特選句の選評
てつをです。
小生の特選句の選評です。
〇一湾の夕陽に浮かぶ牡蠣の棚
かなり以前になりますが、伊勢志摩方面を旅行し、レンタカ-であちこちの観光スポットを
巡ったことがあります。その時に見た的矢湾の光景を思い出しました。まさに一幅の絵画を
見ているようでさぞかし絶景であったことと想像され、作者の感動が伝わってきます。
その時に次のような句を詠みました。
・冬の日を集め的矢の牡蠣筏
〇熱燗に行く末のことふと思ひ
寒い冬の夜、冷え切った心身を熱燗で癒していたのでしょうか・・・。独りで酌んでいた時に
ふとわが身のこと、家族のことなどその行く末が脳裏をよぎったものと想像されます。
いくら考えても悩んでも如何ともし難いことと分かっていても、ふとした時に行く末のことを
思ってしまいます。高齢の身にとってなお更にひしひしと伝わってきます。
また、俳句として「熱燗」とくれば一般には「賑やかさ」を連想しますが、この句は敢えて「寂
しさ」につなげたところが良かったと思います。
以上
的矢の牡蠣の不漁が伝えられています。水温が異常に高く牡蠣の生育に影響が出ているようです。秋刀魚の不漁といい、庶民の食を直撃しています。俳句のネタにも一工夫要る時代になってきたようです。