きっこさんのエリザベス女王の競馬の話を聞いていてディック・フランシスの『女王陛下の騎手』を読んだ事を思い出して違和感があったので妄想の糸をたぐると、この女王陛下はエリザベス女王は女王でもお母様のエリザベス王太后The Queen Motherの方でした。エリザベス女王の持ち馬はほとんど クイーンマザーからの相続です。ディック・フランシスは障害競走のトップ騎手でクイーンマザーの専属騎手でした。1956年のグランドナショナル(イギリス障害競馬の大レース)においてデヴォンロック号に騎乗したディック・フランシスは後続に大差をつけ、初めて女王陛下の馬がグランドナショナルで優勝という快挙に観客たちが興奮の坩堝と化し、かつてないほど異様な大歓声で競馬場を包み、あとゴールまで約50mというところで驚いた馬が突然ペッタンコと腹這いになって止まってしまったという悲劇を起こしたのです。
ディック・フランシスは翌年騎手をやめ、競馬スリラー専門の推理小説家となり、1962年『本命 Dead Cert 』から2010年『矜持 Crossfire』まで43作の傑作を残したのです。驚くべきは全作競馬の話なのに主人公が毎回代わり騎手だけでなく酒屋の若店主だったり(彼からラフロイグLaphroaigという一度呑んだら絶対忘れられないスコッチウイスキーを教わりました。チャールズ新国王の御用達証明付き)ヴァラエティに富んで手に汗握るスリリングな展開を繰り広げることで、例外は片腕の騎手シッド・ハレーが四作あることで、一年に一作のペースなので実に奇想天外のじっくり練り上げられたストーリーに新作が待ち遠しくわくわくわくわく鶴首の思いで待ったものですが、殊にシッド・ハレーが数年ぶりに再登場の噂が出ると翻訳は早川書房から菊池光の名訳が待ち切れなくて、仕事でロンドンに正月なのに二つ返事で飛んでヒースロー空港の売店で2006年12月発売の『Under Orders』を2007年の正月にゲットしてホテルで外出もせずに読み耽っていました。というわけでわたくし競馬ミステリー43冊と自伝『女王陛下の騎手』を読んでま~す。
友だちいないからマージャン知らないしやったこともないのに阿佐田哲也の麻雀小説全作読んでいるようなもので、競馬やったことないのに競馬小説44冊持ってるのも同じ。猫髭一族は先祖の本家だか分家だか女遊びと博打で勘当された者がいるらしくて女遊びと博打は禁止なのです。酒は死ぬほど呑んでもOK♪春本も春画もバレ句川柳もOKで『壇ノ浦夜合戦記』(頼山陽伝と云われるがこれは名文。わたくしの現代語訳は原文を十倍に微に入り細に入り秘術の限りを尽くして伸ばしに伸ばしたので続きを早く訳せと矢の催促でした)『四畳半襖の下張』(永井荷風作と云われるがわたくしは余り面白いとは思わなかった。『腕くらべ』の方が圧倒的に優れている。思わず『四畳半襖の裏張り』と書いてしまったがこちらは神代辰巳監督、宮下順子主演の映画であやうく宮下順子の隠れファンだったのがばれるとこだった。バレテルッテ)『茨の垣』『風流賢愚経』などの奇書珍書も猫髭蔵書にはありますが、ただ、春本は肝心の発禁箇所が万葉仮名で書かれていたり、欠落していて膨大な補遺が付いていて、それを切り張りするとおお!そんなことあんなことの仔細がわかるという実に手間隙がかかる仕掛けが施されているので読むには学究的根気が必要です。
最後におまけで面白いことを書くと、『茨の垣』や『風流賢愚経』といった風俗本は会員制で500部限定といった好事家向けに販売されるのですが、文壇の二大大家が絶賛するのもむべなるかなといった当時の評判録が散見されるのですが、一体誰なのだろうと思っていたら、たまたま「貴重文献保存会」の散らしに書いてありました。「高浜虚子、日夏耿之介氏等の賛嘆して置くあたわざりしもの」って、おいおい、日夏耿之介は学匠詩人と言われるゴスィック・ローマン詩體の神秘派だからわかるが・・・まさかこんな場所で客観写生の先生にお会いするとは・・・そう云えば先生は子沢山だったなあ・・・。
みなさん、こんにちは。
競馬が大好きだったエリザベス二世は、イギリスで初めて「君主による勅令」によって、ジョッキークラブの裁定に法的権限を与えました。
その結果、ジョッキークラブの権威が確立され、近代競馬は大きく発展したのです。
