音楽の聴こゆる俳句夏旺ん
倉敷の茶房にて句会。わけあって、「現代俳句」の編集部長の柳生正名氏が見えて、いいお話をたくさんしてくださったが、はてなんだったか思い出せない(笑)。検索したら氏の俳句があったので、ちょいといただき。
uly 0772014
ヘッドホンのあはひに頭さみだるる
柳生正名
ヘッドホンというのだから、たしかに「あはひ(あいだ・間)」には「頭」がある。しかし私たちは普通、そこには「頭」ではなく「顔」があると認識している。だからわざわざ「頭」があると言われると、理屈はともかく、「え?」と思ってしまう。そしてこの人は、顔を見せずに頭を突きだしているのだろうと想像するのだ。つまり、ヘッドホンを付けて下うつむいている人を思い浮かべてしまうというわけだ。ヘッドホンからはどんな音楽が聞こえているのかはわからない。が、さながら「さみだれ」のように聞こえている音楽が、その人の周囲に降っている五月雨の音に、溶け込むように入り交じっているようである。そう受け取ると、おそらくは青年期にあるその人の鬱屈した心情が思われて、読者はしんと黙り込むしかないのであろう。『風媒』(2014)所収。(清水哲男)
