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スレッドNo.311

席譲る声をかけられ黄落期

帽子にマスクに柿色のウインド・ブレーカーに黒のGパンにスニーカーで電車に乗ってすぐ「替わりましょうか」と前の子連れの主婦が席を立とうとするので狼狽した。杖も突いていないし帽子を被ってマスクをしているから白髪も白髭も隠れているし、ユニクロの白いバッグも肩から提げて、服装といい持ち物といい老人臭はないはずだ。それなのに彼女は間髪を要れず読んでいた本から顔をあげて目が合うと立ち上がって席を譲ろうとしたのだ。勿論断ったが、席を譲らなければならない高齢者だとどうして彼女は瞬時に判断したのだろう。帽子はゴルフの聖地マスターズでしか売っていないレア物で眼鏡はバーバリーのクラシックデザインで、マスクもブレーカーの下のタートルネックの黒で統一している。昔似たような黒尽くめに赤いスニーカーのスタイルで新宿駅で降りたときに若い女性に素敵ですと言われて徹夜明けの格好だよと驚いたことがあるが十代にはロマンスグレーのおじ様に見えて二十代の主婦にはよたよたの爺いに見えるのはなぜか、一日悩んで、最後のお客の車椅子老人の夕食を、目刺し三匹焼いて、長芋のとろろ汁と輪切りにして胡麻油で炒めた長芋のソテーと南瓜の煮物を用意して、そのときふっと足元を見ていて老人の歩き方だと思い込んだのではないかと気づいた。

確かにここ二ヶ月机作業で肩や腰を痛めて電気マッサージ治療を受けていたから歩き方が蟹股でべったり靴底を着いて安定を確かめるようにゆったり歩く癖が付いているのでドアが開いて本を読んでいた彼女の目には自分のほうへ歩いてくる歩き方がかなり高齢の老人だと察知したのではないかと気づいたのだ。確かに歩き方は颯爽としていないは。

  さやけしや母子で漫画読んでをり

それにしても幼稚園か小学校かの男の子が漫画を読んでいたのは当然として母親まで漫画を読んでいるのには驚いた。そういう時代になったのだ。

東京展は上野公園が三連休最後の日だからか物凄い人で展覧会もまともな絵は特別展示の聖さんのような絵で、あとは絵ではなくイラストレーターか漫画のような展示で気持が悪くなったので、西洋美術館のロダンやブールデルの彫刻を見て、上野御徒町へ澤さんと聖さんと句画展の企画を話題に酒をしこたま呑んで聖さんと澤さんが絵画論と俳句論でバトルを始め、平行線だからお前何とかしろと、え、俺なのおと振られても困るなあと、とりあえず澤さんの初期句集『印象』(1982年)と『風影』(2008年)の句集を中心に二人のこれまでの交友が見える句画展にしようと来年4月10日開催に向けて走り出すことにした。二刷は出ていないから勿論初版で持っているのは猫髭だけじゃないのかという希覯本である。それにしても呑んだ。三升は呑んだのではないか。蟒蛇(うわばみ)会と名前を変えないといかんなあ。

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年10月11日 20:01)

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