ぺこさん
こりすさん
たまおさん
シャナさん
皆々様〜〜〜!!
HPの再開を楽しみに待ってくださり、ありがとうございます!!
只今、かなり形になってきておりますので、
もう少しだけお待ちくださいませ。
ぺこさん絶賛連載中の[trésor]シリーズ...いよいよ二人は先に進みそうですね?!
BackStageページも作っておりますので!ぺこさん、書きあがった際にはメールお待ちしております(笑)
No.125万里@管理人2015年11月7日 16:45
万里様
こんばんはー!!!
きゃあきゃあ♪ホムペ再開近しですね(*≧∀≦*)
blogの下絵的なものが気になりつつ(*^^*)
楽しみでーす!
BackStageも完備との有り難い情報o(^o^)o
そこまで過激な描写はないかと思いますが
せっかくなので、次回妄想はメールさせていただきますm(__)m
No.126ぺこ2015年11月7日 21:00
HP再開告知、ありがとうございます〜!
時期的にはクリスマスプレゼント的な感じになるのかな?
いや、もっと早いかなっ!? o(^-^o)(o^-^)oわくわく
あ、焦らせるつもりはありませんので、
万里さんのペースで、よろしくお願いします。(u_u,)゛ペコリ
妄想家ぺこさんのtrésorシリーズ大人編も
鼻息荒く楽しみに待ってます。むはー!
No.127シャナ2015年11月7日 22:48
万里様のHP再開、ぺこさんのtrésor続編、ワクワクドキドキです♡
この歳(笑)になって、こんなに楽しみ♪な気持ちにならせていただけるなんて、とっても幸せ
感謝感激です(*^^*)
待ってる時間も実はとっても好き♡♡
わくわくでお待ちしています☆
No.128こりす2015年11月8日 21:48
万里さん♪
嬉しいお知らせありがとうございます‼
楽しみに待たせていただきますね〜
ブログの遊ちんも早く拝見したいです(*^^*)
やっぱり5年後設定なので女っぷりがかなりあがっているようで
仕上がりが楽しみです♪
そして ぺこさんの続編も とっても楽しみです(*≧∀≦*)
原作を楽しみに待ってたあの頃のような気持ちが
またまた持てるなんて ホントにありがとうございます‼
No.129たまお2015年11月9日 19:59
『悔しかったな。』
受話器の向こうで
遊が微笑んだのがわかる。
ちっとも悔しそうじゃないその声を
もっと聴いていたいと龍は思った。
『格好良かった。胸が震えて、切なくて 泣きたいような気持ちが溢れてきたよ。 …ちょうど、今みたいに。』
「あの曲は……」
会えない距離を埋めるように
本音を伝えようとした。
けれども、龍は結局
その先を言うことが出来なかった。
*****************************************
矢崎は、神妙な面持ちで一枚のファックス送信用紙を龍に手渡した。
『火野鷹子さんは
同じ歌手として、とても大きな存在で
尊敬しています。』
遊の直筆と思われる文面は、そう始まっていた。文字を、慎重に目で追う。
『ただ。
彼女には彼女のtrésorがあったのだと
思います。そして、私にも
私のtrésorがあることを
今後も歌を通して伝えて行けたらと、 そう思っています。 hino 』
「……。」
「明日の朝イチでマスコミ各社に届くよ う手配している。」
送信表紙と共に、用紙を書類ファイルにしまいながら、矢崎は軽く息を吐いた。
「予測していたことだが、こういう方向に 拗れるとはな。」
「CMの契約は? 」
「代理店の話によれば、スポンサーサイド は今のところ問題なさそうだ。」
「火野はどうしてる?」
「外出を控えるように言って自宅待機中 だ。いまマスコミに捕まるとやっかいだ からな。」
「自宅は大丈夫なのか。」
「今のところは…。おい、龍。頼むから
今は遊と接触はしないでくれよ。」
騒ぎが更に悪い方へと大きくなることを懸念したのだろう。矢崎の表情は、真剣だ。
「…そこまで馬鹿じゃねぇよ。」
言い捨てるように、龍は部屋を後にした。
(参ったな。これじゃ逆効果だ。)
独り思案して大きく息を吸い込んだとき
背後から声が掛かった。
「龍、少し話せるか?」
セントラルレコードの廊下を
足早に歩いて来た桂木俊は、トーンを落として言葉を続ける。
「遊の件の詳細が知りたい。」
俊の小脇には、いくつかのスポーツ新聞や雑誌類が抱えられていた。
「…入れよ。」
自室に促したのは
俊の表情から心配の度合いが見てとれたのと、trésorのミュージックビデオに関しては、この男に借りがあったからだ。
「報道記事、読んだよ。何でこんなこと に…」
「きっかけは、フルフェスだ。」
「フルフェス…だって、あれは大成功 だったんだろう?」
「ああ。」
FLUIDITY主催の音楽フェスにて
遊は、その存在を不動のものにした。
「だったらどうして…?」
注目の新人歌手が、初めて公の場に姿を
見せたのだ。観客の視線は、最初こそは
好奇一色だった。しかし、遊とFLUIDITYの息の合ったセッションは彼女たちの心を瞬く間に奪い、気が付けばステージ上だけでなく会場も一体となって大いなる盛り上がりを見せた。
「もしかして、trésorでのあんたとの共演 が関係してるのか?」
「いや。それが直接の原因だとは俺は思わ ない。」
龍は、きっぱりと否定する。
確かに、trésorのミュージックビデオ出演
そしてコーラス担当の件は
大谷龍の一部ファンの間で
『あれは、龍なのではないか』との声が既にあがっていたし、最近では妙な尾鰭まで付いた噂に発展していたが。
「あいつの力は、俺の存在に左右される ほどちっぽけじゃねぇよ。」
実際フルフェスでの反響は懸念されたが
遊がその実力を遺憾無く発揮し喝采を浴びた後に、渦中の龍が登場した際は
会場の反応は、むしろ好意的だった。
勿論、方々でどよめきが起こり
『やっぱり!!』といった
絶叫もあがりはしたが、 歌が始まると
叫んでいた女の子達でさえも、遊が創り出すtrésorの世界に惹き込まれ
二人が紡ぐサビのメロディに聴き入り
高揚し、やがて大熱狂となった。
「まあ、座れよ。」
促されソファーに腰を降ろした俊は
手にしていた雑誌や新聞をドサリとテーブルに置いた。
複数の見出しが目に飛び込む。