エリザベス二世は馬主としても大成功しており、日本で言うところの「G1馬」を数多く所有していました。
1954年と1957年には、イギリスの全ての馬主の中で「獲得賞金1位」に輝いています。
1973年、当時の田中角栄首相がイギリスを訪れてエリザベス二世に面会した時、女王は角栄に「日本のお金持ちが次々とイギリスに来て、良い種馬を片っ端から買って行ってしまうので困っている」と苦言を呈しました。
すると、自身も馬主で競馬事情に詳しかった角栄は、次のように返したのです。
「もともと女王の所有場だったゲイタイムは、現役引退後、種馬として日本に輸入されたことで、1962年に日本ダービーを制したフエアーウイン、1963年に日本ダービーを制したメイズイというダービー馬を二頭も排出しています。女王の元所有馬の産駒が二頭も日本の最高のレースを制したのです。これは素晴らしいことです。女王、ぜひ日本にいらしてください。私が東京競馬場をご案内いたします」
この角栄の「シレッと女王を持ち上げる」という機転の利いた返しによって、まだ四十代の若かった女王は、通訳の言葉を聞き終わる前に笑い出し、そのまま角栄と二人で大笑いしたという逸話が残っています。
そして、二年後の1975年、エリザベス女王はあたしが三歳の時に初来日しましたが、この初来日を記念して、中央競馬(現在のJRA)に牝馬限定のG1「エリザベス女王杯」が誕生しました。
日本では愛情を込めて「エリ女(じょ)」という略称で呼んでいる11月のG1レースですが、俳句が好きなあたしとしては「女流俳人の俳号」のように感じてしまいます。
そのうち「横山エリ女」という俳号で、競馬関連の俳句をまとめた句集でも出してみようかと思っています(笑)
冗談はさておき、サッチャーが「鉄の女」なら、サッチャーの大改革で切り捨てられた数えきれない人々への思いを忘れなかった
エリザベス二世は、あたしにとって「現代のマリー・アントワネット」に他なりません。
敬愛する女王に、心からの哀悼の意を捧げます。
昨夜遅くエリザベス女王の危篤のニュースが流れたが、今朝起きたらお亡くなりになられていた。ロンドンは仕事で何度か訪れたが、日本の皇室とは違い、英国の皇室はTVや映画で国民のジョークのネタになるほど親しまれていて日本なら不敬罪だと右翼が騒ぐだろうなとお国柄の違いに驚いたものだ。合掌。
わたくしはいつも青空掲示板、このB列車掲示板、うつくC掲示板とアガサ・クリスティの『ABC殺人事件』(「これはエルキュール・ポアロシリーズの中でも屈指の傑作)の順で回るのですが、青空掲示板でまだきっこさんが新酒を飲んでいらっしゃるので(笑)、もう三日酔いくらいなので、こちらが後の月のお月見をしているのでこちらから。
>鹿児島のトランスファーで新酒かな
>訂正しても「虎」つながりは存続するのでOKですね♪
はい、OKです。「transit」は通過するから来ていますが、「transfer」は乗り換えるという意味で、日本と違って海外は時間通りに発車することなどまずないし、途中で電車からバスへ「transfer」しろというアナウンスなどしょっちゅうで『オーロラ吟行』でも初日から、ハイここま~でえよで、有無も言わさずバス移動に換えさせられました。ドイツでは公衆電話がイギリスではホテルの自動販売機がコイン飲み込んだまま壊れているし、中国でもアメリカでもスイスでもシャワーは途中で止まるし、日本以外でホテルの水が煮沸せずに飲める国はひとつもなく、銀行のATMが壊れているのでクレームを言うと、隣の別の銀行のATMを使ってと、は~?ましてや電車やバスが時間通りに走り、数分でも遅れるものならニュースになる国は日本ぐらいで、大都会のレストランでも車は明るい場所に停めろとか、公園を女性がひとりで夜横切るようなことがあったら100%襲われるとか、いかに日本の治安がいいか驚くほどです。でも、海外は日本ではない。郷に入らば郷に従え。
でも、若いうちに海外へ行くのはとても勉強になります。異国の文化の違いに触れると言葉、皮膚の色の違いの壁が否応なくわかり、井の中の蛙にならなくて済むからです。世界は広い。それを知るだけでも勉強になります。わたくしは三十を過ぎてから海外を回ったので既に情報があり過ぎて感受性で外国を体験するには年を取り過ぎていました。まあ、その国の映画や音楽や文学に詳しいという雑学だけは豊富だったので、仕事よりもそっちの趣味で、仲良くなれたのはめっけもんでした。自分の国の映画や音楽や文学に詳しい異国人がいたら誰でも歓迎しますもんね♪
