ふとこんなことを考えました。
スポーツを『集団競技』と『個人競技』に分けるとします。
サッカーは集団競技ですが、もしも天才プレーヤーがいて、キーパーとしてキャッチしたボールを誰にもパスせずに一人でドリブルしてシュートを決めて勝ったとする。観客は(サッカーは個人競技だったのか?)と感じるでしょう。
野球は集団競技ですが、もしも天才プレーヤーがいて、ピッチャーとして投げたボールを自分がキャッチャーとして捕り三振に仕留める。チームの全得点はその天才のホームランのみ。そんな試合を見た観客は(野球はいつから個人競技になったの?)と思うでしょう。
サッカーと野球を『集団競技』たらしめているのは『ボールを渡す』ところにあるのかもしれません。
キーパーはフォワードに渡す。
ピッチャーはキャッチャーに渡す(時速150kmで)
陸上競技は個人競技の色合いが強いのですが、『バトンを渡す』リレーは、集団競技の特性が強いのでしょう。
◎◎◎
フォームの欠点は、指導者が指摘しないと小学生はなかなか自分では気づけない。
もちろん私達も指摘しています。
『副作用』ができるだけ小さくなるような言い方を考えながら。
◎◎◎
3コマ前にこう書いておきながら、ではどんな言葉なら副作用が小さいのか、具体例をひとつも挙げていませんでした。
ご紹介します。
「もう少しだけ、脚を上げてみて」
「ちょっとだけストライド(一歩の幅)を広げてみようか」
『a little』は、どんなシーンにも自然に使えて効果のある言葉です。
「シュッシュッと腕振りして」
「ハードルをピョンと跳ぶのではなくて、ヒョンとまたぎ越す感じ」
擬音語は、子どもの心に入りやすく、動きをイメージしやすいので、副作用は比較的小さくなります。
「りんごをひざに乗せて」
OJAC伝統のこのキーワード。腰を落とさずにひざがスッと上がるのです。見えない物をイメージすることが良いのでしょうか?(スイカでは大き過ぎて、シャインマスカットでは小さ過ぎて、りんごがちょうど良いのかも)
12/16土曜に練習します。9:00〜11:00神崎山です。雨天中止の際は8:00までにお知らせしますので、確認してから出発してください。
12/2。リレー練習を中心にしました。
第2コーナーで二人組でバトンパスを練習します。その場でペアを組むので、相手のことも、走るスピードもよく分からない様子。
こわごわと走り、モソモソとバトンを渡します。やがてスピードに乗ってパスができるペアが出てくると、コーチはすかさず「みんな、このペアをよく見て!」と声をかけます。
渡す選手は思い切りスタートを切る。
もらう選手は相手がマーカーに到達するや前を向いて思い切り走り出す。
前を向いたままバトンをもらう。
もらうやいなや、グンと走る。
そんなバトンパスを見ると、他のペアのレベルがグンと上がるのが不思議です。
この日はリレーの通しにも挑戦。
ペアとペアを合体させて「あなたは一走‥あなたは二走‥三走‥アンカー‥」と4人チームの役割を振っていきます。
最後にコーチは、声を少し落として大事なことをみんなに告げます。
「実は、さっきまでの練習ではやっていないところがあります‥ニ走から三走へバトンを渡すところです。ニ走は左手でバトンをもらう。そのまま走って、三走の右手に渡す。練習はしてないけど、なんとかバトンをつなげよう」
いざスタート。急造の6チームですから、追い抜いてしまったり、バトンを渡し終えたら後方を見ないでパッとレーンを横切ってしまったりとミスこそあれど、すべてのチームがバトンをつなげてゴールできたのです!
もしもラッキーな偶然でバトンパスが完璧に出来ていたら(その時はうれしいですけど)どうすればいいか何も考えないでしょうから、この日のミスは『成長への宝物』
そう思います。
保護者の皆さんもリレーを走る選手の姿に注目。ジッと見つめていました。
これまでに幾度か書いてきました。
小学生に陸上競技の動きを指導する言葉がもたらす『反作用』や『副作用』・・小学生に「リキむな」と言えば動きはぎこちなくなり、「ひざを上げて」と言えば重心が下がってしまう・・のことを。
まだまだあります。(これまでに書いたことのない新作です)
短距離走で、身体の前に着地するとブレーキがかかってしまうので「身体の真下に着地して」と言うと、(自分がどこに着地しているか見るために)首が下に向いてしまいます。
「ストライド(一歩の幅)を伸ばして」と言ったら、後ろ脚が身体の後方に流れてしまう。
「ハードルの遠くから跳んで、できるだけ近くに着地して」などと言おうものなら、(脚を引っ掛けるのじゃないか)と不安になり、たちまち1台も跳べなくなることはまちがいありません。
(ハードルの遠くから跳んで近くに着地する、というのは、ハードルを何年も練習してきた選手がやがてたどり着く境地であって、いきなり小学生に言うとコワがらせるだけです)
でもフォームの欠点は、指導者が指摘しないと小学生はなかなか自分では気づけない。 もちろん私達も指摘しています。
『副作用』ができるだけ小さくなるような言い方を考えながら。