ハードルに挑戦する小学生にフォームを教えることはしません。
「振り上げ脚はこう伸ばす。抜き足はこういう折り曲げ方で、両手はこう広げて」と言わない。
一台のハードルをゆっくりまたぎながら手を取り脚を取り「この形に曲げて」と指導しない。
まず跳んでみる。コーチはフォームを見て、危険な部分があれば指導します。フォームを直させる。
その選手に危ない部分がなければこう言います。
「ハードルのないところを速く走るよう意識してごらん」
これで選手は跳び方を自分で考えるようになります。ガラっと跳び方が変わるのです。(スタンドで見てくださっている保護者は気付かれている方もいらっしゃると思います)
ハードルの無いところを意識するとハードルの跳び方が変わる。
その理由を考えてみました。
ハードル走は小学生にとって一番とっつきにくいものでしょう。固い。怖い。痛そう。練習したい種目を選ぶ時に『一番選ばれない』種目。
ですが、1/28の練習では意外な光景が見られました。とにかくハードル走を体験しようという選手が複数現れたのです。入れ替わり立ち替わり来ては挑戦し、また短距離走や走り幅跳びへ戻って行くのです。
小学生の間はいろいろなチャレンジをする。やがて自分にふさわしい種目を発見する。
(これまで言葉にしたことはありませんが)これはOJACが理想としてきた小学生陸上クラブのあり方。
そばで高校生が跳んでいたハードル。その高さに目を見張る小学生たち。「スッゴい高い。ボクならくぐる方が速いヨ」
OJACの練習は2段階制。ファーストステージとセカンドステージに分かれています。
まずストレッチをじっくり行います。それから基本的な動きづくりを。多種多様なスキップ・ダッシュ・走り幅跳びの動作など。
ここまででのファーストステージで1時間くらい。
それからの1時間、セカンドステージは自分で練習したい種目を選びます。〚何種類選んでもよい〛〚いつ次の種目の練習に移動してもよい〛これがOJACの特徴です。
1/21の練習でこんな場面がありました。ファーストステージを終え、セカンドステージにうつる時にコーチが選手にこう声をかけます。
「何を練習するか、どうやって選べばいいのかな?」「自分で決める」「じゃあ仲良しの子と同じのを選べばいいね」「違う。自分が練習したいのを選ぶんだよ」
コーチの誘導に惑わされない選手たち。
スタブロを使う目的を教えることで選手は自分の力で成長する。そう書きました。理由はこうです。「前足はこの位置。後ろ足はここで、ブロックの高さはこう。両手の広げ方はこのぐらい・・」と指導することは簡単です。子どももすぐに覚えます。教わったそのとおりにやろうとします。ですが、筋力も柔軟性も違う選手たちが、同じスタブロの設置の仕方で良いわけがありません。しかも、小学生は日々成長しています。1か月後には、身体に適したスタブロの置き方は変わっていてもおかしくありません。
『スタブロを使う目的』を意識して、今の自分に合った置き方を見つけることが大事だと思います。
1/21の練習でスターティングブロックを使っての練習をしました。
OJACではスタブロの使い方の指導はしません。スタブロを使う目的を教えます。「低い姿勢から勢いよくスタートするためにスタブロを使うんだよ」これだけで子どもはあれこれ試し始めます。
「脚の力で身体をうまく前に進ませるようにスタブロを使ってみよう」これで選手たちは自分の身体に合った位置にスタブロをセットできるようになります。
初めて触れる3年生はどうするか?
高学年の選手のやり方をジッと見ています。それでどんどん上手になっていくのです。
コーチは、安全面の指導と、よそ見をしている子に「見なさい」と声をかけるだけで、選手はレベルアップしていきます。