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スレッドNo.154

令和2年の投稿「フィボナッチ数のべき乗数」への返信:

>フィボナッチ数 {F(n)}:0,1,1,2,3,5,8,13,21,35,・・・ に関して、必ず示される漸化式が

>  F(n+2)=F(n+1)+F(n)

> そこで、このフィボナッチ数のm乗数:F(n)^mについて調べると、

>F(n+3)^2=2*F(n+2)^2+2*F(n+1)^2-F(n)^2

>F(n+4)^3=3*F(n+3)^3+6*F(n+2)^3-3*F(n+1)^3-F(n)^3

>F(n+5)^4=5*F(n+4)^4+15*F(n+3)^4-15*F(n+2)^4-5*F(n+1)^4+F(n)^4

>  ・・・・・・・・・・・・・・・

>が成立しています。

> m=5、6、・・・ に挑戦してほしい。



(F(n+6))^5, (F(n+7))^6 は次のようになります。
(F(n+6))^5=8*(F(n+5))^5+40*(F(n+4))^5-60*(F(n+3))^5-40*(F(n+2))^5+8*(F(n+1))^5+(F(n))^5,
(F(n+7))^6=13*(F(n+6))^6+104*(F(n+5))^6-260*(F(n+4))^6-260*(F(n+3))^6+104*(F(n+2))^6+13*(F(n+1))^6-(F(n))^6.


一般には、次のようになります。

mを正整数、s,tを実数(ただし、t^2+4*s≠0,t≠0)とするとき、漸化式
a(n+2)=s*a(n)+t*a(n+1)
を満たす数列 {a(n)} に対して、等式
(a(n+m+1))^m
=Σ[k=1~m+1](a(n+m+1-k))^m*((-1)^(k+1))*((-s)^(k*(k-1)/2))*(Π[j=1~k]A(m+2-j)/A(j))
が成り立ちます。
ここで、{A(n)}は以下で定まる数列です。
A(0)=0,
A(1)=1,
A(n+2)=s*A(n)+t*A(n+1) (n≧0).


(証明)
α=(t+√(t^2+4*s))/2,β=(t-√(t^2+4*s))/2 とします。
a(n)=v*α^n+w*β^n (v,wは定数) と表せます。
G(z)=Σ[n≧0](a(n))^m*z^n とおくと、
G(z)
=Σ[n≧0](v*α^n+w*β^n)^m*z^n
=Σ[n≧0]z^n*(Σ[j≧0]comb(m,j)*(v*α^n)^j*(w*β^n)^(m-j))
=Σ[n≧0]z^n*(Σ[j≧0]comb(m,j)*(v^j*w^(m-j))*((α/β)^j*β^m)^n)
=Σ[n≧0]Σ[j≧0]comb(m,j)*(v^j*w^(m-j))*(z*(α/β)^j*β^m)^n
=Σ[j≧0]comb(m,j)*(v^j*w^(m-j))*(Σ[n≧0](z*(α/β)^j*β^m)^n)
=Σ[j≧0]comb(m,j)*(v^j*w^(m-j))*(1/(1-z*(α/β)^j*β^m)).
よって、
G(z/(β^m))=Σ[j≧0]comb(m,j)*(v^j*w^(m-j))*(1/(1-z*(α/β)^j)).
両辺に Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j) をかけると、
G(z/(β^m))*Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j)=(zについてのm次以下の多項式)
となります。両辺の z^(n+m+1) の係数を比較して、
[z^(n+m+1)](G(z/(β^m))*Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j))=0.

[z^(n+m+1)](G(z/(β^m))*Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j))
=Σ[k=0~m+1]([z^(n+m+1-k)]G(z/(β^m)))*([z^k]Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j))).

ここで、[z^(n+m+1-k)]G(z/(β^m))=(a(n+m+1-k))^m*(1/β)^(m*(n+m+1-k)).
また、[z^k]Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j)は少々厄介ですが、
[z^k]Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j)
=((-1)^k)*((α/β)^(k*(k-1)/2))*Π[j=1~k](1-(α/β)^(m+2-j))/(1-(α/β)^j)
となります。
(一般に、[z^k](Π[j=0~m](1-z*γ^j))
=((-1)^k)*(γ^(k*(k-1)/2))*Π[j=1~k](1-γ^(m+2-j))/(1-γ^j))
となります。このことは後に証明します。)

よって、
[z^(n+m+1)](G(z/(β^m))*Π[j=0~m](1-z*(α/β)^j))
=Σ[k=0~m+1](a(n+m+1-k))^m*(1/β)^(m*(n+m+1-k))*((-1)^k)*((α/β)^(k*(k-1)/2))*Π[j=1~k](1-(α/β)^(m+2-j))/(1-(α/β)^j)
=Σ[k=0~m+1](a(n+m+1-k))^m*((-1)^k)*((α*β)^(k*(k-1)/2))*(Π[j=1~k](β^(m+2-j)-α^(m+2-j))/(β^j-α^j))*(1/β)^(m*(n+m+1))
=Σ[k=0~m+1](a(n+m+1-k))^m*((-1)^k)*((-s)^(k*(k-1)/2))*(Π[j=1~k]A(m+2-j)/A(j))*(1/β)^(m*(n+m+1)).
これが 0 に等しいので、
(a(n+m+1))^m = Σ[k=1~m+1](a(n+m+1-k))^m*((-1)^(k+1))*((-s)^(k*(k-1)/2))*(Π[j=1~k]A(m+2-j)/A(j)).



