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【SLIPERより】
障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)により、令和6年(2024年)4月1日から学校などの公的機関を含む事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されています。この法律では、合理的配慮は「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と定義されています。また、文部科学省の定義は、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」となっています。これらの定義では、「障害」があることが前提になっていますが、「教育を受ける権利」が侵害される症状がある場合は、合理的配慮の対象とみなすことになると考えられます。
ここでの女子生徒さんも偏頭痛によって授業に出るのが困難な状況があるため、保護者の合理的な配慮をして欲しいという訴えは妥当と言えます。しかし、問題となるのは、どこまでが合理的配慮なのかという点です。学校にとって、過度の負担にならない支援はどこまでかを判断する基準について、明確な線引きはありません。合理的配慮を進めていくためには、子どもやその保護者との「建設的対話」が大切であると言われています。子どもが求めていること、学校ができることを話し合いによってすり合わせをしていく必要があります。対話には近道はありません。時間がかかっても、事実のみでなく気持ちの部分も含め、じっくりと話し合うことが基本です。その際、「それはできない」というネガティブな方向ではなく、建設的に「何ならできるか」「どうすればできるか」を志向した対話を意識することが重要です。
この事例での対話の際のポイントを挙げてみます。
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・本人の意思、意向を聞き取る
→保護者の意見ではなく、本人がどう考えているかどうして欲しいと思っているかを丁寧に聞き取る
・症状の確認
→医師の意見書など合理的配慮の根拠となる情報の提出を保護者にお願いする
(医学的な観点から適切な対応が検討できる)
・保護者と関係を構築する
→保護者の訴えをいきなり拒絶しないで、話をしっかり受け止める
→お互いに子どもの学習の権利を守りたいと思っていることを共有する
→本人の希望を中心に支援を組み立て、双方で合意した案を記録に残す
保護者に強く言われて従ってしまう、という構図はいただけません。子どもの持つ偏頭痛という症状を原点にすることからブレないように、専門職である養護教諭として話し合いの場に参加しましょう。
この場合の親御さんの要求について整理してみます。
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「休みたいだけ寝かせてほしい」
→ 保健室は治療の場ではなく、一時的な対応の場です。
長時間の滞在は、学習権の保障、他の生徒対応に支障をきたす可能性があります。
上限を1時間とし、それ以上の休養が必要な場合は下校させる判断は妥当でしょう。
→医師の診断があり、「安静時間の確保」が治療の一環であるならば、医療的視点からの対応も含めて、個別の対応計画を検討してみましょう。
「ホットパックを常に用意してほしい」
→来室時に準備することは可能でも、「常備し、毎回即座に提供できる体制」は、物的・人的リソースの制約上、合理的配慮の範囲を超えるといえるでしょう。
→ 保護者に対しては、「できる限り対応しますが、学校全体の対応がある中で、毎回の即時対応は難しいこともあります」と説明してはどうでしょう。
「出られなかった授業の補習をしてほしい」
→この子のためだけに、というのは範囲を超えているでしょう。
しかし、不登校の生徒や疾病等で休みがちな生徒への対応も含め、学校全体で「学習保
障」の仕組みを検討する必要があるでしょう。
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学校の限られた資源の中で合理的配慮を行うことは簡単ではありません。養護教諭が負担すればいいという問題でもありません。職員全体で課題を共有し、様々なアイデアを持ち寄って、子どものためになる支援を生み出すことをめざしましょう。合理的配慮が全ての子どもにとって必要な支援につながることもあります。クリエイティブな思考やチャレンジを歓迎できる組織づくりを養護教諭として支えていけるといいですね。
ここでいう「合理的配慮」という言葉は、2014年に制定された「障害者差別消去法」という法律にもとづいているようですね。知りませんでした。さらに改正改正と内容が強化されているとか。保護者も無茶を言ってくるし、いろいろ気づかいの多い世の中になっていてお気の毒です。しかし、養護教諭はその中心的な役割を担うことになるので頑張りましょう。
まず、最も不自然に感じるのはその女子生徒の頭痛です。ただ頭痛という症状だけに振り回されているように見えます。そして生徒は受診しているのでしょうか。まず受診させて、その結果をもとに、本人、家庭、学校(養護教諭、必要なら校長、保健主事などを含めて)が話し合うことです。保護者から「合理的配慮は学校の義務」などと言われてビビっていることはありません。
頭痛について、主治医の意見を聞いてみるのも良いと思います。
合理的配慮が必要な子どものために、普通に授業を受けている子どもへの合理的配慮が出来ないことは問題だと思います。
例:授業をオンラインで受けたい子どもへのセッティングのために、その他の子どもを待たせる など
養護教諭だけで対応するのではなく要望が出てきた時は、関係者と会議をして、対応を取り決めています。そして、学校としての対応を伝えています。
合理的配慮の問題に頭を悩ませることが多くなっている気がしています。親御さんが無理難題を押し付けてきて、泣く泣くその通りに・・・ということがありました。子どものために何が必要か、学校は何ができるかを純粋に考えたいと思っているのですが、訴えられたくないという思いから動いてしまっている自分がいて悲しいです。