパンサー・6枠12番ナミュール』
御隠居「えっ、あっ、岩に割かれているかぁ」
馬さん『分かれても末に合わんとぞ思う』
御隠居「あぁ、マイルチャンピオンシップで1・2着かぁ」
~御隠居と馬さんの会話はまだまだ続く様ですがこの辺でお開きに~