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スレッドNo.1351

稲妻や夜鴉に露芝の衿

昨日は昼過ぎから凄まじい雷雨で夕方には雷と稲妻は止んで小雨が残っていたのでアパートの前のごみ箱に捨ててあった百円の透明傘が黄ばんでいるとはいえ開いて骨も折れてないのでそれを差してバス停へ行くと見たこともない長蛇の列、道路も車が渋滞しており、何があったのかやっと来たバスに乗ると運転手が「雷の影響で西武線の踏切が開かなくなり、このバスも20分遅延しており申し訳ありません」というアナウンス。運転手さんのせいじゃないので謝る必要はないと思ったが、荻窪駅に着くと電車のダイヤも乱れに乱れ地下鉄を乗り継いで約束の場所へ向かったが、六時には早めに出てぎりちょんで着くか着かないかで娘にメールすると娘も仕事が立て込んで15分ほど遅れるとのこと。

わたくしが娘とデートする店には不文律があり、それは家族以外には誰にも知らせないこと、である。もともと独身の時からひとりで気に入った飲食店は国内外に至るまで一人で行くので、行く回数はそれほど多くなくても何十年も通えばどこでもいつの間にかわたくしを常連扱いとしてくれるのでメニューを頼む必要がないくらい店の方でわたくしの好みをわかって旬のものやメニューにはないが「お口に合うかどうか」と出されるものは皆口に合うどころか逸品が多い。顔見知りがいると話しかけられたり酒を注がれたりしてひとりの時間を楽しめないので、昼飯ですらわたくしはひとりで行くので同僚や部下たちと飲み食いすることはほとんどなかった。家族は例外で逗子・鎌倉に住んでいた時には月に一度は必ず家族で行く店が必ず何店かあり横浜の中華街や箱根や早川や伊豆にも独身で通っていた店が妻と子どもも含めた家族で行く店となり、店の主が三代に亘って代わっても先代の味を知っている客としてわたくしは重宝されたから、わたくしの贔屓にする店はミシュランとか有名店とは縁のない地元のお客を大事にする昔ながらの味と客の笑顔を大切にする家族の場所でもあった。味のわかる客には苦虫かみつぶした店主の顔もほころぶのである。

ぴのこさんが言った「ふらの」は亀戸にある澤さん行き付けの店で、澤さんは判で押したように「きのこ炒め」ちょいから「麻婆豆腐」(これは四川料理といった味の濃い料理が苦手のわたくしも吃驚の絶品)に河豚の鰭酒二杯が定番でした。「円錐」の句会後に来る店だそうで酒癖がいいとはいえない澤さんに最後まで付き合えるのはわたくしぐらいなのでわたくしと飲むと安心なのでしょう。わたくしも澤さんの自宅に近いこの店で飲むのが澤さんのために安心なので「ふらの」で飲むのが定石でしたが、画家の河口聖さんが八王子と遠いので一度だけ娘と行き付けの店に招待したのです。娘の住んでいる護国寺に近い江戸川橋地蔵通りの魚屋さんがやっている「魚谷」という小料理屋で、三人で燗酒二号(白鶴)を21本空けたので余程気に入ったのでしょう。「猫髭の選ぶ店に間違いはない」と娘も澤さんなら構わないと事後承諾してくれて昨夜はここで娘と澤さんを偲びました。刺身は、ほうぼう、小肌、ひらめ、赤貝の盛り合わせ。銀だらの西京味噌焼き、穴子の白焼き、ひらめの縁側のポン酢和え、そして父子一緒に唱和した爆弾納豆。これは澤さんもメニューを見た時に一番気になっていた一品だと言っていたのでさすが澤さん、猫髭父子と一緒の嗜好。

これは以前にも書いたが自宅では絶対できない味で、旬の魚の微塵切りを納豆の上に惜しげもなくふんだんに散りばめ、そこに海胆、しらす、長芋、いくら、卵の黄身と玉手箱のような逸品で味はそのままで良く、醤油などまっぴら御免なすっての海幸山幸の饗宴で、これをよく混ぜて糊に包んでほうばれば炊き立ての飯があれば何倍でも食べられる至高の料理と言えるだろう。

外へ出ればそぼふる雨で娘は近くの学校で子どもたちのカウンセラーをしているから傘の持ち合わせがなくわたくしの傘をあげようとしたら、絶対にや!触りたくもないと、またゴミ箱で拾ってきたのをお見通し。でもお吟服の「夜鴉に露芝」は素敵と好評で、岩淵喜代子さんがこの服だけは褒めていたのを思い出して、着替えて来て正解でした。次女との写真はこの夏休みは派手めに行こうと生まれて初めてマニュキュアしたのが長女で、またもや間違えたと十歳若く見られたと大喜びで、絶対パパはひっかかると姉妹で見越していたとのこと。父親なのに姉妹並んだ写真を一度も当てられないとはトホホなオヤジだなあ。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年09月16日 11:14)

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