『hino私生児 母親は火野鷹子!? 』
『七光りでランキングトップか?』
『母を踏み台?裏切りのカバー曲』
引きの強い、というよりも
悪意を感じる見出しの数々。
マスコミ各社がこぞって遊の記事を取り上げていた。
「簡単に言うと、フルフェスで予想以上の 人気を集めたのが今回の引き金だ。」
向かいに座って、要点を簡潔に述べた。
「どういうことだ…?」
「興味が集中し過ぎたんだよ。」
俊が眉根を寄せるのに
抑揚のない声で説明を加える。
「メディアに露出がない火野の事を
より多く知りたいファンの欲求と、
売れる記事を書きたいマスコミの野心 が合致したのさ。」
でも、と
俊が責めるようにこちらを見据えた。
「矢崎さんは織り込み済みだったんだろう ?なんでマスコミを上手く誘導出来なか ったんだよ。」
対する龍の口調は、いたって事務的だ。
「こちらの根回し不足だな。それと、
悪い方へと情報操作した外部の輩がいる ことは否めない。」
競合他社のな、と言外に含みを持たせる。
「なんで、そんなに落ち着いていられるん だ。」
俊の声に
苛立ちが混ざるのは無理もない。
無意識ではあったが
龍がそう仕向けているのだから。
「取り乱した所で、事態は好転しないだろ う?」
その冷めた物言いに
バン、とテーブルを叩く音が部屋に響く。
やや間を置いて、
憤りを納めるように息を吐いて
俊は立ち上がった。
「その調子で、冷静なフォローをお願いし たいもんだね。」
皮肉たっぷりの捨て台詞だったが
全ては遊への心配が起因しているのだと
思うと腹は立たなかった。
(結局、人の本質ってやつは
簡単には変わらないもんだな。)
俊が出ていく後ろ姿を眺めながら
漠然と考えていた。
(あいつが火野の心配をするのも。
矢崎さんのツメが甘いのも。
そして、俺が……。)
龍の口角が、自嘲気味に歪む。
『甘ちゃんなんだよ、お前は。』
かつて、言われたことを思い出す。
遊に、甘えるなと叱咤して
今回のデビューを決意させた。
それなのに、彼女のことを守れなかった。
(俺は、何も変わっちゃいない。)
「全く、嫌になる。」
独りごちて
デスクの受話器に手を伸ばした。
声が聞きたいと思った。
情けない話だが
遊の声を聞くことで、安心したかった。
しかし、
呼び出しのコールは10回以上続く。
コールごとに不安な澱がまたひとつ、
体の奥底へたまっていく気分だった。
『……もしもし。』
ようやく、探るような声と繋がる。
そのたった一言で
人知れず龍は安堵を覚えた。
「火野か?」
『龍…?』
「今、大丈夫か。」
『うん。こっちはヘーキだけど…』
「そうか。……悪かった、な。」
電話越しにクスッと笑う声がした。
『なんで龍が謝るんだよ。』
「俺の責任でもある。」
窮地の筈なのに
遊は、とても呑気な口調で言った。
『矢崎のおっさんの無茶には慣れてるよ。 昔からどれだけ付き合わされたと
思ってるのさ。』
「記事は、読んだのか。」
『テレビでやってるのを観たよ。
それより、大変だったんだからね?』
何かを思い出したように、遊の声が
語気の強いものに変わる。
受話器を握る手に力が入った。
だが、
彼女の不満は意外な所にあったらしい。
『ファックス。漢字は苦手なのにさ。
もう、何枚書き直したことか。』
「…。」
『龍、聞いてる?』
「ああ。そりゃ…悪かった。」
拍子抜けした龍が、呆気に取られつつ
とりあえず謝罪すると、声は更に興奮を
増したようだ。
『悪いと思ってないだろ。本当に大変 だったんだから!』
「だから、悪かったって。つか、もっと 大変なことはあるだろ…」
ピントがずれた抗議に
思わず龍が突っ込みを入れると
不思議そうな声が返ってきた。
『なにが?』
「何がって、お前。」
『関係ないよ。マスコミがどう書こう が、私は私だから。』
「……。」
アッサリと返す潔さに唖然とする。
そうだ。
彼女は、こういう人間だ。
いつも真っ直ぐで、芯が強い。
昔から。
『負けないよ、こんなことぐらいで。』
「……はっ。」
呆れたように龍は笑った。
(本当に、人の本質は変わらない。)
「…だな。らしいよ。」
『あんたとの差が開いちゃうのは、
ちょっと悔しいけどね。』
ほとぼりが冷めるまで
動きの取れない遊に反して
龍には、レコーディングが控えていた。
「よく言うぜ。フルフェスで全部持って いきやがった癖に。」
ようやく龍は、軽口を叩いた。
『出番が終わってから、袖で聴いてたよ。 龍の新曲。』
まだフルフェスの会場でしか披露されていないそれは、観客の心を魅了するに止まらずCD発売の問い合わせが殺到している。
『悔しかったな。』
あの日。
歌う目の端で、遊が袖に佇んでいること
を本当は知っていた。
『格好良かった。胸が震えて、切なくて 泣きたいような気持ちが溢れてきたよ。 …ちょうど、今みたいに。』
きっと、これから当分の間
二人が会うことは叶わないだろう。
電話越しに言葉を交わして
心を通わせるだけの日々が
どれだけ続くのかは分からないが
きっとその度に、
彼女の言う「今みたい」な気持ちが
互いの胸に訪れるのだ。
「あの曲は……」
『うん。』
お前を想って作った、なんて台詞は
いくら電話でも言えそうになかった。
「来週からレコーディングだ。」
『うん。…頑張ってね。』
負けたくないと言いながら
贈ってくれるエールに宿る温もり。
それは鼓膜を通して、心の深い場所に
じわりと広がっていく。
「火野。」
『ん?』
龍は、観念したように全身の力を抜くと
繕うことのない胸の内を声に乗せた。
「好きだ。」
電話の向こうで、
小さく息を飲む気配がした。
そして、長い沈黙。
『今、なんて?』
「二度も言うかよ。」
『…けち。』
とても不満そうには聞こえない
幸せに満ちた呟き。
「ばーか。」
ぶっきらぼうに返す心のなかで
龍は初めて、これが電話であることを
誰にともなく感謝していた。
END
No.116ぺこ2015年10月28日 20:30
ぺこさん♪
ぺこさーんっ!!
連載ありがとうございます〜〜(*^m^*)
「会えない時間が〜愛育てるのさ〜」って歌がありましたが、恋愛始まったばかりの二人には試練ですね。
まぁこの二人には障害、試練が似合うから...(笑)←そんな二人を見るのも好きなドSな私...
