明治の日本人が作曲した創作唱歌(その1)
明治政府は道徳教育の一環として、子どもたちに礼儀・感謝・愛国心などを教える目的もあって、日本の建国を尊び、天皇を敬愛するような内容の唱歌を導入しました。明治の日本人が作曲した創作唱歌としては、初代天皇とされる神武天皇の即位日(2月11日)が、明治政府によって紀元節と定められました。そして、建国を祝う「紀元節」(作詞:髙﨑正風、作曲:伊澤修二) 明治21(1888)年に発表され、明治22(1889)年の『中等唱歌集』や明治25(1892)年の『小学唱歌』第一巻などに掲載されました。また、天皇の誕生日を祝う歌「天長節」(作詞:黒川真頼(まより) 作曲:奥好義(よしいさ)は、明治26(1893)年に文部省によって選定されました。ところで、「天長節」を聴くと、和声進行・終止形等に讃美歌の影響を感じます。
「紀元節」日本合唱協会
「天長節」東京音楽学校生徒
また、歴史上の人物や日清・日露戦争を題材にした唱歌も作られるようになりました。
「牛若丸」 尋常小学唱歌 「第一学年用」(明治44年) 杉並児童合唱団
「三才女」 尋常小学唱歌 「第五学年用」豊島区立仰高小学校
「青葉の笛」(明治39年) 歌唱者不明