百合の蕊仇のやうに拭き捨てぬ
下井草図書館裏の造園はいろいろな花が咲くので毎日、あ、今日は松明草が開いたと眼福の造園なのだが、これらは隣に住んでいる造園の主の妹がお茶の先生で勝手に茶花として植えているので(下手な俳句付きで)、わたくしの顔を見ると自分で植えたくせに百合の花が勝手に増えて困るから持ってっていいよと言うのだが「やはり野に置け蓮華草」なのでアパートに飾る趣味はないよと言うと(開いて半日で雄蕊が花粉を撒くので服に付くと取れないから厄介者なのである)、家の畑で採れたので持って行ってと、今日は隠元豆をくれた。大蒜と炒めて食べると言うとバターニンニク炒めがインゲンはおいしいのよねと先生も同じ事を言っていたが、実に勝手気ままなお茶の先生である。まあ、お兄さんの造園主も自分の植えた木を毎日写真に撮って愛でてくれるわたくしは嬉しい来客なので自由に写真を撮らせてもらえるのでありがたいが、妹が勝手に色々な花を植えるのには困惑しているらしい。
下井草図書館の花壇担当の女性も顔なじみになって沙羅の木を三本育てているので、「沙羅」は西野文代師匠の第一句集のタイトルなので、下井草に引っ越してきて沙羅の花を見て非常に感銘を受けた。
ひとめぐりして来て沙羅の咲く下に 西野文代
巡りあふ沙羅の花散る木の下に 猫髭
ラスカルが見たようにわたくしにとっては思いの深い木なのである。吟行では岩淵先生だけがこの句を採ってくれた。もって瞑すべし。
この造園では夏は柘榴の花の朱色と姫檜扇水仙の朱色がわたくしは大好きである。歌舞伎の朱色は太古の日本の色を思わせる。
