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(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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MY DEARはあなたの詩の成長を、こつこつ支援するところです。)

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編集・削除(編集済: 2024年12月26日 18:12)

鎌倉という病  三浦志郎  12/18

最近の研究では初の武家政権は「平清盛による平氏政権」
とするのが学界通説のようである。源頼朝の鎌倉幕府は今
後、“初の本格的な”という枕詞が付く武家政権となるだろう。

*          *          *

武家の歴史七百年の中で“本格的始まり”は
鋼(はがね)のような 
大鉈(おおなた)を振るうような政権で

それは常にあった
平家にはなかった謀略と殺戮という病
あるいは気狂い 物狂い という病
ゆえに東夷(あずまえびす)と蔑まれた

気狂いのように働くうちに―
坂東武士たちに権力が転がり込む
彼等は欣喜しつつも自らに驚愕したに違いない
その光栄をどう遇していいか 戸惑ったのだろう
エネルギーが行き場を失い 迷路に陥って
共通の敵―平家―を倒し 持て余したその力を
今度は一族係累・同僚同志に向けてしまう
そもそも(我が 我こそが!)の気風の地である


平清盛死して平家は瓦解滅亡した
源頼朝死して政(まつりごと)は混乱した
権力の重石(おもし)が失われた時
歴史の公理が悪霊と化し
彼らに憑りついたのかもしれない


時代の推移は人々に
規範 徳目 文化 教養 をもたらすが
鎌倉武士 いまだその恩恵に浴してはいない
武家政権七百年の中で鎌倉はまだ始まったばかり

蛮性という持って生まれた病の人々
バーバリアン そして 蛮族
それゆえの醜怪 粗野 未熟 不器用を
滅んだ者はもちろん 栄えた者をさえ
憐れみ偲びたい
荒ぶる裏側で潔さを知っていたことは
手を打って賞讃したい

鎌倉武士 そんな病の癒えぬまま
次代を他者に託して去って行った

時代の成熟を見ることもなく―

*          *          *

今日も鎌倉は大勢の観光客で賑わっていることだろう。
そんな喧噪をよそに、今年一年ずっと、いにしえの鎌倉
のことを考えて来た。これを契機に、これからも考えて
いくだろう。その時、「時代の未熟、蛮性ゆえの不器用」
に悲哀を感じていたい。それは愛惜にも通じそうだ。
それは繁栄・滅亡どちらの人々にも、優しい眼差しを向
けること、そう思っている。

編集・削除(編集済: 2022年12月18日 08:01)

こころねの墓場  白猫の夜

月を見上げて死を想う
猫を抱き上げて死を願う

ほのかに香る心音に
土をかぶせては見ないふり
ふたばは出ずとも根は張りますので
いつしか重たくなりました
根腐ればかりが増えゆく一方
誰も気づきやしないのです

容易い笑顔のその下は
誰にも気づけやしないのです

海の水は冷たくて
どこまでも沈んで行けそうで
腕に突き刺さる長いツメ
身を捩り逃げようとする私の猫を
先に沈めてあげました

わたくしはいまだ生き下手で
無垢なオトばかり消していく
いつしか心は枯れました
いつかと夢見た蓮池で

いつしかおとはきえました
いつかとのぞむまでもなく

鳴き響く愛しい猫の声
私でさえも気づけなかった
ひとりぽっちの心音を
気づいてくれた猫の声

つんざくような ねこのこえ

月を見上げて死を願う
猫を抱き抱え死を望む
頬を伝うものは知らん振り
震えるうでには愛のあと
さあこれでもう引き返せない

腕の中の小さな命
消え果ててしまった愛しい命

星の川渡る口実に
私は猫を殺めました

編集・削除(未編集)

還る  理蝶

野菜ジュースが血に見えて
吐き出してしまったところで
彼女はもうおしまいだと思う

彼女は海へ向かうことを決める
ありがちだなと口の端を歪める
でももう構わない
通俗だとかそうでないとか
そんな次元にはいない錯乱の中
彼女は海へ還るのである

漣の一つとなるまで
細かく解けて
彼女は大いなる循環に
身を置くのだ

彼女は10年落ちの
青い車へ乗り込み
エンジンをかける
流れていく車窓の中
彼女は彼女の生きたことを
振り返ったり見つめたりする
それに伴うはずの胸の痛みすら
もう彼女には訪れない

いくつかの愛と憎しみは
彼女が残せる数少ないものであるけど
それも波の満ち引きのように
誰かの心で
本当に時折顔を見せたり
2度とは見せなかったりするのである

尾を引く愛や憎しみで
誰かの中に生きていたいだろうか
彼女が生きた意味を
示す物は本当にないのだろうか
そんなことを秋の霧のような頭で考えている

それも全て
海へ還ればわかる
心の答えや魂の在りかも
全てわかる

罪を背負った猿の言い訳を
聞き飽きた地球が
まだ青い水をその体に
とどめているうちに
彼女は音もなく溶けてゆくことにする

さようならなんて言わない
ただ元に戻るだけなのだから
大いなる循環に
形を変えて
加わるだけなのだから

彼女は重たいドアを開け
潮風を浴びる
ここで孤独に錆びて行く
青い車を見る
そして彼女はこの星の誰よりも
丁寧に目を閉じた後
静かに海へ歩き出す

編集・削除(未編集)

明晰 成城すそ

ソファーに寝転んで
終わらない夢を見る

梅雨が明けてすぐで
少ししっとりした地面に
自分を溶け込ませる夢

後頭部に当たる太陽が
私を後ろから責め立てる

土に被さる影が
私の眼前に差し迫る

終わらない夢を見てる
あの日の地面の水分と

罪悪感と共に

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雨音様へ  ふわり座

雨音様 感想とても嬉しく思います。
次からは声に出して振り返りたいと思います。
これからも感想よろしくお願いします。
良い作品ができるよう頑張ります。
有り難う御座います。