HP、只今制作中です!この「trésor」シリーズもUPするべくページを作ってます♪
あ、ところでこの「trésor」の遊ちん、髪の毛の長さってどのくらいのイメージですか?
No.117万里@管理人2015年10月30日 22:14
万里さま
きゃー!!ホムペのご準備進行中なんですね( 〃▽〃)
そしてtrésorのページもだなんて
有り難き幸せでございますっ♪
遊ちんは、肩にはついてるけどあまり長過ぎず
二の腕の上部くらい?の髪のイメージでーす(*^^*)
妄想垂れ流しに没頭してスマホから投稿したら
タブレットで見直した際に、謎の空白や改行が
ある妙な文体になってしまいお恥ずかしい( ;∀;)
No.118ぺこ2015年10月30日 23:23
ぺこさん
続きが…続きが、待ち遠し過ぎます( *´艸`)
坂巻のおっさんの嫌がらせはソルジャーボーイ本編の必須アイテムでしたから(笑)
逆境の中、気持ちはどんどん近づくのに、なかなか会えない二人…シビレます(私もかなりS入ってます^^;)
万里さん
もうすぐ万里さんの素敵なイラストにまた出会えると思うと嬉しいです!
楽しみにしてます♡
No.119こりす2015年10月31日 23:34
こりすさん
坂巻社長、ブレないですよね〜(((^_^;)
そして
こりすさんのコメント「万里さんの素敵なイラスト」で
もしかして!遊ちんの髪の長さを聞いて下さったのって!
今回の妄想遊ちんが、イラストで見られるって事!?!
と、勝手に期待して一人テンションあがりまくりの
私なのでした(о´∀`о)
No.120ぺこ2015年11月1日 18:59
万里さん 皆さま こんばんは(^-^)
ぺこさん♪
連載ありがとう ありがとう ありがとうございます‼
キャー(*≧∀≦*)龍が告白してるぅぅぅ〜
なんか 本誌に連鎖中だったドキドキ感を思い出します‼
続き 楽しみに待たせていただきますね〜はぅぅぅ
万里さん♪
私も 「会えない時間が〜愛そだてるのさ〜」
の曲を思い出しました(笑)
そして HP準備中という嬉しいお知らせありがとうございます‼
これでもうすぐ万里さんの素敵イラストに出会えますね〜
以前の作品はすべてプリントしましたので ぺこさんの
trésorをよんだ後 以前トップにあった黒シャツのはだけた龍を
取り出してはニマニマしておりますが 早くHPでみれるのを楽しみにしてます‼
こりすさん♪
坂巻のおっさんの嫌がらせ…のコメントの一文の
素晴らしい表現力に同感です‼さすが妄想部員‼
もう坂巻のおっさんが裏から手を回したんではないかというような
障害…そして近づいていく二人の気持ちにキュンキュンしてます。
No.121たまお2015年11月1日 22:39
たまおさん
すごい!以前のイラストをプリントなさっているとは
流石でございます(о´∀`о)
私も早く万里さまのイラストでニマニマしたいです!
今回は「告白する龍」が書きたくての妄想でしたが
そういえば遊ちんは、難しい漢字は読めなかったよな…
などと思い出して楽しかったです(笑)
No.122ぺこ2015年11月3日 10:33
番外編が出ている!?しかも2話!!
うわぁぁぁっすっかり出遅れすみませんっ。←スライディング土下座
ぺこ先生(すでに売れっ子作家扱いw)ありがとうございます。
先輩歌手である龍に対して敬語を使うソトヅラ遊ちんが新鮮です。
ちゅーで自制がきかなくなりそうな龍の葛藤が美味しい。
「そりゃあ、疑惑は出るよね〜」と思いつつ、
あまりにも悪意ある記事に裏操作している影を感じずにはいられません。
そうです、こりすさん、
>悪い方へと情報操作した外部の輩がいる
>競合他社
これは私も「坂巻かっ!!」と膝を打ったところでした。笑
そして万里さん、HP再開&新イラスト、
ドキドキしながらお待ちしております(≧▽≦)
No.123シャナ2015年11月5日 10:46
シャナさん
うぎゃ。先生だなんて止めて下さいまし
(スライディング土下座返し)!!
作家ではなく、妄 想 家 で す (ドヤァ)
それは、こちらにいらっしゃる皆様そうですよね(*^^*)
ちなみに。そろそろ、私の妄想のなかで
二人が、掲示板ではお見せ出来ない関係性に発展
しそうな予感がしておりますW
No.124ぺこ2015年11月5日 19:26
「バラードだな。」
デモ曲のメロディを耳にした矢崎は、意外そうな表情を見せた。
「どう思う?」
龍の問い掛けに、矢崎は暫く音へ意識を傾ける。
「…なるほど。面白いんじゃないか。」
「恋愛系の歌詞を乗っけたい。」
「ほう。大谷龍が恋愛バラードねぇ。」
「作詞を頼めなそうなアテを探してる。」
にやにやとする矢崎をよそに
無表情を決め込んだ龍は淡々と話を進める。
「そりゃ何とかなるが…誰が作曲したんだ?」
「俺だよ。デモの音録りはFLUIDITYの連中に手伝って貰った。」
「お前が、作曲したのか?」
「ああ。出来ればあいつらのフェスに間に合わせたい。」
「フルフェスか。確かにそこで初披露すりゃ話題になるな。…わかった、どうにかしよう。」
「さすが矢崎さん。頼むよ。」
「しっかし…」
煙草に火をつけ矢崎が、まるで品定めするような視線をテーブル越しに寄越す。
「ニヤけすぎだぜ。おっさん。」
あえて、おっさん呼ばわりするのは
龍のささやかな抵抗だ。
「大谷龍が恋愛バラード。しかも、自ら作曲までねぇ…。」
「フェスのシークレットゲストで出演して、手土産なしじゃつまんねぇだろ。」
「まあ、手土産はあるっちゃあるがな。」
「…火野か?」
「そうだ。」
FLUIDITYデビュー5周年記念秋の音楽フェス『フルフェス』。
厳密には、彼らはメジャーデビューして6年が経つのだが、バックバンドとしてではなく
セントラルレコードから単体デビューして5周年という計算らしい。
「火野は、正式にフルフェスの出演が決まったのか。」
「当然だ。デビューシングル発売2週間でCD売り上げランキングトップの大型新人だぞ。」
「FLUIDITY と接触させて大丈夫なのか?あいつらとはかなり面識あるだろう。」
「それはお前が一番わかってるんじゃないか?龍。」
「どういう意味だ?」
