恐縮旋盤 #2016.3.27
「美男の顔役」・・・①
3月「大江戸評判記 美男の顔役」の放送も終了しました。
この作品大好きなので十分にゆっくりと書かせていただきたいと思っています。
橋蔵さまの良さが詰まった作品なので、見ていない方には知っていただきたくて。
旗本くずれのやくざ浪人金子市之丞の哀愁、ひょうきん、真面目、等の場面がふんだんにあり、橋蔵さまの魅力が存分に描かれています。
一度に書くと画像が上手く反映されない時がありますので、時間の合間をぬって少しずつ投稿していきます。
今回は、台詞で攻めてみましたが、多くて読みずらいかしら。
私、台詞を読み取りながら、言葉と台詞まわしの勉強をしてしまいました。
河内山宗俊に関しては講談「天保六花撰」や歌舞伎天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)で有名なので、皆様ご存知だと思います。そこから脚色した、片岡直次郎の母が出世をした息子に会うため国もとから出てくるというので、河内山宗俊達が一芝居をうつ、という筋も映画化ドラマ化が数回なされていましたので、「あぁっ、あの筋書」とお分かりの方もいらっしゃると思います。
「美男の顔役」はその話を御家人崩れの悪名高い剣客、金子市之丞をメインで描いた作品です。
橋蔵さま演ずる金子市之丞、悪党で美男、女性に大もて。橋蔵さまのいろいろな表情が盛りだくさん、楽しく可笑しい中にも心を打ち、市之丞の母への思慕を織り込んでの涙が浮かんでくる人情ものです。
橋蔵さまの金子市之丞の母を想う演技に愛しさを感じてしまいます。
この作品は橋蔵さまの声の抑揚の使い方、台詞まわしのうまさがよくわかります。表情も良いです。武士としての台詞に品位があり、うまいなぁ。引き込まれます。
作品をご覧の方は、台詞から、橋蔵さまの表情や声の抑揚はこうだったと思いながら読んでみてください。
まだ、ご覧になっていない方は、台詞から、橋蔵さまの表情やこんな声で抑揚で、と想像していただければうれしいです。
立回りも橋蔵さま軽い感じで動いてゆきますが、ダイナミックで歯切れの良い格好いいチャンバラで決まっています。
監督は沢島忠さん、橋蔵さまで明朗活劇作品は「若君千両傘」以来になりますかしら。では、橋蔵さま金子市之丞「美男の顔役」に入っていきましょう。
片岡直次郎は水茶屋で、飛脚から母親が江戸へ出てくるという手紙を受け取り、河内山宗俊に相談しなければと慌てています。暗闇の丑松は身投げをした百姓彦六を助けるために飛び込んだが、金槌のため反対に助けられ意見をされています。同じ時、金子市之丞は・・・
川の桟橋に繋がれている屋形船のなかで、男(中野碩翁の用心村山源之進)が嫌がる小唄の師匠勘美津に言い寄っています。
そこへ、屋形船の障子が開き黒頭巾の金子市之丞が入ってきました。(バックに軽妙な音楽が流れこの後を・・するような)
市之丞「お楽しみのところ、とんだ邪魔入り、恐縮旋盤」 (①の画像)
源之進「なに奴じゃ」
市之丞「この女の亭主でござる。如何に拙者のような浪人とは申せ、女房を手籠めにされて、そのまま打ち捨ておくにはまいらん」
源之進「・・・」
市之丞ここで、にやっと笑い、砕けて、
市之丞「というのも、誠にもって野暮なはなし。(➁の画像)下世話にも、間男七両二分という言葉がござるそうだが、拙者もあいにく手元不如意の折から、 金五十両にて目をつむってもよい」
ここで「美人局(つつもたせ)」という言葉が出てきます。
時代劇を見ている皆様はご存知、徳川時代には不義密通はご法度で、密通の者は男女ともに死罪になりました。とはいうもののこの法には裏があり、実際には金でカタをつけることも多かったようです。間男のほうから命乞いがあったときには、相手の男に大判1枚の首代を支払えば、どうやら命は助かったよう
です。
文化年間の書物『金曽木(かなそぎ)』に、「江戸には姦夫の償を金七両二分といふ。大阪にて五両と云もおかし」とあります。これが「間男七両二分」という言葉の由縁らしいです
川柳「据えられて七両二分の膳を食い」という句があります。据え膳に応じたら、夫婦共謀での示談金を巻き上げるいわゆる「美人局」だった。この様に命がけの不倫も幕府にわからなければ金になると、金儲けの材料に利用する者が続出し、天保期には幕府の取り締まりが厳しくなったようです。
源之進「う~ん、おのれ夫婦共謀の美人局だな。その脅しに乗る拙者と思うか」
市之丞に抜き打ちで刀を振りかざした村山であったがねじ伏せられて、懐から財布を取り上げられてしまいます。
「おっ」財布の重さを手に乗せて重さをはかり顔をしかめて
市之丞「身分の地位のと、ごていそうな口を聞きやがったわりには、しけてやがるぜ」
財布を懐に入れて
市之丞「やっ、ご無礼つかまつった」 (③の画像)
バカ丁寧な挨拶を残して、屋形船を出て行きます。 (悪いことをしても、最後の挨拶は忘れない金子市之丞でした。)
🍀この時の橋蔵さま
「悪人といったって根は純情なんですよ。愛される悪人、というのが、金子市の狙いなんですよ」、と。
この場面カット後、「どうも、後味が悪くていけませんやね」と。
花園ひろみさんも「ほんとね」と美人局のお二人が言っていたそうです
🐧(こんなように素敵で粋な浪人に惚れていたら、どうなろうと美人局の片棒かついでしまいますね。)
勘美津は金子市にぞっこん惚れているから片棒をかついでいるのに、金子市之丞が言い寄ってくる女の一人としてしか見ていないのに腹を立ててしまいます。
市之丞はお金を手に入れれば、女には用なし、勘美津には目もくれず帰っていきます。勘美津の気持ちは、これでは納まりません。金子市を追って練塀小路まで追いかけていきます。
この後、色男金子市之丞に女難が降りかかってきます。
<次に続く>
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