ガウス整数の商と余り
23を5で割ると
23=5*4+3
の様に商4,余り3
と書き直しが できる。
そこで、ガウス整数Z=a+b*i (a,b∈Z)
のノルムN(Z)=x^2+y^2
で定義するとき
今2つのガウス整数Z1とZ2がある時
Z1=Z2*Q+R ただしN(R)<N(Z2)
を満たすガウス整数Q,Rがいて欲しいし、また存在できる。
次のZ1,Z2である時それぞれのガウス整数Q,Rを求めて下さい。
(1)Z1=11+17*i ; Z2=5+3*i
(2)Z1=21-20*i ; Z2=3-7*i
(3)Z1=237+504*i ; Z2=-10+23*i
通常の整数における割り算原理は、そのような Q と R が常に 1 つだけ存在する(つまり、複数存在することはない)という内容を含みます。
ところが、ガウス整数に単純に拡張すると、例えば (1) だと
11 + 17*i = (5 + 3*i)*(3 + 2*i) + 2 - 2*i
11 + 17*i = (5 + 3*i)*(3 + i) - 1 + 3*i
というように複数の Q, R が存在できてしまうように思います。
この点はどうにかならないものでしょうか?
そうなんですよね。
例えば
Z1=12-23*i
Z2=7-5*i
などでは
Z1=Z2*(3-i)+(-4-i)
Z1=Z2*(2-i)+(3-6*i)
Z1=Z2*(2-2*i)+(8+i)
Z1=Z2*(3-2*i)+(1+6*i)
などすべてが許されることが起きます。
更に
Z1=21-20*i
Z2=3-7*i
では
Z1=Z2*(3+2*i)+(-2-5*i)
Z1=Z2*(3+i)+(5-2*i)
Z1=Z2*(4+i)+(2+5*i)
Z1=Z2*(4+2*i)+(-5+2*i)
で,
全ての余りRのノルムN(R)=29 となってしまう。
言ってみればここが通常の整数とは違う点になりますね。