「遊の変化だよ。少なくとも、お前にラブバラードを作曲させるぐらいの女の魅力が、今の遊には備わってるってことさ。」
「……。」
これ以上話しても無駄な気がして
龍は、応接ソファーから立ち上がった。
「おい、龍。」
背中に掛かった声の、先程とは違う真面目な響きに、龍は足を止めた。
「分かっていると思うが……こちらが望まないスキャンダルは、困るからな。」
「…ああ。」
振り返らずに、龍は応えた。
******************************************
(なんて言うんだろうな、こういうの。)
ライバル心と言われればそうだろう。
5年ぶりに会った遊は、成長していた。
歌手としても。女性としても。
知らなかった一面が次から次に見えて来て目が離せない。
昔、同じ土俵で張り合った同志に
これだけのポテンシャルがあるとしたら
自分はどうなのか。
挑戦出来る何かが、まだ残されているのか。
(負けたくねぇな。)
パワフルで熱く、スタイリッシュな歌が売りとも言える龍が
バラードを歌ってみたいと思った一番の理由はそれだった。
けれども、
作曲中に浮かぶのは遊の姿だったし、作業の手を止めて、ふと遊のことを考えると自然とメロディが浮かんだ。
ライバルに勝ちたいのに、ライバルのことを想って作曲する。そんな自分を滑稽に感じながらも作り上げた曲。
だがそれは、いざ完成してみると驚くほどしっくりきた。
(とりあえず、詩のイメージは伝えとかないとな…)
廊下を歩きながら
今は新曲に集中するんだと、龍は
自らの思考を仕事モードに切り換えた。
「り…大谷さん。」
遠慮がちに呼んだ声の主を振り返る。
そこには、たった今の決心を台無しにしてしまう存在が立っていた。
「…おう。矢崎さんと打ち合わせか?」
「さっき、終わって…大谷さんが見えたから、その…。」
「来いよ。」
「え?」
「フルフェス。出るんなら、俺とも打ち合わせが必要だろ。」
実は、普段矢崎が使用している部屋は
本来なら龍…代表取締役のものだった。
しかし、龍が歌手復帰してから物理的にプロデュース業をほぼ行えなくなり
現在は申し訳程度に、資料や重要書類に目を通す時だけ
当初矢崎が使っていた部屋を使用している。要は部屋の主が入れ替わったのだ。
「失礼します…。」
「入れよ。ここなら気持ち悪い敬語も使わなくて済む。」
「気持ち悪いってなんだよ。」
人がせっかく、とぶうぶう言っている遊をいなしてソファーへ座らせる。
社長室とは部屋の面積が違う分
応接スペースも非常に簡易的なものだ。
「ランキング1位だってな、CD 。」
「うん。CMが流れ始めてから売り上げが急激に伸びたらしい。」
『trésorな瞬間』
某有名カメラメーカーが
デジカメ新CMのイメージソングにちなんで、そんなキャッチコピーをつけた。
「ああ。観たよ。」
様々な人の様々なショットが
フォト加工で映し出されていくCMには
例のミュージックビデオで
遊が微笑んでいる横顔も、セピア調の一枚として含まれていた。
「綺麗だった。」
ソファーに座る遊の横に立ったまま
龍が素直な感想を述べると、びっくりした顔がこちらを見上げた。
「なんだよ。」
「き、綺麗って…何が?」
「お前が。撮影の時も言ったろ。」
「え、でもあれは撮影だから、
その場のアレで言ってるのかと…」
みるみる赤面した遊は、俯いてしどろもどろ何か言っていたが
最後は、小さくありがとう、と呟いた。
「どういたしまして。」
「それで、さっき聞いたんだけど…」
「うん?」
龍は、遊が座るソファーの背もたれに軽く腰掛けた。
矢崎に釘を刺された以上
個人的に会える時間は限られている。
ならば、少しでも近くに居たいと思った。
「龍が、バラード歌うって。」
「まだ予定だけどな。」
「意外だった。今までの歌と全然イメージ違うから。」
遊は、俯いたままだ。
おろしている髪がサラリと流れて
白いうなじがあらわになると
まだ桜色にそまっているその首筋に目を奪われた。
「…なんでだと思う?」
遊の髪に指を絡める。
柔らかくて、手触りの良いそれを
優しく指ですきながら
わかるはずのない質問をしてみた。
「わ、わかんないけど…」
龍の仕草に、明らかに動揺はしているが
遊は決して抵抗はしない。
「でも、聴いてみたいと思った。
それに…」
ようやく遊が、顔を上げる。
「負けたくないって思った。」
闘争心と、緊張と、高揚がごちゃまぜになった遊の表情。
もっと見ていたかったが、それは叶わないと知っている。
「……!」
唇の温度が、同じになる。
二人の時間が甘く止まった。
ゆっくり離して、反応をうかがう。
遊は、少し驚いていたが
やがて込み上げる何かを噛み締めるように口許を綻ばせる。
その満たされた微笑みが、とても綺麗だと思った。
「もう1回、していいか?」
聞いた癖に、返事を待たずに口付けた。
髪に触れていた指で
遊の顎を軽く持ち上げ、親指で緩やかに口を開かせる。
「ん、」
龍の舌を受け入れたとき
鼻に抜けるような声を遊が漏らした。
「あんまり色っぽい声出すなよ。」
一度、唇を離して二人の間に低い囁きを落とす。
密室とは言え、
この手の声は耳に拾われやすい。
(そんな声を出されたら、俺も困る。)
「だって…無理だよ、そんな……」
小さく抗議する遊の潤んだ瞳を見ていると
廊下を警戒しなければならないのに
また濃厚なキスを仕掛けてしまう。
「ん…ぅ…っ」
(ヤバイな…。)
ある程度で自重するつもりだったのに。
止まらなくなりそうな予感を
焦りと共に感じ始めた、そのとき。
『龍、まだ居るか?』
矢崎の声が、ドアの向こうで聞こえ
二人はハッとする。
慌てて身を離し、龍は立ち上がった。
「…ああ。どうぞ。」
意識して落ち着いた声を出すが
何となく背中でソファーを遮ったのは
遊が落ち着く時間を与えてやりたかったからだ。
ドアを開けながら矢崎が喋り始める。
少しばかり興奮気味のようだ。
「さっきの新曲の件だがな、作詞家の候補をピックアップしたぞ。」
「すげー。仕事はやいっすね。」
数枚の資料を手にした矢崎の視線は
まだこちらに向けられていない。
「早速なんだが、お前にも意見を…」
「それじゃ、お邪魔しました!!」
矢崎が顔を上げると同時に
脱兎のごとく遊は部屋を出ていった。
「おー。またな。」
たぶん、もう聞こえてはいないだろう背中に一応声を掛ける。
