プロスケーターに転向した羽生結弦さんがアイスショーを開催。
その最初の演目は「6分間練習」だったそうです。
お客さんに練習風景を見せる理由をこう語っています。
「自分のアスリートらしさというか、根本的にある、さらに追究し続ける姿みたいなものを見ていただく機会になれば」
小学生陸上選手も、同じ気持ちで保護者の方に練習場面を見てもらえば、成長はより加速するのかもしれません。
「OJACでは『これがいいフォームです』という指導はしません。」
練習の前に選手と保護者に伝えます。
「小学生は体力も筋肉のつき方も柔軟性も一人ひとり大きく違います。ですから『理想のフォーム』も一人一人違う。身体の硬い子が無理にひざを上げると痛めてしまうでしょう。それに」
皆さん、こちらをちゃんと見て聞いてくれています。
「もし理想のフォームが見つかり、その子がそれを身につけたとしても、小学生は日々成長しています。今日の理想のフォームは一週間後にはズレているかもしれません。もし身体のどこかが不調なまま無理に同じフォームで走ると、さらにひどくなるでしょう。今の体格、体調、成長度合いに合ったフォームを、自分で無理なく見つけていく。それがクラブの考え方です。」
この考え方はずっと変わっていません
12/4の走り幅跳び練習で。
OJACでは最初に「いいフォームはこうだよ」と指導はしません。
まず跳ぶ。
砂場に着地。
すぐに子どもに尋ねます。
「どこに気をつけて跳んだの?」
選手の返事はそれぞれです。
「地面をグイッと押しました」
「バンッと踏み切りました」
「両手を振ってジャンプしました」
みんな自分の言葉で返してくれます。
その中で一人の選手を呼び、みんなに跳躍を披露してもらいました。
「みんなに聞くよ。今、どこに気をつけて跳んだと思う?」
みんな気づいている表情。
その選手に答えてもらいます。
「前へ、ではなくて上へ跳ぼうと意識しました。」
それから全員がもう一本挑戦。
ジャンプは見事に高くなりました。それだけではありません。
助走のラスト5mで加速したり、踏切の音が大きくなった子が続出。
〖上へ跳ぼう〗と意識すると、助走も踏切も自然に向上する。
「いいフォームはこうだ」と指導されてから跳ぶよりも、良い動きを見て自分の動きに取り入れる。
この方が小学生には向いているのかもしれません。
(写真は他の選手の跳躍をしっかり見ている様子です)
OJACの練習を12/4(日曜)と12/17(土曜)に行います。小学3年から6年が対象です。9:00〜11:00 神崎山陸上競技場にて。予約不要。300円を集めます。お好きな服と靴でどうぞ。ご質問はメールでojac@goo.jpにお寄せください。短距離走・走り幅跳び・ハードル走をいくつでも選んで練習できます。
ストレッチの次は動きづくりを。
トラックに入ります。
「スキップを20mぐらい。はいスタート」
スキップのフォームは何も指導しません。腕振りも脚の運びもバラバラ。高さもみんな違います。スキップをするのが初めてで、そもそもどうするのか知らない子もいます。
「動きがいい選手がいる。あなた、みんなの前でやってみて」
いきなりコーチに言われてとまどったはずですが、彼は見事にさきほどと同じ動きを披露してくれました。
「どこがいいか自分で考えて。はいスタート」
2本目をやると、みんなの動きは変わりました。腕は大きく振られました。振り上げた脚は高くなりました。その当然の結果として、ジャンプの高さも増しました。
3本目は変化させます。
「背中で手をつないでスキップします。はいスタート」
腕振りが制限されたので、上半身が左右に揺れます。身体の軸がブレている。
「いい動きの選手がいる。あなた、頼む」
みんなジッと見ています。
やっぱりこの選手も、お手本という緊張感の高い状況でも変わらぬ良い動きを見せてくれる。
「どこがいいか、一人ひとりが感じ取ることが大事。コーチの感じたのは『足音』だ」
ドンドンではなくトントン
ズンズンではなくスッスッ
濁音がない。
重心が高い走りだからそうなる。
「自分の足音を聞きながら。はいスタート」
これで動きは変わる。足音が軽くなるのです。
見ること・聞くことで動きは変わる。特に小学生陸上選手は、その変化の角度が大きいようです。
そこにはもちろん、真剣に見て、聞いて、自分の動きを高めようとする選手の意識の高さがあります(なんとなく見ていても、何も気づかないし何も聞こえませんものね)。
この日(11/19 )、わたしが『いい動きの選手』に近づいて「はいあなた、見本見せてくれる?」と肩に触れた瞬間、そのそばで「あぁ選ばれなくてよかった~」とつぶやいた選手。
次はあなたかもしれませんよ。