「キビシロタンポポ発見物語」仁淀川町でキビシロが見つかる!
こんにちは 事務局の藤川です。
タンポポ調査も終盤を迎え、事務局では皆さんから送られてきたタンポポの同定、整理を急ピッチで進めております。データ入力はこのタンポポデータベースを構築されHP管理等を含めnakanakaさんにお世話になりっぱなし。ありがとうございます。先週3000タンポポサンプル弱まで、公開しています。
さて、仁淀川町でキビシロタンポポが確認されましたので、その発見物語を事務局から報告します。
〈経緯〉発見者ー牧野植物園の藤井聖子さん!!
藤井さんが、仁淀川町上名野川から槇ノ谷方面へ、植物探査へ向かおうとしていたとき、車窓から車道脇に群生するセイヨウタンポポの黄色い花の中に、ぽつんと淡い色のタンポポを発見。この時に車を止めようとするも、後ろから来た車2台に道を譲れる場所がなく、そのママ採集できずに通り過ぎる。その後で、車を走らせたところ、再び、淡い色のタンポポを確認。道路沿いに2株を確認し、写真を撮影し、花を採集して事務局へ提出されました。
事務局で写真を確認すると、確かに淡いクリーム色。キビシロか、ヤマザトか、キバナシロタンポポかも?仁淀川町ではキビシロにしても、ヤマザトにしても未だ確認されていない在来タンポポです。これは行かなければならぬと、雨が続いた先週やっと晴れた4月25日に、藤井さんが記録してくれた緯度経度と地図をもち、仁淀川町のタンポポ先生こと、信野さんをお誘いし、現場へ向かいました。
〈調査結果〉3地点でキビシロ!を確認
仁淀川町のタンポポサロンの一つ喫茶まるはちにてスパイスカレーを食べ、12:30にスタート。早速現場周辺上名野川に向かいました。最初に車を止めたところでは確認できず、さらに車を進めていくと、すると車道沿いに「ど根性キビシロ」を発見(写真をご確認ください)。車を降りて車道沿いを探索すると5株ほど、花茎があがっていたキビシロを確認することができました。いわゆるタネ(果実)は一つもなく花のみでしたが、以前愛媛県で確認したキビシロと同じスレンダーで背が高い容姿をもつキビシロタンポポです。その後、集落を探査し、車道沿いだけではなく、集落内の小径にもキビシロが生えていることがわかりました。信野さんがしっかりと生育地を確認、今回の調査ではタネを確認することができなかったので、タネが出来たときに再調査を依頼しました。
〈課題〉まだまだ見つかる可能性が!
梼原町と大豊町のみで確認されていたキビシロタンポポ。前回2020年調査で梼原町が新産となり、今回の調査により仁淀川町で新たに発見されました。
課題1)本種は高知県のレッドデータブックで絶滅危惧II類(VU)に指定されており、今回一番個体数が多く確認された1地点(20株ほど)は管理放棄された小径。継続したモニタリング調査が望まれます。
課題2)キビシロとヤマザトの関係は微妙。いわゆる分類学的には、淡い黄色の個体の色味の個体をどのように判断して同定するか。大豊町のキビシロと比較するとその印象からするとスレンダー。これまで確認されている梼原町のキビシロとヤマザトタンポポと比較していきます。加えて、シロバナと同定していた中に、キビシロが入っていないか、角状突起や総苞片の縁の赤色、タネの色など、しっかり見て同定していかなければと、改めて思いました。
課題3)まだ未踏査の地点にも
仁淀川町の里山にキビシロが確認されたことから、大豊町から梼原のエリアの人里や山里に、キビシロやヤマザトタンポポが、見出される可能性が。愛媛県久万高原町にはキビシロが点在するとのこと。県内中山間地域(200〜)400〜800(〜1100)mくらいの集落の道路沿いや石垣など、これからの季節に皆さんもちょっと淡い色のタンポポを探してみてください。
引き続き、宜しくお願いします。
上名野川のキビシロタンポポ見てきました。
奥谷集落の3か所で確認できました。株数は花をつけたものが22株、花を付けない小さな株は開花株の半数程度でした。
3か所はあまり関係なさそうな位置でしたが、帰ってきて古い地図を見て納得。現在のような車道ができる前に、集落内・外を結ぶ主要な道路(1/50,000の地形図に点線で図示されている道路)沿いでした。かつては、人の利用の多い道路沿いに生えていたものと推測されます。
ここのキビシロタンポポは藤川さん指摘のとおり、スレンダーな姿かたちで、梼原のものとよく似ています。
比較のため、大豊のキビシロタンポポと並べてみました。