「……龍。」
「なんでしょう。」
廊下の彼方に消えていく小さな背中を眺めた状態で、矢崎が尋ねる。
「あいつと、ここで何してた。」
「打ち合わせです。」
眼鏡のフレームを指で押し上げて、矢崎は深い溜め息をついた。
「打ち合わせで、顔を真っ赤にして半泣きになるのか、あいつは。」
「まあ、白熱したんでね。」
平然と答える。
矢崎は一旦廊下を確認し、部屋のドアを締めると龍に向きなおった。
「俺がさっき言ったこと、覚えてるか?」
「望まないスキャンダルは困る、でしたっけ?」
「そうだ。」
矢崎の険しい顔から目をそらすことなく
龍は堂々と言い放った。
「つまり、スキャンダルにならなきゃ
いいんですよね。」
「お前…そりゃ極論だ。」
「気を付けます。バレないように。」
そこまで言って
龍は体を折り曲げ、矢崎にきっちりと頭を下げた。
「開き直るなよ…。」
矢崎は、情けない声を出した。
礼を尽くしているように見えて、
要は『認めろ』と言っているのだ。
二人の関係を黙認して、余計な口出しはするなと。
「で、新曲の話でしたね。」
頭を上げた龍は
すっかりいつものペースに戻り飄々と
仕事の話を始めた。
矢崎は、やや複雑な表情をしていたが
何を悟ったのか、もう異議を唱えるようなことはしなかった。
END
No.109ぺこ2015年10月18日 22:31
うわぁぁぁい‼ぺこさんの新作がっ‼
ありがとう ありがとう ありがとうございます(*^^*)
万里さん 妄想部の皆々さまと またキュンキュンできる〜
なんかこのちょっとずつ近づいてゆく距離感とドキドキがたまりません…まさに trésorな瞬間…はぁぁぁ(*^^*)
このCM どなたかホントに制作お願いします‼
龍のバラードもきっとめちゃめちゃヒットするんだろうな〜
次回の フルフェス(笑)も 楽しみに待たせていただきます‼
No.110たまお2015年10月19日 22:34
たまおさん
キュンキュンありがとうございます!!
掲示板でちゅっちゅする二人を
書き逃げして許されるものか
冷や汗タラタラではございますが
もう妄想が止まらんのです(^o^;)
ちなみに、今回の妄想タイトルが龍の
新曲タイトル…の、つもりです(*^^*)
No.111ぺこ2015年10月21日 17:53
ぺこさーんっ
キュンキュンして萌え死にしそうなんですけどーっ!(笑)
周りに秘密の恋人って、なんか萌えますね〜(♡´艸`)
人前では新人として龍に敬語で接する遊ちんが可愛いです。
次はフルフェスですか!?(笑)
バラードを歌う龍も恰好いいんだろうなぁ...
楽しみにしてます♪
No.112万里@管理人2015年10月21日 22:34
万里さま
毎度の書き逃げ恐縮です(。>д<)
龍のバラード妄想、イメージソングは
皆様ご存知の石原慎一様でございます。
最近またヘビロテで聴きまくりです(笑)
私も、そしてきっと部員の皆様も
万里様のホムペ復活、楽しみにしています(σ≧▽≦)σ
No.113ぺこ2015年10月22日 17:21
ぺこさん♡
私もキュンキュンドキドキが止まりません(≧∇≦)
龍の新曲、歴史的名曲の予感ですね。
で、遊ちんは自分へのラブバラードなのにライバル心なんか燃やしたりつつ…(妄想進行中)
フルフェスめっちゃ行きたいです〜♪
万里さんのHP復活と共に、楽しみいっぱいです(*^^*)
No.114こりす2015年10月24日 21:22
こりすさん
キュンキュンドキドキ嬉しいです!
番外編と書きつつも、
続きものになっている言い訳としては
trésorが主に遊サイドのストーリーで
Loversが龍サイドのストーリーという
違いのみだったりします(^^;
ホムペ復活、楽しみですよね〜(*≧∀≦*)♪
No.115ぺこ2015年10月25日 00:36
「普段はまとめてることが多いんですか?」
ヘアメイク担当の女性が、鏡越しに尋ねた。
「そうですね。おろしてることはほとんど…」
女性に視線を返した遊は、着ているドレスに相応しいエレガントなメイクが施されている。
彼女は自身の『作品』の出来栄えに満足気な笑顔を向けた。
「え〜。もったいない。こんなに綺麗な髪なのに。」
ストレスを全く与えない手が、慣れた仕草でゆるやかな巻き髪を作っていく。
「こんなにドレスアップすること、ないですから…。」
(胸元がスカスカする…。)
露出された肩から胸元ぎりぎりまでを
幸い今は、ヘアメイク用のタオルやケープが覆ってくれているが
この後の事を思うと、なんとも言えない気持ちになった。
デビュー曲『 trésor』。
今日はミュージックビデオの撮影日だ。
レコーディングを無事に終えて、この撮影を乗り切ればいよいよ再デビューとなるのだが。
「大谷龍さん。」
女性が口にした名前にピクリと肩が反応する。
「あ、すみません。動いて。」
「いーえ。でも緊張しますよね、デビューのお仕事であの大スターと絡むんですもの。」
アイロンで火傷してませんよね?と掛けられた声に返す笑顔がひきつる。
「さ、完成です。お疲れ様でした。」
鏡に映る秀麗な姿は
その魅力には不似合いな、ひどく心もとない表情を浮かべていた。
******************************************
クラシカルな彫刻があしらわれた小箱。
この中に、彼女の宝物が入っているのだろう。
撮影は順調に進んだ。
残るサビパートは、遊がこの小箱を胸に抱いて歌う。
正確には、スタジオに流れる実際のレコーディング曲に合わせて口を動かすリップシンクで良いのだが
口を開くとどうしてもメロディを伝えたくなる。
(彼女の大切なもの…)
この曲をカバーすると決めた頃
浮かぶイメージは、母親のそれが多くを占めていた。
けれども今では、まるで違う歌として感じられる。
(大切な。)
閉じた瞳に映るのは
インペリアルホールの前で、涙を拭ってくれた優しい手。
彼の部屋で知った龍の意外な素顔。
寄り添った肩の温もり。
(龍…。)
あの夜。
キスして欲しい、と願ってしまった。
これまで、一人で想ってきた気持ちだけが強かったのに
龍も同じだと知って、その鼓動を知って
もっと近くに行きたいと思った。
だけど、意識すればするほど
