爽やかや九十五とてブローして
「美容院へ行こう」などと言おうものなら、「いいえ行きません。うちゃあ綺麗なもんじゃ」とテコでも動かないので、「栄子ちゃん、ドライブに行こう」と誘って車に乗せる。道々看板を読ませると、漢字もカタカナもまだ達者に読む。30分のドライブなら、2時半には帰れるなと、時間の観念もある。美容院に着いたので、「ちょっと降りて、こんにちはだけ言ってこよう」と言うと、「うちゃあここで待っとります」と。「あらあ、みんなが栄子ちゃんに会いたがってるよ」とおだてるとしぶしぶ降りる。
ドアが開いて、「いらっしゃいませ」と笑顔を向けられたとたん、栄子ちゃんのスイッチが入る。「今日はお世話になります。こんなお婆さんでごめんなさい。百までには死にます」と、笑いまで取っている。「思いっきり短くしてください」「お爺さんみたいになってもいい?」「ぜんぜん大丈夫♪」(笑)。
抱へきし男に似たる捨案山子 水木なまこ
