三角形の外接二次曲線と共役直線
先日投稿した「三角形の内接二次曲線と共役点」に関連して、もう一問投稿してみます。
こちらも問題は作りましたが自分で解いてはいないので解答は用意していません。
(この問題の内容を含むより一般的な命題が成り立つことは確認しています。)
三角形ABCがあり、線分BCの中点をD、線分CAの中点をE、線分ABの中点をFとする。
三角形ABCの外接円と直線EFの2つの交点における外接円の接線をl,l'とする。
直線lと直線BC,CA,ABの交点をそれぞれP,Q,Rとし、
直線l'と直線BC,CA,ABの交点をそれぞれP',Q',R'とする。
このとき、 PD=DP' 、 QE=EQ' 、 RF=FR' が成り立つことを示せ。
りらひいさん、こんにちは。
簡単なやつ1つだけでもよろしいでしょうか。
(ⅰ)PD=DP' の証明
直線lと円との接点をS,直線l'と円との接点をTとすると、2点E,Fは線分ST上にあり、
△ABCでの中点連結定理よりFE//BC ∴ST//BC
また、直線lとl'の交点をGとすると、円と接線の関係よりGS=GT
よって、△GSTは二等辺三角形である。また、点P,P'はBCの延長上にあり、ST//BCよりST//PP'である。
∴△GST∽△GPP' よって、△GPP'も二等辺三角形である。
よって、GからPP'に垂線を下ろしその足をHとすると、PH=HP'―――①
ところで、ST//BCより四角形SBCTは台形で円に内接する台形は等脚台形で、また、△GSTは二等辺三角形より、
点HはBCの中点である。∴H=D―――②
②を①に代入すると、PD=DP'
よって、示された。
補足
円に内接する台形は等脚台形である事を使わない場合は、BTを結ぶと錯角より∠STB=∠TBC ∴弧SB=弧TC
∴SB=TC また、ST//BCより、四角形SBCTは等脚台形である。
この命題には ∠B と ∠C が直角ではないという前提が必要な気がします。
あるいは、平行線は無限遠で交わっているとみなすと補足を入れるか。
それはそれとして、PD = DP’ については、辺 BC の垂直二等分線を引くと l と l’ がこの直線に関して対称になる、ということを考えればわりと自明な感じがしますね。
DD++さん
> この命題には ∠B と ∠C が直角ではないという前提が必要な気がします。
> あるいは、平行線は無限遠で交わっているとみなすと補足を入れるか。
確かにそうですね。失礼しました。
∠B と ∠C が直角ではないとするのがよさそうですね。
(平行線は無限遠で交わっているとみなすと補足を入れる場合は、
交点は定義されても長さが定義されないので、
問題文の最後を「PとP'がDに関して対称」のような形にするのがよいですかね?
対称の定義が無限遠点に及ぶかわからないから微妙かな?)
「三角形の内接二次曲線と共役点」スレッドに私が書き込んだ等角共役点と等距離共役点の説明も平行線となる場合が抜けていて不十分ですね。
ユークリッド平面に無限遠点の集合である無限遠直線を加えて射影平面の定義を満たすように拡張した平面で考えているとしてください。
この拡大ユークリッド平面では平行線は無限遠点で交わります。
もう一問作りました。
例のごとく、問題は作りましたが自分で解いてはいないので解答は用意していません。
(この問題の内容を含むより一般的な命題が成り立つことは確認しています。)
投稿No.1202の問題を問題その3としておきます。
問題その4
三角形ABCがあり、∠Aの二等分線と辺BCの交点をD、∠Bの二等分線と辺CAの交点をE、∠Cの二等分線と辺ABの交点をFとする。
三角形ABCの外接円と直線EFの2つの交点における外接円の接線をl,l'とする。
直線lと直線BC,CA,ABの交点をそれぞれP,Q,Rとし、
直線l'と直線BC,CA,ABの交点をそれぞれP',Q',R'とする。
このとき、 ∠PAD=∠DAP' 、 ∠QBE=∠EBQ' 、 ∠RCF=∠FCR' が成り立つことを示せ。
GeoGebraで作図してみると、どうやら ∠QBE(=∠EBQ') と ∠RCF(=∠FCR') も等しくなりそうです。
こちらは証明していないので正しいかどうかわかりません。
この問題の元ネタ(より一般的な命題)を載せておきます。
以下、ユークリッド平面に無限遠点の集合である無限遠直線を加えて射影平面の定義を満たすように拡張した平面で考えます。
この拡大ユークリッド平面では、任意の異なる2点を結ぶ直線がただ1つ存在し、任意の異なる2直線はただ1点で交わります。
前提知識その3 相反共役線
三角形ABCの各頂点を通らない直線lをとる。
直線lと直線BC,CA,ABの交点をそれぞれP,Q,Rとし、