その距離はもどかしく二人の間を隔てる。
想い合う男女が
こんなにも不器用に、ささやかに、幸せな時間を重ねて行くなんて知らなかった。
(あんたが好きだよ。前よりも、ずっと。)
いつの間にか、本域で歌っていた。
「はい、オッケーです。頂きました!」
その声を合図に曲が途切れる。
そして現実に引き戻されて初めて
想い描いた本人が、スタジオの隅に立っていることに気が付いた。
「では、サビパートのパターン2撮影に入ります。」
アンティークな家具に囲まれたセットの中央には
レッドベルベットのカウチソファーが置かれている。
「ここからは、大谷龍さんが入られます。」
歓迎するスタッフ達の声や拍手に、軽く会釈を返し龍が歩いてくる。
黒いシャツを素肌に纏い、胸元を大きく開けたそのスタイルは
ともすれば、安っぽいホストに見えがちなのだが
そんなことを微塵も感じさせないのは、本人の着こなしと
衣装そのものの質が格段に良いことを物語っている。
「よろしく。『火野さん』。」
「…よろしく、お願いします。」
カウチソファーの前で、向かい合った龍が自信に満ちた笑みを見せた。
憎たらしいぐらい絵になる立ち姿に、
自身の闘争心を奮い立たせながら思う。
(今日は、仕事の顔だ。)
『hino』という名でデビューを決めた遊が
trésor のサビコーラスに龍が参加したと知ったのは、レコーディングを終えてからだった。
「では、大谷さん。ソファーの中央に深く腰掛けて下さい。
足は開き気味で…そうそう、いい感じです。」
コーラスを担当しているのが龍だということも
『hino』という芸名の由来も、一切公表の予定はない。
表向きは。
だが、きっと暴かれる。
そして、騒がれ注目されるのだろう。
(ホント、矢崎のおっさんが考えそうなことだ。)
「ヒノさんは、大谷さんの足の間に浅く腰掛けて。
少し斜めに、そうです。右肩を大谷さんの胸に預ける感じです。」
遊の露出した肩が、同じく素肌の龍の胸に触れドキリとする。
だが、龍は全く動じない。
「先に撮影したサビパートの映像と、クロスフェードで差し込んでいく予定なので、ヒノさんの色んな表情の画が欲しいです。
大谷さんは顔バレしない範囲の画角にしますんで、後ろからどんどん話題を振っちゃて下さい。」
スタジオには、 trésorの曲が再び流れ始めた。
物理的な距離が接近したので
小声で会話する分には、二人の言葉は互いにしか届かない。
「もっと寄り掛かれよ。ソファーから落ちちまうぞ。」
「大丈夫だよ…。」
(こないだは、肩が触れただけでぎこちなかったくせに。)
自分一人動揺しているのが
悔しいような、情けないような気分に、
なかなか柔らかい表情を作れない。
「おい。」
「な、なに。」
「ヘアメイクの女性がいただろう。」
「…?…うん。」
「あれ、桂木の嫁さん。」
「!?」
「あー、ヒノさん。表情が、曲のイメージからちょっとズレてます。」
「すみません…!」
肩越しに、龍の胸が小刻みに震えているのが伝わる。笑っているのだ。
「なんで今そんなこと言うのさ。」
「や、ほぐれるかなと。」
「……。」
「本当は、育児が落ち着くまで休業中なんだけどな。」
「そうなの?」
「だから、今頃桂木が家でおむつ替えしてるぜ。」
「えっと…」
「笑うなよ。」
「いや……俊に悪いことしたのかな…?」
「構わないさ。普段から子供の寝顔以外見られないって嘆いてたくらいだ。」
「でも、なんでわざわざ。」
「今回は矢崎さんが特別にお願いしたんだと。」
「もしかして事情を知ってるの?」
「それはない。」
「じゃあ、腕を買われてるんだ?」
「そりゃそうだろ。だって…」
龍の左手が、ドレスを纏った細い腰をぐっと抱き寄せる。
間を置いて、ボリュームを抑えた低い声が耳元に降ってきた。
「めちゃくちゃ綺麗じゃん。」
「……!」
「ヒノさん、今の表情いい感じです!」
龍の表情は読めない。
今の言動が、撮影を盛り上げる為なのか
あるいは本心なのか。
いずれにせよ、遊はわかりやすく反応してしまった。
「あと、追加でワンアクション下さい。」
(なんか、龍にいいように誘導されてる気がする。)
「愛情表現だと伝わる感じのをお願いします。」
(悔しい。見てろよ。)
意趣返しに、龍の鎖骨を食むように口付けた。
艶めいたルージュで肌を包み
龍にしかわからない繊細なタッチで、捉えたラインを舌でなぞる。
予想外の行動に、腰を抱く龍の手が少しだけ強張るのを感じる。
だが、それは一瞬で
その手は、腰よりも更に下へ滑り降り
然り気無くかつセクシャルな動きで遊を抱き直した。
龍を見上げる瞳が
意図せず、切なく潤んだものになったところでカットの声が掛かる。
「大オッケーです。バッチリ頂きました!」
興奮気味のスタッフの声。
お疲れ様でした、と方々で労いの声が飛び交い、スタジオが活気に溢れた。
「仕事じゃなかったら」
立ち上がった背後で龍が呟く。
「ヤバかった。」
振り返ると、龍が自身の鎖骨をそっと撫でて軽く苦笑いした。
遊の顔に朱がさす頃には、
もう『大谷龍』に戻っていたけれども。
「こっちこそ、だよ。」
「そりゃ…」
言い掛けたところで
二人のもとへ駆け寄るスタッフに気付いた龍は、ごく自然なトーンで次の台詞を続けた。
「楽しみだな。」
「…負けないから。」
仕事上の宣戦布告と思われるように
遊も、精一杯勝ち気な笑みで応えた。
ただ本当は、身体中が心臓になったようにドキドキしていて
恥ずかしさで叫び出したいのを堪えていたが。
かろうじて取り繕えているのは
きっと龍も同じだろうと思ったからだった。
END
No.101ぺこ2015年9月30日 18:45
ぺこさん
うきゃぁ〜♪このミュージックビデオ、見たいんですけどーっ(≧∇≦)
遊ちんの再デビューへの道のりと二人の距離がジワジワと近寄って行くのを見られて(読めて)幸せ〜
デビューはきっと成功で(^-^)...でも火野鷹子のカバーで「hino」というシンガー。間違いなく暴かれて、色々と騒がれるんでしょうね。
矢崎のおっさん、ホント相変わらず(笑)
No.102万里@管理人2015年10月1日 20:29
万里さま
またもや書き逃げすみません(^o^;)
「公私混同する二人」妄想が止まらず
暴走気味の私に寛大なレスを
ありがとうございます!