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熱情  猫目屋倫理

脳髄が
焼き切れる

赤く赤く
真っ赤に赤く

目眩
くらりと煙草の煙
盗み見るのだ濡れた唇

不意に差し出されたフィルターの
湿った感覚に肺が潰れる

あんたに向かうこの思いが
全部思い違いならまだ

ふざけてぶつけた肩と肩
いつも通り笑い合って
いつも通り消えろと呪った

赤く赤く
真っ赤に赤い

熱の行き場も
情の隠し方も

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撮りっぱなしのムービー  山雀詩人

カレーライスが嫌い

いや本当は好きだけど
三日連続でもいいくらい好きだけど

でも嫌い

味じゃなくて
食べたあと

そう 嫌いなのは食後のお皿
べったりとよごれたあのお皿

パフェが嫌い

いや本当は大好きだけど
でも嫌い

そう 嫌いなのは食後のグラス
べったりとよごれたあのグラス

カレーやパフェだけじゃない
どんな料理も食べたあと

ねっとりと油やソース
こってりとたれやかす

残るのはよごれた食器

あれを見ると哀しくなる
泣きたいくらい侘しくなる

欲望果てたあとのベッド
そのシーツのしわを見るような

誰か作ってくれないか

絶対によごれないカレー皿
絶対によごれないパフェグラス

ついでに
絶対にしわのよらないシーツ
もできたらいいけど
まあそれはあとでいいから
だからまず
なによりもまず
よごれない食器をどうか
どうか発明お願いします

じゃなきゃ嫌いになっちゃうよ
カレーもパフェも
その他ほとんどすべての料理を

だってそうでしょ
だいたいよごれてるでしょ
食べたあと 欲望のあと

哀しくなるんだ あれを見ると
侘しくなるんだ 泣きたいくらい

生活という野暮な景色に
誰かモザイクをかけてくれ

日常という撮りっぱなしのムービーを
誰か編集しカットしてくれ

だってやっぱり好きなんだ
この味が

だから食べるよ
今夜も食べる

欲望には勝てないよ
三日目のカレーライスだ

では いただきます

うん おいしい
やっぱりうまい

でも早速もう
スプーンがよごれた
 

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行き先  秋冬

このバスはどこへ行くのですか? と聞かれて、はじめて私はバスに乗っていることを知り、私にも分かりませんと答えて、どうしてバスに乗っているのかも分からないのです、と吐き出したら、実はバスに乗っているのかどうかも分からずに聞いたのです、と更に上を行かれてしまい、バスではないのかもしれない、という新たな疑問が増える。周りを見ても、知り合いは誰もおらず、みんな一人らしいので、記憶にないだけで一人旅専門ツアーに参加したのかもしれない、と考えるようにしたのだけれど、そんなものに今まで参加したこともなく、ツアーだったら一人旅ではないだろうと、一人で話を拗らせ一人で笑う。何がおかしいのですか? と隣の人が聞くので、一人旅専門ツアーの話をしたら、あぁそれなら僕も考えましたと苦笑いするので、面白いと思って笑った自分が恥ずかしくなり、一緒に苦笑いする。何かに乗って揺られていることは分かるが、窓の外は暗闇で何も見えない。

戻って、お願い
お願いだから、戻って

耳に突き刺さる叫び声と、折れるのではないかと思うほどに握り締められた手の痛みで、私はベッドに横たわり機械に囲まれた私にするりと潜り込む。


久しぶりの旅行で水陸両用バスに乗り込み、あれは三途の川を渡る水陸両用バスだったのではないかと思いつき、一人頷く。誰に頷いているの? 叫び声をあげて手を握ってくれた女が声を掛けてくる。私は何も言わずにそっと手を重ねる。このバスはどこへ行くのですか? と聞いた隣の人はどうしたのだろう。私のように呼び戻されたのか、それともそのまま真っ暗闇に揺られて、光り輝くどこかへ消えたのか。お花畑の話は聞くけれど、水陸両用バスの話は聞いたことがないので、あれは単なる夢だったのかもしれない。遠い昔のように思えるが、わずか半年前の出来事である。


このバスはどこへ行くのですか? 手を重ねた女が私に聞くから、空いている左手で胸ポケットを探すが、チケットは見当たらない。いったい、私たちはどこへ行くのだろう。

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あしたやろう  じじいじじい

きょうはつかれたな
がっこうのしゅくだいやりたくないな
あしたやろう

ママとのやくそくおてつだい
やりたくないなきょうはいいや
あしたやろう

「きょうはいいやあしたやろう」
きょうやらないの?つかれたから?
ママとのやくそくは?
めんどうくさいから?

あのねやくそくはまもらないとだめ
きょうやることはきょうだよ
「あしたやろうはばかやろう」だよ
「めんどうくさいはこころがくさい」だよ
じいじにしかられた
ごめんなさい

わたしはやくそくまもるこ
わたしはやることやるこ
もうがんばるこになるからね

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[どきどき]  maut joe

こっちをみているの?
まどをふくてのいたずらくん?
ぺちゃんこにつぶしたへや
ほとんどつぶしたへや
なかはくねくねしている
なかはぼわぼわしている
ぼくよりすこし えらい きみ

どこをみているの
ちいさなてのきまじめちゃんは
ほんとは
なにもいらない と
いいたかった
ちいさなぐらぐらは
もう
とおくのこと
ようはないのに
ぜーんぶほしい って
せーのでさけぶ

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