父の施設入所に伴う実家の売却
父が施設に入り実家が空き家になりました。父は認知症が疑われて検査を受けているところですが、費用の足しにするため早く売却したいです。どう進めればいいですか。
Sato様
早速ですが、他の方もお話しされているようにお父様ご本人の意思確認が重要となります。
ちゃんとした判断能力があるのか、なければ成年後見人制度(費用は掛かります)を利用することになります。
お父様本人の意思確認については、どうしても親族の方は大丈夫だと思いたい傾向がありますが、
司法書士が客観的に意思確認しますので、ごまかしは効きませんから売却の相談をする不動産業者に司法書士を紹介してもらうか、司法書士事務所を探して(各地域の法務局近隣に事務所があることが多い)相談してみると良いかと思います。
信頼できると感じた不動産業者であればさらに、過去にこのような事案を経験したことがあるかも確認しておくと良いです。
成年後見人制度を利用しなければならない状況ですとどうしても手続き上、通常の売買手続きよりも時間を要してしまうのでその点はご注意くださいね。
費用の足しということなので、売却価格によっては売却後の譲渡税も発生する可能性もありますので、可能であれば同時に税理士への相談もしておくと良いかもしれません。
Sato様 ご実家の売却は早めの行動を、初期段階ですること。
高齢者施設で何度か売買契約・決済を行っています。認知症の程度にもよりますが、まずは会話が成立つ正常な時にお父様に売却の意思を確認してください。OKならば具体的な状態を司法書士(信頼できる不動産会社に紹介してもらう)に伝え、担当者に売却の準備を早急に進めてもらいましょう。
権利証や実印、通帳・銀行印も実家から持出し(マイナンバーカードや保険証は施設が預かっている)印鑑証明は原則本人が役所に出向けばすぐ取れます。施設で付添い付きの外出なら許可がでるでしょう。相談して下さい。
担当者には早めに契約・決済が可能で安心して取引ができる買主を見つけてもらい施設で会議室など契約場所を予約してください。売却価格の多寡ではなく時間が重要です。
先日、契約・決済前に事前の状態を確認しに施設に行きました。かなり体調は悪かったのですがご子息が売却の説明をし、はっきりと意思が確認できたので司法書士に連絡。念のためスマホ動画も撮りました。親子揃っての画像も撮りました。記念写真にもなりました。
当日は施設の会議室で車椅子の本人とご子息が立会い、署名は司法書士の面前で一緒に手を添えて書き、無事に決済できました。
ご子息からはこれで施設費用の心配はなくなり売却をあきらめないで良かったとのお言葉をいただきました。
まずは、お近くの信頼できる不動産会社に相談しましょう。売却価格だけでなく状況を把握できる担当者がよいですね。
お父様にとっては思い出がいっぱい詰まった家です。大事に話を進めこれからのことをよく話せば記憶と共にわかってくれるでしょう。お早めに。
sato様、ご相談有難うございます。
ご実家の土地建物はお父様の名義という前提でお話ししますと、「認知症を疑われて検査を受ける」との内容が心配です。というのも、売却の「登記」を行う際には司法書士による「本人の意思確認」が必要となります。
これはご自身(名義人)の名前・住所・生年月日をはじめ、この不動産を所有していることの認識や、売却する意思などを司法書士が確認するのですが、万が一、いずれか(または複数)の問いに答えられず「判断能力が不十分」と司法書士が判断した場合は登記手続ができないため、売却することができません。
ですが、家庭裁判所による「成年後見制度」を利用することで売却が可能となります。この制度は認知症の方など判断能力が不十分な人の財産管理などを行う後見人(法的な代理人)や監督人を家庭裁判所が選任する制度です。これにより、後見人を介してお父様の財産を管理することで不動産の売却もできます。
但し、成年後見制度を利用するためには数ヶ月の期間を要することや、後見人または監督人となる弁護士への報酬が毎月必要となること、本人がお亡くなりになるまで途中でやめることができないなど、場合によってはデメリットとなる要素も含んでいることがあります。
この制度は煩雑な部分も多いため、まずは不動産会社に相談して司法書士を紹介してもらい、相談しながら利用の要否を判断することをお勧めします。
その際も、なるべく成年後見制度を利用した案件を取り扱ったことのある不動産営業を選んでください。sato様の心情をある程度理解できることもあるので、安心して手続きを進めることができると思います。
大変なこともあるかと思いますが、良い結果となることをお祈りいたします。