自分で書いておきながらアレですけど
本当、矢崎のおっさん たいがいですよねw
エレガントな遊ちんに
セクシーフォーマルな龍…
ああ、見てみたい(*´ω`*)
No.103ぺこ2015年10月2日 14:54
ぺこさん 素敵です〜♡
ゴージャスなミュージックビデオを見たような満足感で幸せです*^^*(妄想脳フル稼働で脳内映像化)
俊の奥様はメイクさんだったんですね!もしかしたら年上とかw
ギリギリのプラトニックなおあずけ感がたまらなくツボです♪
No.104こりす2015年10月2日 22:02
ぺこさん ぺこさん ありがとう ありがとうございます‼
皆さまこんばんは♪
すっかり出遅れてしまったたまおですが このじわじわと少しずつ寄り添う大人の2人が 2話まとめて 一気読みできて キャー‼幸せ過ぎます(*^^*)
万里さん こりすさん同様 わたしもミュージックビデオが見たいです…そして コミックス8巻にして発行しましょう‼
ってことで 連載よろしくお願いしますm(__)m
私の年齢が今の半分くらいだった頃(笑)
このタイトルと同じ香水のコマーシャルが
よく雑誌に掲載されていました。
銀幕スターの二世女優がイメージキャラクターで
写真の色合いが
まさにジャストにコミックスのカラーと同じでした。
香水も甘く温かく重厚な感じで 妄想部員としては
ぺこさんのお話の5年後の二人にぴったりと思ってます。
続き…楽しみにお待ちしてます(*^^*)
No.105たまお2015年10月3日 21:28
こりすさん
脳内映像化ありがとうございます!
俊の奥様、具体的な描写が何もないままで
アレなんですが…きっと…
腕よしタレントさんのフォローにも優れた
出来る女なんだろう→傷心の俊は、そんな
彼女の港のような大きさに包まれたのね、
と勝手に思っています(笑)
たまおさん
こんばんはー!
え?!そんな香水があったのですか??
それはまさにピッタリなイメージですね♪
『宝物』というワードが先行し、
翻訳アプリで変換してタイトルにした私は、
最近やっと日本語発音で『トレゾア』だと
知ったレベルでして(^o^;)…勉強になります!
No.106ぺこ2015年10月4日 00:21
第3話があったなんて迂闊…っ すっかり出遅れました^^;
私もこのミュージックビデオ見たい〜!
いっそ、香水のCMとタイアップしてテレビで流しましょう。(笑)
あのCMの美女は誰だ!?って一気に注目浴びること間違いなし。
でもってホストな龍wが画面からはギリ見えない、でもネットで検証されて身バレして大騒ぎになるんだわ、きっと。
No.107シャナ2015年10月7日 15:10
シャナさん
香水のCM とタイアップ!
たまおさんから香水イメージを
お聞きしたばかりだし、めっ…ちゃくちゃ
妄想が広がるネタですね(じゅるる)!!
ホストな龍(笑)は、顔が映ってないのに
「あの胸筋は…!」とかってファンバレ
するんでしょうね(*^^*)むふ
No.108ぺこ2015年10月7日 19:54
スタジオの誰もが、一人の女性を食い入るように見つめている。
大谷龍もまたそのひとりだった。
かつて人気を博したアイドル・火鷹遊の歌を、全く違うテイストで唄い上げる彼女の歌唱力は、抜群に安定している。
なのに、それにはギリギリの危うさを伴っていた。
切な気な艶を帯びながらも綺麗に伸びゆく高音は、もっと聴きたい気持ちを煽る。
魅惑の音色を奏でる唇。
白いうなじ、
形の良い曲線を描く、胸から腰のライン。
彼女の全てから目が離せない。
誘うような瞳がこちらを向くと、勝手に体が熱くなった。
(とても同一人物だとは思えねぇな。)
『火鷹遊の歌を唄わせる?』
『ああ、そうだ。今日の面子の前で唄ってバレなければ、これほど心強いことはないだろう。』
ツアー帰りに立ち寄ったスタジオで、矢崎にそう告げられた時は
幾らなんでもそれはないだろう、と頭を抱えたが
その変貌を目の当たりにした今、龍の不安は呆気なく消し飛んだ。
全てを知った人間が、「別物」として新たに惹かれるのだ。
白浜を始めとする再デビューに関わるメンバーも、まさか彼女が火鷹遊本人だと気付く筈もない。
(初お披露目は、とりあえず大成功だな。)
安堵とは裏腹に、龍は苦笑を浮かべてスタジオを後にした。
******************************************
(避けられてる気がする…。)
遊がそう思い始めるまでに時間はかからなかった。
日本に戻って3ヶ月。
5年ぶりに再開したあの夜、長年の想いが成就したのだと感じていたのだが。
「遊、どうかした?」
運転している亜矢子が、バックミラー越しに視線を投げ掛けた。
「ん…いや。」
「急ピッチで色々動いてるから、少し疲れちゃったかしら。」
「オ…私は、大丈夫。」
(亜矢子が付いてくれてる内に、言葉使いもなおしておかないと。)
「亜矢子こそ、ごめんね。新婚なのに。」
「…っ!やぁね。遊ったら。」
ミラー越しでも、笑う亜矢子の顔が赤くなるのがわかる。
幸せなのだ。
一緒に喜びたい嬉しさと共に、どうしても思考が再び龍へと引き戻されてしまう。
二人でインペリアルホールに行った翌日。
龍は全国ツアーの準備に入り、その多忙なスケジュールのままコンサートに出発した。
先月の終わりには東京へ帰ってきたようだが、個人的な接触は皆無だ。
それどころか、スタジオやセントラルレコードで偶然見かけても
何故だか態度がよそよそしい気がしてならない。
「あのさ…」
「ん?」
遊は意を決して、願いを口にした。
「龍と、会って話がしたい。んだけ、ど…。」
「龍と?」
「無理かな。龍、忙しいだろうし…お、私も、いま微妙な時期だもんね。」
「……。」
亜矢子は、否定も肯定もせず、ただ帰路とは逆方向へと車を走らせた。
それからの亜矢子の行動は惚れ惚れするほど鮮やかだった。
「今夜はもう帰ってる筈よ。」と
龍の住むマンションの駐車場に車を滑らせ、
エントランスでインターホン越しに
「急ぎの届け物があるから開けて欲しい。」
と事務的に告げ、
ドアを開けて驚いている龍に向かって
「夫婦喧嘩したくないから、このことは内緒ね。」
と爽やかに去って行った。
「……。」
「……。」
かくして、呆気にとられた二人が玄関先に残されたのである。
「あ、あの…」
「……あがるか?」
「う、うん。おじゃま、します。」
龍の素っ気ない口調に心が折れそうになりながら、ぎこちない動作で靴を脱ぐ。
「悪い。人を家にあげたことないから、スリッパとかねぇんだわ。」
「え?あ、うん。ヘーキ。」
(誰も、通したことがないんだ…?)
