ウィーン少年合唱団の演奏の変遷(4)
ウィーン少年合唱団の演奏の変遷も21世紀に入りました。この時期の大きな変化は、団員をインターナショナル化したことです。これまでも、外国の少年を入団させていましたが、それはドイツ語ができることが条件でした。2010年2月12日の朝日新聞には、『「天使の歌声」にも時代の波 厳しさ不人気、志望者激減』という記事が掲載されました。そこでは、ゲルハルト・ウィルト芸術監督の言葉を借りて、
「入団希望者がピークだった1950~60年代には約30人の募集枠に500人以上が殺到しました。しかし、希望者は減り続け、競争率は最近では2~3倍に落ちている。」ということが掲載されました。それは、卒団後の進路の問題が大きいためで、団としては、ギムナジウムの上級校(9~12年)の新設を決めたりしました。(これは、オーストリア出身者が中心で、日本人は、卒団後は帰国して、日本の高等学校に進学することが多いです。)また、2017年3月には、この特別な教育と合唱の伝統が認められ、ウィーン少年合唱団はオーストリア・ユネスコ国内委員会により、同国の無形文化遺産に登録されました。
また、2020年から世界的な流行となったコロナ禍のため、財政的に危機に陥りました。ウィーン少年合唱団は毎年、国内外で300公演を行い、運営費用の7割以上を賄ってきていましたがそのほとんどが中止になり、このままでは従業員の給与も支払えない状態になったのです。
ウィーン少年合唱団 コロナの影響で存続危機!
しかし、ウィーン少年合唱団は、コロナ禍の財政的危機をいくつかの方法で乗り越えました。
①オンライン活動の強化: コンサートが中止されたため、オンラインでの活動を強化し、バーチャルコンサートやオンラインレッスンを提供しました。
②寄付と支援: 世界中のファンや支援者からの寄付を募り、財政的な支援を受けました。
③政府や企業の支援: オーストリア政府や企業からの支援も受け、財政的な安定を図りました。
これらの取り組みにより、ウィーン少年合唱団はコロナ禍を乗り越え、活動を続けることができました。
従って、演奏もかなりその音色が変わってきているのではないかと感じることがあります。それは、次回ご紹介する1950~1980年代のウィーン少年合唱団の歌声と比較していただけばお分かりになると思います。
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ウィーン少年合唱団 2015 &list=PL9RCnvocH52PX_uLv4EJFjm49zom6jV1J&index=45
ウィーン少年合唱団 2018 &list=PL9RCnvocH52PX_uLv4EJFjm49zom6jV1J&index=11
ウィーン少年合唱団 2024 &t=1035s