鱒(その1)
「鱒」(Die Forelle)は、フランツ・シューベルト(Franz Schubert 1797-1828)が1817年にクリスティアン・フリードリヒ・ダニエル・シューバルト(Christian Friedrich Daniel Schubart)の詩に作曲した有名な歌曲です。
この詩は、小川を泳ぐ美しい鱒が漁師に騙されて捕まる様子を描いていますが、単なる自然描写だけでなく、「純粋なものが世の中の策略により騙される」という寓意的な意味が込められていると解釈されることがあります。
明るく軽快なメロディーは、魚が泳ぐような流れる旋律が特徴で、ピアノ伴奏のアルペジオは、小川のせせらぎを思わせるピアノの細やかな動きが美しく感じられ、調性の変化は、最後に暗い雰囲気(短調)になり、鱒が捕らえられる悲しみを表現しています。
なお、シューベルトは1819年に「鱒」の旋律を主題とした変奏曲を含むピアノ五重奏曲(D.667)を作曲しました。「鱒五重奏曲」(Forellenquintett)としても有名で、通常のピアノ五重奏とは異なり、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ピアノの編成になっています。
アンドリュー・ウィックス(Andrew Wicks)
デビッド・シズナー(David Cizner)
マックス・エマヌエル・ツェンチッチ(Max Emanuel Cenčić)
アントニオ・デ・ラ・トーレ(Antonio de la Torre)
サーシャ・チェルカス(Sasha Cherkas)