ささいな一言で気持ちが浮上する。
案内されたリビングは、
割と綺麗にしていたが、片付いているというよりは
散らかすほど家に居ないというのが正解のようだ。
部屋には、心地好いジャズが薄く流れていた。
煙草の微かな匂いに、ここで龍が生活しているのだと実感する。
「珈琲ぐらいしかないけどいいか?」
既にドリップしてあったらしい珈琲を龍が差し出す。
「ありがとう。」
「……。」
「…?」
来客の想定がないリビングには
広めのソファーがひとつ。
先に腰かけていた遊は、
一瞬の沈黙の後に龍が隣に座ったことで
その意味を理解した。
(き、気まずい…。)
「……。」
「……。」
珈琲を啜ることふた口。
「順調か?」
質問の主を見ると、龍は手にした珈琲に視線を落としたままだった。
近くて遠い距離に、遊の胸が小さく痛む。
「ぼちぼち、かな。今日もボイトレだった。」
「高音域、伸びたよな。」
「え?」
「先月、白浜先生達の前で唱ってたろ?」
「ああ…。あれは、流石に原曲キーのままじゃ、バレる心配があったから。
でも確かに、昔はあそこまでの高さは出なかったかも。」
「ピッチも変えてたな。」
「うん。少しだけね。」
「そうか…。」
(そうだ。あの頃からだ。)
龍の態度に異変を感じたのは。
仕事の絡みで偶然会っても、
挨拶程度の素っ気ない会話。
目も合わせてくれない時さえあった。
(どうして…?)
「避けてるの?」
少し驚いた龍と視線が合ったことで
遊は、心の声を口に出していたことに気付いた。
(どうしよう。もっとやんわり聞くつもりだったのに。)
「……。」
目を合わせて貰えなかったことに傷付いていた筈が、今度は見つめ合うことに堪えきれず
遊は、カップを置くことを理由に前へ向き直った。
ふっ、と投げやりな溜め息が横から聞こえて心臓が冷たくなる。
「避けてるように見えたか?」
龍もカップをテーブルに置きながら口を開いた。
「うん…。」
俯いて答える遊は、次に告げられる言葉を恐れるように
ソファーの上でぎゅっと拳を強く握りしめた。
すると龍の手が、そんな遊の手に重ねられた。
「…?!」
「爪が食い込んで、手に傷が付く。」
そう言って、遊の手を開かせたと思ったら
明確な意思を持って
龍は大きな手は、開かせたそれを包み込んだ。
「り、龍?」
しっかりと握られた手から熱が伝わる。
「ドキドキするか?」
「するよ、そりゃ…」
「ばーか。」
「ばっ…!」
(馬鹿ってなんだよ!)
言おうと思ったのに。
見てしまった。そして気付いてしまった。
手を繋いだままこちらを見ようともしない龍の…
「耳が…。」
「うるせーよ。」
「耳…。」
「黙ってろ。」
(なんだろう、この気持ち。)
とてもくすぐったくて、幸せな感情が胸を満たす。
何も言わない代わりに、遊も、包んでくれる手を握り返した。
そして、龍の肩にそっと身を預ける。
微かに龍の体が緊張したのがわかった。
「ばーか。」
さっきのお返しに発した言葉は、ひどく優しい響きになってしまった。
遠くで聴こえるジャズの音色。
静かな夜。
ただ。
繋がれた手のぬくもりと
同じリズムを刻む心臓の音が
言葉を交わさなくなった二人の代わりに、互いの気持ちを懸命に伝え合っていた。
END
No.94ぺこ2015年9月14日 19:45
ぺこさん
うわぁぁぁい♪秋の妄想祭り〜
続きをありがとうございます!
遊ちんの女性としての魅力にやられてますね。龍ってば(笑)
いやー照れまくった龍がなんだか可愛い v
「爪が食い込んで、手に傷が付く。」
↑ 龍ったら キュンキュンさせるわー(♡´艸`)
No.95万里@管理人2015年9月16日 07:51
万里さま
勝手に書き逃げ失礼しました〜(^o^;)
今回は
『遊ちんを意識しまくる龍』ですw
あくまで健全の範囲にとどめましたが
最近、健全萌えがマイブームだったり…
きっとリミッター振り切って
一周戻ってきたんでしょうね(^-^;
No.96ぺこ2015年9月16日 22:34
ぺこさん、待ってましたぁ〜☆
「キレイになった遊ちん」の描写にドキドキです。
&純情すぎる龍に超萌えです(*^^*)
私の小さいつぶやきからのフランス語タイトル〜
とのお話、とっても嬉しかったです☆
ありがとうございます!
続きが気になるワクワク感がたまりません♡
No.97こりす2015年9月17日 21:38
続きをありがとうございます、ぺこさん!
あーん、もうっ
このイノセントでストイックなじれじれっぷりが、往年の少女漫画好きにはたまりませんな、はあはあ。(鼻息)
最近のTL漫画な二人も見てみたいけど、掲示板では無理か(笑)
妄想部員としては、あとは各自自由に妄想爆発させろという事ですね、そうします!
No.99シャナ2015年9月18日 10:33
こりすさん
龍、純情萌えにご賛同いただき
ありがとうございます(*´ω`*)
部員の皆様の妄想がまた新たな妄想を生む♪
これぞイッツァソルジャーワールドですね(笑)!
シャナさん
そうなんです、イノセント!ザ・少女漫画!!
と、ばかりに鼻息荒く書き逃げしたら、
勢いで誤字があったりしていますが(汗)
脳内補填宜しくお願いします(о´∀`о)
No.100ぺこ2015年9月18日 20:04