新吾 ラブ・シーン #2017.8.7
橋蔵さまと丘さんの対談の後は、「新吾二十番勝負」のまずは新吾と多加のラブ・シーンの一コマに焦点を合わせてみました。
彦根城の中の大きな座敷に、お浪に案内されて新吾と由紀姫が入ってきます。
橋蔵さまの扮装は非常に若々しいつくりで、ヅラは十番勝負よりまた長くなった茶せんまげです。
大人っぽくなった前髪のウェーヴが素敵ですね。野草をあしらった白っぽい衣装をきちっと着て、背筋を伸ばし、さすが品のよい御落胤に相応しい天下一の美剣士です。
「新吾十番勝負」完結篇で、新吾は「もう多加はいない」と馬に乗って行ってしまったわけで、それからの再会ですから、武家娘の扮装で新吾の前にあらわれる由紀姫の喜びも大きいわけです。
由紀姫「新吾様、父の命で参りました。何卒当分の間、彦根にご滞在くださいまするよう」と挨拶をします。
新吾「何故です。大賀陣蔵ごときを恐れて、彦根にかくまわれているのは、私の本意ではない。由紀姫どの、あなたは私の気性をよくご存知のはずだ」
この時はお浪がまだいましたから、かしこまった挨拶を交わします。
お浪が行ったのを見極めると、由紀姫は急に態度を替え媚びるような笑みを浮かべます。
由紀姫「由紀姫ではありません。多加と及びください」
新吾 「お別れの時に申し上げた筈だ。酒井家の姫君として現れた時、私の胸の中に生きていた多加女の姿は消えてしまったと」
(思い出してくださいね・・四国多度津であった宿でのことを・・「妻女とは思えぬ、乙女のような気がする」新吾はこの時心ひかれていたのです。
いきなり新吾の胸に飛び込んで来た多加女を新吾は「酒の上の戯れにも程がある」と言って多加を遠ざけました。が、新吾は多加女のことを忘れられませんでした。上覧試合で多加が由紀姫と分かった時、新吾の恋はやぶれてしまいました。)
由紀姫は新吾は勝手で我儘な人間だ、女心など察しようともしないと。でも、私は好き、新吾様が好きと言って新吾の胸に身を投げかけます。
「姫」、「姫ではありません。多加です」
「多加女」新吾も抑えていた気持ちが崩れたのでしょう。いきなり由紀姫を抱きしめようとします。
普通でしたら、そのまま抱かれるのでしょうが、さすがに由紀姫もハッとして身を縮めてしまいます。
このままにして、と云いたいが・・・うまくはいかないものです。残念ながら、新吾も由紀姫も足音が聞こえたので、慌てて離れます。お浪がお茶を持ってやって来たのです。新吾は何もなかったように
新吾「あなたも旅疲れのはず、今夜はもうお休みなさい」
由紀姫「いいえ、私は・・」(もっと二人きりでいたいと言いたかったのでは)
新吾 「でも、今夜はもうおそい。あすゆっくりお話を聞こう」といって急いで部屋を出て行きます。
折角新吾の気持ちを確かめたのに、邪魔をしてと、由紀姫はお浪を睨みつけますが、お浪にしてみれば意味が分かりませんね。
🐧(二人の関係を知らないのだから仕方がないです。新吾もしばらくは誰も来ないように、とでもいってもよかったのにね。お浪がもう少しあとに、新吾がしっかりと由紀姫を抱いてから来てきてほしかったとも思うのは、いけないことかしら。新吾が心底惚れた人ですもの・・抱かせてやってほしかった。ここで由紀姫を抱いていたら、完結篇でのいとなどを抱き、番外で小貫を好きになることもなかったのでは・・と思ってしまうのです・・・原作者、脚本家の考えを完全に無視することをいってみました。新吾ファンの人達から反発を買いそう、ゴメンナサイ)
📌松田定次監督はこのシーンのセットに入った時、お二人を見つめ、「髪形も衣装の色もいいですねえ」と言って、橋蔵さまに「第五部(新吾二十番勝負)では、新吾の人間成長が狙いの一つになりますが、美剣士の魅力を壊してはダメなので、のびのびとやってください」と注文したそうです。
それに答えて、橋蔵さまも「その通りだと思います。『炎の城』など異色作ものをした後だし、お正月に家族そろって楽しんでいただくように、工夫してみるつもりです。メーキャップも新魅力を出そうと思って少しは変えてみたのですよ」と楽しげに抱負を語ったそうです。
丘さんも「二十番勝負という新しい道を目指す新吾が、剣を忘れて愛情に打ち込めるような、情熱のたぎった女を演じたい」と。
新吾二十番勝負のテーマは”人間としての新吾の成長ぶりを描く”ということのようです。その突破口となるのが、上記のシーンです。
📷 載せました画像は、作品中から出なく、雑誌からのを載せました。作品の場面はカメラの具合からあまり好きな構図ではないので、私は雑誌掲載用でモノクロですが綺麗で好きなのでこちらを載せました。この角度からの橋蔵さまとても綺麗でしょう。
そして、3番目の画像は、手前にシナリオがありスタッフがいます、リハーサルのお二人です。
👆(下記URLをクリックすると画像にリンクします)
https://sugi-nami.blog.jp/archives/14857318.html