「仰げば尊し」をめぐって
「仰げば尊し」は、明治17(1884)年に発表された唱歌で、明治から昭和にかけては学校の卒業式で広く歌われ親しまれてきました。日本語の歌詞は、大槻文彦・里見義・加部厳夫の合議によって作られたと言われています。しかし、教科書には作曲者は、「外国曲」と書かれており、研究者の間でも長い間作者不詳の謎の曲とされてきました。平成23(2011)年に一橋大学名誉教授の桜井雅人が、「Song for the Close of School」という楽曲が、1871年に米国で出版された楽譜『The Song Echo: A Collection of Copyright Songs, Duets, Trios, and Sacred Pieces, Suitable for Public Schools, Juvenile Classes, Seminaries, and the Home Circle.』に収録されていることを突き止めました。
平成26(2014)年にキング・レコードから発売されたCD『仰げば尊しのすべて』には、この曲の過去の経緯や現在の状況が述べられています。台湾映画『冬冬の夏休み』では、映画の冒頭の卒業式で歌われていますが、これは、日本の統治であった時の伝統がその後も生きていたということになるでしょう。
映画『二十四の瞳の卒業式』より
NHK東京児童合唱団
杉並児童合唱団
ONG FOR THE CLOSE OF SCHOOL [仰げば尊し 原編曲]
台湾映画『冬冬の夏休み』 (1984) 原題 『冬冬的假期』の冒頭で歌われる「仰げば尊し」
また、映画『ビルマの竪琴』の中でも水島上等兵が竪琴で演奏したり、映画『ひめゆりの塔』、映画『たんぽぽ』、映画『あおけば尊し』の中でも歌われています。
この映画で採り上げられた曲で、今ほとんど歌われていない曲は、また改めて紹介します。