実南天朱塗りのお重拭きあげて
倉敷の茶房のめぐちゃんは40歳という若さであるが、お茶や料理に使う水は遠方の山へ汲みに行くし、薪ストーブで暖を取り、三和土を水拭きする人なので、近所のお年寄りからも信頼されている。「タダであげても売ってもいいから店の隅に置かせてくれ」と頼まれ、人のいいめぐちゃんは、拭き清めた上、その通りにしていた。
「独特の匂いがあるから、楽かもしれない」という、一見重そうなのにとても軽くて触り心地のよい茶碗をタダ同然で持ち帰った。裏返すと、高台の感じも落款もいい雰囲気だ。しかし、めぐちゃんのいう匂いを感じなかったお吟さんも、湯で洗って抹茶を点てて一口飲むと、釉薬の匂いだろうか、臭くて飲めない。
ネットで調べると、抹茶を点ててはしばらくそのまま置く、ということを繰り返すと匂いは消えるとある。安い抹茶を買ってきて試してみよう。骨董に詳しいお客さんにも聞いてみよう。
煮凝や九谷の皿の尉と姥 大石悦子
