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スレッドNo.760

直線上の 2 点

a, b, c は実数で、(a,b) ≠ (0,0) とします。

a, b, c を用いた 4 つの式 p, q, r, s を上手に用意して
「(p,q), (r,s) は直線 ax + by + c = 0 上の異なる 2 点である」
が任意の a, b, c の値に対して成り立つようにできるでしょうか?


と、これだけだと題意が分かりにくいと思うので補足を。
例えば p = -c/a, q = 0, r = 0, s = -c/b とすれば一見条件を満たしそうに見えます。しかし実は
・a = 0 の場合、(p,q) は点自体が消失するので「直線上の点」を表さなくなる
・b = 0 の場合、(r,s) は点自体が消失するので「直線上の点」を表さなくなる
・a ≠ 0, b ≠ 0 でも、c = 0 だと 2 点が一致してしまい「異なる 2 点」を表さなくなる
という問題があり、任意の a, b, c の値に対して成立するものではなくなっています。
このような点が消失したり 2 点が一致したりする特殊な場合が一切存在しないような表式を作れるのか、というのが意図になります。

引用して返信編集・削除(未編集)

「原点を通りax+by+c=0と垂直な直線」とax+by+c=0との交点は(-ac/(a^2+b^2),-bc/(a^2+b^2))なので、例えば
p=-ac/(a^2+b^2)+b
q=-bc/(a^2+b^2)-a
r=-ac/(a^2+b^2)-b
s=-bc/(a^2+b^2)+a
とすれば条件を満たしますね。

追記
(p,q)と(r,s)は(-ac/(a^2+b^2),-bc/(a^2+b^2))に関して対称な点にしましたが、
どちらかが(-ac/(a^2+b^2),-bc/(a^2+b^2))でも構いませんし、より一般には
(-ac+(a^2+b^2)+bt,-bc/(a^2+b^2)-at)でtの値を変えればよいだけなので、2点と言わず何点でもとれます。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年03月27日 09:14)

あ、なるほど、確かに方向ベクトルを使えば 2 点目どころか好きなだけ取れますね。
盲点でした。

参考になりました、ありがとうございます。

引用して返信編集・削除(未編集)

元々なぜこれが気になったかというと、以下のような疑問からでした。

点と直線の距離の公式は高校数学IIの教科書に掲載されています。
そして、おそらく全ての教科書で「直線が x 軸に平行な場合」「直線が y 軸に平行な場合」「それ以外の場合」と場合分けされて示されていると思います。
しかし、元々の題材は平面上の点と直線であり、x 軸と y 軸を導入するまではそこには特別な向きは存在しません。
だったら、特別な方向の場合分けが必要ない方法で証明する方が流れとして自然なのでは?

ということで、手始めに直線を方程式ではなく通る 2 点で表現することから始めようと思ったまではいいものの。
初っ端から思わぬ難渋となり、助け舟を求めてみた次第でした。
2 点が取れたら次は内分や外分で直線上の任意の点を書けると考えていたのですが、まさか一段階すっ飛ばしていきなり任意の点を取る方が早かったとは。

で、実際に場合分けが不要な点と直線の距離の公式の証明を書いてみたのがこちら。
途中でブラーマグプタの二平方恒等式 (a^2+b^2)(c^2+d^2) = (ac+bd)^2 - (ad-bc)^2 を用いていますが、その証明は両辺展開するだけなので省略しています。

--------

(a,b) ≠ (0,0) より a^2+b^2 ≠ 0
よって、( -ac/(a^2+b^2) + tb , -bc/(a^2+b^2) - ta ) という座標で表される点は任意の実数 t について直線 ax + by + c = 0 上にあり、
逆に直線 ax + by + c = 0 上にある任意の点の座標は、ある実数 t を用いて ( -ac/(a^2+b^2) + tb , -bc/(a^2+b^2) - ta ) と書ける。

したがって、点 (X,Y) と直線 ax + by + c = 0 との距離は、点 (X,Y) と点 ( -ac/(a^2+b^2) + tb , -bc/(a^2+b^2) - ta ) の距離を t の関数と考えたときの最小値として求められる。

ここで、

-ac/(a^2+b^2) + tb - X
= { -ac + b(a^2+b^2)t - a^2*X - b^2*X + abY - abY } / (a^2+b^2)
= { b( (a^2+b^2)t - bX + aY ) - a( aX + bY + c ) } / (a^2+b^2)

-bc/(a^2+b^2) - ta - Y
= { -bc - a(a^2+b^2)t - a^2*Y - b^2*Y + abX - abX } / (a^2+b^2)
= { -a( (a^2+b^2)t - bX + aY ) - b( aX + bY + c ) } / (a^2+b^2)

となるので、ブラーマグプタの二平方恒等式を用いると、2 点間の距離 L の 2 乗は

L^2 = ( -ac/(a^2+b^2) + tb - X )^2 + ( -bc/(a^2+b^2) - ta - Y )^2
= (a^2+b^2){ (a^2+b^2)t - bX + aY )^2 + ( aX + bY + c )^2 } / (a^2+b^2)^2
= { (a^2+b^2)t - bX + aY )^2 + ( aX + bY + c )^2 } / (a^2+b^2)

となる。
これは t = ( bX - aY ) / (a^2+b^2) のときに最小値 ( aX + bY + c )^2 / (a^2+b^2) をとる。
したがって、点 (X,Y) と直線 ax + by + c = 0 との距離はこの L^2 の最小値の負でない平方根、すなわち
d = | aX + bY + c | / √(a^2+b^2)
である。

--------

場合分けが必要な特別な方向が存在しない、自然な流れの証明……という感じではないなあ。

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> 管理人さんのコメント

いつもこのサイト内に情報がないか探すとき、
「数学感動秘話」
「私の備忘録」
「お茶の時間」→「パズル&クイズ」
のタイトル一覧をザッと確認するんですが、まさか
「私の備忘録」→「その他」→「裏技の記録」
にも記事の集まりがあったとは。
記事のタイトル一覧みたいになっているページってこの 4 ヶ所で全部でしょうか?


肝心の点と直線の距離公式の話ですが、確かに法線ベクトルを使って垂線を引いてしまえば場合分け不要かつ簡素で良いですね。
しかも、この証明はそのまま丸ごと空間内における点と平面の距離の公式の証明に転用できるという点が素晴らしい。
高校数学だと数学Bの内容を数学IIで使うわけにはいかないという事情もあるんでしょうが、この証明はもっと広まってほしいところです。

引用して返信編集・削除(未編集)

> 管理人さんのコメント

情報ありがとうございます。
記事の集合体、思った以上にいっぱいあったんですね……。
またじっくり読ませていただきたいと思います。

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