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編集・削除(編集済: 2023年10月25日 04:10)

猛暑日

むらむらと、地中からわき上がる
熱気を感じて
地球の威力を感じて
ぼくはうれしくて、階段を
二段とばしで駆け下りた
日傘を差しているおねえさんたちが不思議だった

太陽が、地球のお産を手伝っている
地球の吐息が熱風
産婆の手が日ざし
地面があついのは、中で赤ちゃんが暴れているから
ぼくはここにいるんだ
みんな頑張っているんだから
ぼくもここに立っていなきゃ
ゆらゆらと、ぼやける路上
せみが鳴いている

とたん目の前が白くなり
つめたいやわらかい部屋にいた
「熱中症ですね」
白い部屋の看護師さんたちは笑っていた
「どうなったの?」
ぼくが聞いても
誰も答えなかった
雨がぽつぽつ降っていて
赤ちゃんは死んでしまったんだと思った

編集・削除(未編集)

眠る種  荻座利守

一粒の種がある

黒く硬い
種皮に包まれた種が

いま深く深く
眠っていた

眠る種は
種であると同時に
時間でもあった

硬い種皮に包まれた
結晶化された
時であった

それ故眠る種は
遠い記憶の海を
漂っていた

種がもし
人の言葉を解したならば
己が種という名で
呼ばれることを
頑なに拒んだであろう

何故なら
種は種であると同時に
芽であり
根であり
葉であり
茎であり
花であり
実でもあるから

それら全ての形相が
結晶化された
時の内に刻まれていて
黒く硬い種皮の
内側に湛えられた
遠い記憶の海を以て
種という名による限定を
超脱していた

だが種は
人の言葉を知らず
いまはただ深く深く
眠るのみであった

そして
その内に秘められた
時の深みが
無辺なる質料の世界へ
遥かなる無限の未来へと
投射される日を
寡黙に待ち続けている

編集・削除(未編集)

斎藤純ニ様 評の御礼  小林大鬼

「福岡堰の雨桜」に感想ありがとうございます。

この詩は初めて訪れた福岡堰の情景〜バス停から下車してから、雨桜を見ながら福岡堰を過ぎるまでを描いたものです。今年の四月初めの日曜も入れると、さらに良かったかも知れません。

桜を見た喜び〜甥っ子が生まれた喜びと絡めて、作品化したいと作りました。あまり感情的な表現を使わず、率直な写実的な表現に留めました。

編集・削除(未編集)

それは10年前の恋  cofumi

季節の変わり目は
目薬が必要なくらい
視界がぼやけた
肩にカーディガンをかけて
chillyな夜明けを
一人で見つめ続けた 7年前 

昔の男のことなんて
忘れてしまった方がいい
そう言って揶揄する友人達
あなたが悪戯に描いた
私の裸体の絵は
それでもなお憂いを帯びていた 5年前

新しい海にダイビングするように
真っ逆さまに落ちていった
若さだって思ってみたり
引きづる想いを無視しても
押し寄せる波があの頃の二人を
煌びやかに映しだした 3年前

紙切れのような恋だったと
燃やした振りをした 1年前

あなたとは確かに出逢って
そして恋をした

想い出に まだ
 恋をし続けて いる

編集・削除(未編集)

新米のレジ打ち  galapa(滝本政博)

アルバイトでドラックストアの清掃の仕事をしていたのだが
今後は清掃の仕事はなくなるという
というわけで俺はレジ打ちとなった
パートのおばちゃんに付いて何時間か実習をした
横に付いてもらい実際にレジを通す

ポイントカードはお持ちですか
マイバックはお持ちですか
同じ商品はリピートを押せ
割引商品の場合は
野菜などを通す時は
豆腐、お肉、線香、化粧品は透明の袋に入れて
ビールは頭が4番のバーコードで読み取る
テープでいいですかの商品
商品券の処理の仕方
レジ袋に入れる時は固い物から柔らかい物へ
ありがとうございましたなにがしのお釣りになります
15番のアナウンスは釣銭切れの時に
クレジットカードの場合
ペイペイなど携帯決済の場合

焦ってパニックになる
なかなか声が出ない
いい歳とって(還暦過ぎだ)心のなかは泣きべそだ

パートのおばちゃんは親切丁寧に教えてくれる
自主レンがしたければ店長にいって
休みの日でも何時間か出てきてくれるそうだ
LINEの交換をした

妻にきょうあったことを話した
大変ですが何とかやってみます

夜、レジ打ちの夢をみた

編集・削除(編集済: 2022年07月02日 15:29)

お願い。  三浦志郎  7/1

三浦、横浜詩人会賞選考期間に入る為、下記の日程区間、いつもより評文が
少なくなる可能性があります。

7/1~7/4
7/15~7/18
7/29~8/1

ご賢察の上、よろしくお願い申し上げます。

編集・削除(未編集)