------------------------------------------------------------------
[z^k](Π[j=0~m](1-z*γ^j))
=((-1)^k)*(γ^(k*(k-1)/2))*Π[j=1~k](1-γ^(m+2-j))/(1-γ^j)
であることの証明:

G(γ,z)=Π[j=0~m](1-z*γ^j)とおき、G(γ,z)を展開したときの z^k
の係数を U(γ,k) とします。
そうすると、G(γ,z)=Σ[k=0~m+1]U(γ,k)*z^k.

等式 (1-z*γ^(m+1))*G(γ,z)=(1-z)*G(γ,z*γ) が成り立ちます。
この等式の両辺のz^kの係数を比較して、
U(γ,k)-U(γ,k-1)*γ^(m+1)=U(γ,k)*γ^k-U(γ,k-1)*γ^(k-1).
よって、
U(γ,k)
=((γ^(m+1)-γ^(k-1))/(1-γ^k))*U(γ,k-1)
=((γ^(m+1)-γ^(k-1))*(γ^(m+1)-γ^(k-2))/((1-γ^k)*(1-γ^(k-1))))*U(γ,k-2)
=…
=(Π[j=1~k](γ^(m+1)-γ^(k-j))/(1-γ^j))*U(γ,0)
=Π[j=1~k](γ^(m+1)-γ^(k-j))/(1-γ^j)
=((-1)^k)*(γ^(k*(k-1)/2))*Π[j=1~k](1-γ^(m+2-j))/(1-γ^j).

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年07月31日 10:49)

2年前の投稿だったので忘れていました。
ちなみに10乗までの式を置いておきます。

F(n+8)^7=21*(F(n+7))^7+273*(F(n+6))^7-1092*(F(n+5))^7-1820*(F(n+4))^7 +1092*(F(n+3))^7+273*(F(n+2))^7-21*(F(n+1))^7-(F(n))^7

F(n+9)^8=34*(F(n+8))^8+714*(F(n+7))^8-4641*(F(n+6))^8-12376*(F(n+5))^8 +12376*(F(n+4))^8+4641*(F(n+3))^8-714*(F(n+2))^8-34*F(n+1))^8+(F(n))^8

F(n+10)^9=55*(F(n+9))^9+1870*(F(n+8))^9-19635*(F(n+7))^9-85085*(F(n+6))^9+136136*(F(n+5))^9+85085*(F(n+4))^9-19635*(F(n+3))^9-1870*(F(n+2))^9+55*(F(n+1))^9+(F(n))^9

F(n+11)^10=89*(F(n+10))^10+4895*(F(n+9))^10-83215*(F(n+8))^10-582505*(F(n+7))^10+1514513*(F(n+6))^10+1514513*(F(n+5))^10
-582505*(F(n+4))^10-83215*(F(n+3))^10+4895*(F(n+2))^10 +89*(F(n+1))^10-(F(n))^10

なお10乗の式を構成するには、プログラム的に
gp > A(n)=matrix(n,n,i,j,binomial(i-1,n-j));
gp > charpoly(A(11),x)
%150 =
x^11 - 89*x^10 - 4895*x^9 + 83215*x^8 + 582505*x^7 - 1514513*x^6
- 1514513*x^5 + 582505*x^4 + 83215*x^3 - 4895*x^2 - 89*x + 1
なお
gp > A(11)
%151 =
[0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1]

[0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1]

[0 0 0 0 0 0 0 0 1 2 1]

[0 0 0 0 0 0 0 1 3 3 1]

[0 0 0 0 0 0 1 4 6 4 1]

[0 0 0 0 0 1 5 10 10 5 1]

[0 0 0 0 1 6 15 20 15 6 1]

[0 0 0 1 7 21 35 35 21 7 1]

[0 0 1 8 28 56 70 56 28 8 1]

[0 1 9 36 84 126 126 84 36 9 1]

[1 10 45 120 210 252 210 120 45 10 1]

の行列を意味する。(パスカルの三角形を右詰めで作る。)
この行列の特性方程式を導くのがcharpolyコマンドです。

この式から%150=0と置いて
一気に
x^11=89*x^10 + 4895*x^9 - 83215*x^8 - 582505*x^7 + 1514513*x^6
+ 1514513*x^5 - 582505*x^4 - 83215*x^3 + 4895*x^2 + 89*x - 1

の表示が入手でき、これを元に組み立てられる。

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年08月02日 08:16)

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