例えば、バーに行って、ギムレットというジンとライム・ジュースのカクテルを注文する時に、
It's a bit too early for a gimlet.(ギムレットを飲むには早すぎる)と云うと、
これはレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』のキー・ワードになるセリフですからアメリカ人のハード・ボイルド好きなら誰でも知っていますので、このセリフ一発で、おお友よとなれるわけです。そこで、
This is the beginning of a beautiful friendship.(これが美しい友情の始まりだ)と続けると、
これは映画『カサブランカ』のハンフリー・ボガード(ボギー)の最後のセリフですから、このセリフを知らないアメリカ人はいないというほど有名なセリフなので、大変感激してくれます。というのは、アメリカ人は子どもに英語を教えるときにDr. Seussの『Green Eggs and Ham』という絵本をBeginner Booksとして読ませるからです。緑色の卵とハムは好きですかと相手を追い掛け回して最後においしいじゃないかと仲良くなる、その最後のセリフが『カサブランカ』のThis is the beginning of a beautiful friendship.なのです。
このDr. SeussとRichard Scarry's ABC Word Bookシリーズ(ビデオもあります)がアメリカ人が子どもに言葉や数字を教える絵本の定番ですから、わたくしの娘たちもこれらの本とビデオを見て遊びながら英語を学びましたので、ハリー・ポッターなど翻訳が遅いので長女は続きを原書で読んでいたくらいですから、英語を勉強するなら彼らが使っているBeginner Booksを使って楽しく学ぶにこしたことはないのです。This is a pen.バカか(わたくしの学生の頃)。
>ジローさんは超辛口のシェリーを薦めてくれました
>この時は普通のワイングラスで飲みましたが、ワインよりもアルコール度が高いので、あたしはクラッシュドアイスを入れたら美味しいだろうな、と思ったことを思い出しました
正解。ジローさんの飲み方はシェリーは酒精強化ワインですのでワイングラスで飲むのが正式な飲み方です。ピザを手づかみで食べるのはアメリカ人と日本人だけでイタリア人はナイフとフォークで食べるようなもので、アメリカ人の主婦はシェリーを飲みながら料理を作っているうちに肝臓が大きいので知らず知らずのうちにアル中になってしまうのですが、日本人は肝臓が小さいので酔っ払って気分を悪くするのでアル中にならないという話を聞いたことがあります。でも、ドライシェリーはクラッシュドアイスに合うのよねえ(笑)、映画「Days of Wine and Roses」はシェリーに溺れて身を滅ぼす夫婦のせつない話ですがいい映画です。ヘンリー・マンシー二が作曲した主題歌はアカデミー主題歌賞をとりジャズのスタンダードとなっているので皆さんも聴いたことがあるでしょう。今夜はジュリー・ロンドンの甘い歌声でどうぞ。猫髭の右の矢印をクリック。映画の最後は更正する夫役のジャック・レモンとアル中になったことを認めない妻役のリー・レミックのシーンが少し入ります。
写真は箱根仙石原の朝靄。
きっこさん、兎波さんみなさんこんばんは。
>ドロンジョのボインも揺るる十三夜
>本当は、こんなふうに詠みたかったのではありませんか?
な、なぜばれた(笑)きっこさんに見透かされてしまいました。
この句は
「貴金属だけの裸体や月の海」 のオマージュのつもりで、とっさにドロンジョのことが浮かび
頭にこびりついていました(笑)
月明かりと白いカーテンに浮かぶ女性の裸体、美しい構図です。
昨日のきっこさんの向日葵の御句、平和を願う気持ちとソフィアローレン、マストロヤンニのひまわりの
映画の情景と主題歌が鮮やかに蘇りました。
こんな句を詠んでみたいです。