雫(しずく)  妻咲邦香

光が光を追いかける
うっすらと点滅しながら
追いかける

光が光から逃げる
ゆっくりと息を吐く速さで
逃げていく

光が群れから離れ
翅を休ませている
すぐに光は群れへと戻る
誰かに呼ばれたからだろうか
光はまた何かを探し始める
それが美しいものとは限らないまま

眺めていないで、私も輪に入る
誰も逃げはしないけれど
誰も話しかけもしない
私に光はないからだ
けれど誰にも呼ばれたくない
私が光になれるまでは
此処にいて、連れ戻されたくない
このままじっと、光に混じって
一緒に空にのぼっていきたい

私は知っている
あれは星だよと
光に話しかけ、そして教える
貴方たちとは違うんだよと
よく似ているけれど
全然違うんだよと
光には私の言葉はわからないだろう
なぜなら言葉、それこそが私の光だからだ
それは私だけが発することの出来る光だからだ

光はそれでも空を目指す
私はそこへは一緒に行けない
光ではないからだ
光と同じ翅を持っていないからだ
私の中にある翅に、私自身が
まだ気付いていないからだ

 私の光
 名前を持つ光
 他の誰とも違う光

別の光が呼んでいる
私を
私の名前を
強く引き寄せられる
まだ無口で、小さな光が
私の手の甲に触れる

帰りがけ、振り返っても
私にはもうわからない
さっきまでいたあの場所に見えるのが
星なのか光なのか
彼らもきっとそうなのだろう
遠くに見えるそれが光なのか
それとも他の何かなのか
わからない
自分たちのことでさえ
星なのか光なのか
美しいのか
そうでないのか

一際大きな二つの光が
群れから離れていくけれど
見送りながらも彼らは思うのだ
きっとまたすぐに
此処に戻って来るのだろうと

やがて結んだ手をゆっくりとほどきながら
もう一つの光は言った
雫みたいだね、と

編集・削除(未編集)

クリーンヘッドなエディ  三浦志郎  7/1

その名の通り
彼の裸の頭は
ミュージシャン仲間では有名で

黒人はハゲない
という俗説を
賑やかに覆していた

「ヤツは柄にもなく頭を使い過ぎたのさ!」
そんなジョークさえ飛び交うしまつ

* EDDIE “CLEANHEAD” VINSON
頭の中をクリーンにして
ブルースを歌う
彼にとって人種の魂を歌う時
余念を捨て 髪を捨て(?)
頭をシンプルにする必要があったのだ

ハゲるに誠実な理由ではないか

痩身を直立不動にして
今日も歌う
アルトサックスも吹くが
まるでトウシロ(素人)のようなポーズ

歌う と 奏でる で
真面目に聴衆に
自分の音楽を並べてみせる
“GROOVE MERCHANT”

「お客さん いかが? どの曲もお買い得ですよ!」


* お前のお陰で
毛がなくなっちまった
毎日なでられ キスされ
すっかり すり切れた
髪などいらない
俺にはお前がいるぜ
夏はいい感じに日焼けして
女が俺を欲しがってるさ
あたしのツルツル・ダーリンはどこ? 


―などと 
ジョークにして歌ってしまう

( EVERYDAY I HAVE THE BLUES ) が

陽気に
抒情的に
彼の頭の中にある

髪の代わりに受け取った
ブルースパワーが常に
彼の頭の上にある

そのニックネームと共に―



               
                  * EDDI “CLEANHEAD” VINSON……テキサス州ヒューストン生まれ。
                                  ジャズとブルースのクリーンな架け橋。
                                  1988年 心臓発作で70歳没。

                  *「CLEANHEAD‘S  BLUES」の歌詞一部対訳。


*******************************************************

明日、7月2日は、彼の命日。

「ハゲ」を調べたところ、ぎりぎり差別用語ではなく、放送禁止用語一覧にも掲載がありませんでした。
VINSON自身も自分の禿げ頭をネタに作曲し、レコーディングしているので、侮辱にはあたらないと判断、
作品として採用しました。「トウシロ」も同様です。 

編集・削除(編集済: 2022年07月01日 05:36)

テッセン 麻月更紗

テッセンの花が咲いた
母が言う
けれどネットで調べたテッセンは
庭に咲いている花と
似ても似つかない

母が丹精込めて
手入れした庭は
ごちゃごちゃしている
植えている花も鉢植えも
ばらばら

寄せ植えなんか
めちゃくちゃ
色合わせも
バランスも
あったものじゃない

テッセンだという花は
ひょろり背が高く
空にのびて
まわりは背の低い花ばかり
異様に目立つ

もう少しバランス考えたら
言っても無駄だとわかっていても
一応、言ってみる
次はひまわりを植えようかな
聞こえなかったようだ

あの背の高い花は
本当はなんという名なのだろう

編集・削除(未編集)

こころ  じじいじじい

ありがとうっていえるひと
みんなにかんしゃのこころをもっている

ごめんなさいっていえるひと
わるいことをみとめるこころをもっている

がんばれっていえるひと
みんなをみとめるこころをもっている

すきだよっていえるひと
みんなにすきっていわれるこころをもっている

ありがとう ごめんなさい
がんばれ すきだよ
すなおなこころをもっているから
いえるんだよね

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