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スレッドNo.1240

献杯を月に掲げて棚機(たなばた)忌

中国から7月7日の夜に行われた女性たちが織姫星に手芸や裁縫、機織りの上達を願った宮中行事、乞巧奠(きこうでん/きっこうでん)が伝わる前に、日本では秋の豊作を神様に祈るために、若い女性が選ばれ、水辺に小屋を立てて、そこにこもって、神様に備える布を織る「棚機(たなばた)」「棚機津女(たなばたつめ)」と呼ばれる行事があったので、融合して今の七夕になったので七夕をたなばたと読むのは棚機(たなばた)に由来するという。

昨日から阿佐ヶ谷のすずらん通りで七夕祭が始まったので、中村十朗と荻窪の屋根裏俳人バル「鱗kokera」で澤さんの追悼会を行った。澤さんとの出会いは高円寺の俳人バー「Ann」で月一回開かれる池田澄子主催の「つうの会」に澤さんも参加していたからで、歯に衣着せぬ物言いを面白く思ったのが始まりで、わたくしの作る酒の肴が澤さんの気に入り、澤さんは足取りがおぼつかないほど酒を過ごすので終電を過ごすとタクシー乗り場までわたくしと十朗で抱えてゆくのが役目だった。酒は小林秀雄が愛飲した石川の「立山」をわたくしが常備しており、それを熱燗で飲むのが澤さんの流儀だった。画家の河口聖さんも「Ann」の常連で時折個展を開催するので絵の好きなわたくしも個展のたびに彼の小品を買っていたので、酒癖はいい方ではないがわたくしは絵を買ってくれる客として彼に気に入られており、澤さんと聖さんは俳人と句集の装丁をする画家として若いころからの交遊関係があるので、俳句も絵もわかるわたくしが入ると喧嘩にならず緩衝役としていつからか三人で飲む機会が増えて他の者が入ると話がこじれて険悪になるので三人で飲むのが他から見ても一番安全だと敬遠されて、句画展もわたくしがプロデュースするまでになった。わたくしが句と絵を選び展示すると二人とも納得するのである。澤さんの突然の客死でピリオドが打たれたが、わたくしには格別の十年だった。「猫髭、俺はお前が大好きだ」とわたくしと酒を酌むのを喜んだ澤好摩という男をわたくしは終生忘れないだろう。年を経て出会った友人は得難いと言ってくれたが、わたくしにとっても本当に得難い友人だった。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年08月09日 21:09)

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