線分BCの中点に関して点Pと対称な点をP'、
線分CAの中点に関して点Qと対称な点をQ'、
線分ABの中点に関して点Rと対称な点をR'とすると、
3点P',Q',R'は一直線上にある。
この直線を(三角形ABCに関する)直線lの相反共役線という。
前提知識その4 ??? (角度の共役線)
三角形ABCの各頂点を通らない直線lをとる。
直線lと直線BC,CA,ABの交点をそれぞれP,Q,Rとし、
角Aの二等分線に関する直線APの鏡映が直線BCと交わる点をP'、
角Bの二等分線に関する直線BPの鏡映が直線CAと交わる点をQ'、
角Cの二等分線に関する直線CPの鏡映が直線ABと交わる点をR'とすると、
3点P',Q',R'は一直線上にある。
この直線を何というのかわたしは知りませんし、そもそも名称があるのかどうかもわかりませんので、
この投稿においてはこの直線を(三角形ABCに関する)直線lの角度の共役線と呼ぶことにします。
ことばの定義 外接二次曲線
3点A,B,Cを通る二次曲線を三角形ABCの外接二次曲線という。
※一部が三角形ABCの内部を通る双曲線も含める。
ことばの定義 antiorthic axis
三角形ABCに対して、点A,B,Cの外角の二等分線と対辺の延長線の交点をそれぞれD',E',F'とすると、この3点は一直線上にある。
この直線を三角形ABCの antiorthic axis という。
(日本語の名称はわかりません。)
問題その3の元ネタ
三角形ABCがあり、線分BCの中点をD、線分CAの中点をE、線分ABの中点をFとする。
無限遠直線と直線EF,FD,DEの中から三角形ABCの外接二次曲線Γと2点で交わる直線を選ぶ。
その直線とΓの2つの交点における接線は互いに三角形ABCに関する相反共役線である。
問題その4の元ネタ
三角形ABCがあり、点A,B,Cの内角の二等分線と対辺の交点をそれぞれD,E,Fとする。
三角形ABCの antiorthic axis と直線EF,FD,DEの中から三角形ABCの外接二次曲線Γと2点で交わる直線を選ぶ。
その直線とΓの2つの交点における接線は互いに三角形ABCに関する角度の共役線である。
元ネタの元ネタ(より一般的な命題)も載せておきます。
相反共役線や角度の共役線はさらに一般化された「直線の共役関係」のうちのひとつです。
一般化された直線に関する共役関係には、自己共役な直線を4つ持つものと1つも持たないものがあります。
元ネタの元ネタ
三角形ABCに関して、自己共役な直線を4つ持つ「直線に関する共役関係」をひとつ決める。
その4つの自己共役な直線の中から三角形ABCの外接二次曲線Γと2点で交わる直線を選ぶ。
その直線とΓの2つの交点における接線は互いに最初に定めた共役関係にある。
この元ネタの元ネタは射影幾何の範疇なので双対が成り立ちます。
その双対がもうひとつのスレッド「三角形の内接二次曲線と共役点」の元ネタの元ネタになります。
わたしがこれらのことを考えるきっかけになったのは次の定理を見かけたことによります。
問題その1からその4やそれらの元ネタの命題は次の定理からの連想で生まれました。
「三角形ABCの相反共役線となる2直線の組は、3点A,B,Cを通るある双曲線の2本の漸近線である。」
一般化された「直線に関する共役関係」(自己共役な直線を4つもつもの)について書き込んでおきます。
1直線上にある4点の複比を [P1,P2;P3,P4] のように書き、
1点を通る4直線の複比を [l1,l2;l3,l4] のように書く。
直線dは点A,B,Cを通らないとする。
また、直線dと直線BC,CA,ABの交点をそれぞれD1,D2,D3とする。
4つの自己共役な直線を持ちその中の1つが直線dであるような共役関係のことをd-共役と書くことにし、
ある直線に対してd-共役の関係にある直線のことをd-共役線と書くことにする。
d-共役線
点A,B,Cを通らない直線lと直線BC,CA,ABの交点をそれぞれL1,L2,L3とする。
点M1は直線BC上にあり [B,C;D1,M1]=1/[B,C;D1,L1] となる点とし、
点M2は直線CA上にあり [C,A;D2,M2]=1/[C,A;D2,L2] となる点とし、
点M3は直線AB上にあり [A,B;D3,M3]=1/[A,B;D3,L3] となる点とする。
このとき、3つの点M1,M2,M3は1直線上にある。
この直線が直線lのd-共役線である。
ちなみに、
d-共役の4つの自己共役な直線のうち直線d以外の3本の直線は、
直線BC,AD1に関する直線dの調和共役線,
直線CA,BD2に関する直線dの調和共役線,
直線AB,CD3に関する直線dの調和共役線である。
※調和共役線とは複比が-1となる直線のことをいう。