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(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
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「スマホの風景」に感想ありがとうございます。
この詩はふと車内を見て作ったものです。
ガラケーからスマホになかなか替えられなかった
のもこの風景が嫌だったからです。
いつもの
単行本を
手にして
家を出る
地下鉄の
ベンチで
付箋だらけ
赤線だらけの
物語を開く
目の前を
人が
行き来する方が
一人に
なれるのだ
何度読んでも
懐かしく
何度読んでも
新しい
隣りに
座った
少女が
紫のハンカチを
差し出す
僕が
思い描いた
主人公だ
この世に
現れた
のか
僕が
本の世界に
入り込んだ
のか
どちらなのか
分からないが
とにかく
涙が止まらない
いつも
ありがとう
ハンカチを
受け取ると
少女は
優しく笑んで
うっすらと
消えて行く
しかし
手にした
紫のハンカチは
消えない
僕が
残された世界は
どちらなのだろう
あなたは揺れる
揺れる
揺れる
揺れる
炎
わたしを照らす
照らす
照らす
照らす
炎
わたしを包む
包む
包む
包む
炎
わたしを燃やす
燃やす
燃やす
燃やす
炎
わたしと光る
光る
光る
光る
炎
わたしを廻す
廻す
廻す
廻す
炎
わたしを飛ばす
飛ばす
飛ばす
飛ばす
炎
わたしを焦がす
焦がす
焦がす
焦がす
炎
わたしを崩す
崩す
崩す
崩す
炎
わたしを尽くす
尽くす
尽くす
尽くす
炎
わたしを帰す
帰す
帰す
帰す
炎
わたしに光る
光る
光る
光る
炎
あなたは揺れる
揺れる
揺れる
揺れる
炎
てんとう虫の子どもを
私が育てる夢をみた
夢の中で
田舎の小道を歩いていると
一枚の大きな葉っぱに
私の顔ほどもある、
大きなてんとう虫が四ひき、ついているのをみつけた
重みで四匹がついている葉っぱの茎が
今にも折れそうにしだれていた
虫はあまり好きではないし
私はその光景から
遠ざかるように歩いて行った
もう一度そこを通ったとき
てんとう虫はやっぱりいた
けれども今度は葉っぱの下で
人間の赤ちゃんが泣いている
まだ立てない
その子は私が出会った
はじめての人間だった
突然、てんとう虫が一斉に震えた
「タノム、ソダテテ」
てんとう虫の言葉を理解すると
ああ、赤ちゃんはてんとう虫の産んだ子なのだと直感した
他にきいた人はいないか、あたりを見渡しても
誰もいない
とりあえずその子を抱き上げ
山奥の祖母の家まで歩いて行った
部屋に入るやいなや
祖母は言った
「育てなさい」
巫女がお告げするように重々しい口調だった
「何をあげたらいいのかわからないの」
私が言い訳すると
すりおろしたりんごを葉っぱにのせて持ってきた
赤ちゃんはそれを手づかみで器用に食べた
「頑張って」
私は行きと同じように
その子を抱っこして帰っていった
どうしててんとう虫の子どもが
人間になってしまったのだろう
けれどその子は
りんごしか食べないこと以外
普通の赤ちゃんだった
そのうちてんとう虫のことなど忘れて
その子を育てていた
公園に連れて行ったり
新しい服を着せたりもした
その子は私にお母さんのように甘えた
私が育てているのだし
お母さんでもいいと思った
とにかくその子が可愛かった
……
私は夢からさめた
布団の上の腕には
よいしょ、と抱き上げたときの重みと
あたたかい体温の感覚が残っている
その子はもう二歳、
電車好きのやんちゃな男の子になっていた
スマホの光に照らされた娘の顔に初めて孤独を感じた
私が初めて孤独を感じた日は覚えていないが
私が初めて孤独ではなくなった日は覚えている
あなたがお腹に来た日だ
それからは忙しさと心配を行ったり来たり
近頃は淋しさも増えてきたね
孤独に見えたあなたの頬や顎や目はしっかりとした輪郭を持って
たった一人のあなたがそこにいるのだね
いつもえがおのひまわりが
さびしいかおでしたをむいた
いつもげんきなアリたちが
さびしそうにいえにかえった
あついなつのつぎ
あきがくる
ひまわりもアリたちも
あきのよういをはじめた
わたしもながそでをだしたり
あきいろのふくをだしたり
みんなとおなじあきのようい
ひまわりもアリもわたしも
みんなみんなあきがくるのをかんじてる
あきがくるのをたのしみにしている
コーヒーの味は哀しい味
なぜか病みつきになる苦い味
生きる辛さを知った時の味
人生の機微に響く味
飲めば飲むほど次第に好きになる
長い年月をかけて
生きる苦労と
人生の機微を味わう時に
ああ エスプレッソの苦さよ愛しい
家から職場へ向かう
途中の駅辺りで
仕事前のワンクッションとして
行きつけの喫茶店がある
座り心地の良い椅子に腰かけて
深煎りのモカなど啜りながら
ぼーっと
今日一日の予定など頭に浮かべる
コクのある挽きたてのモカは最高だな
気が付くともう行く時間だ
急がないと遅れる
後ろ髪を引かれつつ
去ってゆくいつもの喫茶店
「ごちそうさまでしたーっ」
コーヒーの味は哀しい味
苦い味なのになぜか病みつきになる
生きる辛さを知った時の味
人生の機微に響く味
舌先にまだ残るほろ苦さ
夕暮れ空を
「ゆうやけこやけ」の
鐘の音が流れてゆく
この鐘の音は
どこから来て
どこへ行くのか
鐘の音は
どこからも来ない
どこへも行かない
それは波であり
様々な
波長や強さや形を持った
空気の疎密を生じ
空を伝わり
やがて鎮まってゆく
「私」という意識もまた
とてつもなく
精緻で複雑ではあるが
やはり波であり
神経細胞の
細胞膜の内と外の
カリウムイオンと
ナトリウムイオンの
濃度差により生じる
膜電位の波であるから
どこからか来たのでも
どこかへと
去って行くのでもない
継起する
出逢いの接ぎ穂を伝わり
やがていつか
ただ鎮まってゆくのみ
実体を持たぬ
無我なるものは
不生不滅であり
不来不去であるという
それでもなお
私は魂を想う
波である
「ゆうやけこやけ」の旋律と
波である
「私」という意識とが
出逢う場に顕れる郷愁は
遠く離れた
時間と空間とを飛び越えて
懐かしい魂の故郷へと
私をいざなう
まるで永い間
忘れていたものを
思い出させるかのように
それは
不来不去の波という
理屈には
収まりきれぬ願い
寂しい鐘の音に染まりゆく
夕暮れ空のもと
行き交う人の波に
魂の行方を想う
どれだけ早く走れようと、はしたないことには変わりがない
空腹なのだ、充たされたいのだ
他人よりも早く食事にありつきたいのだ
だから走っている
一人で走っている
じきに訪れる招かれざる夜のために
孤高で淋しく過ごす老後のために
埃の積もった名前に報いるために
はしたないと自らを奮い立たせ
説き伏せ、暗示をかけ、獣として生を受けた時代を懐かしみ
そうして汗の雨を潜り抜ける
熱を帯びたアスファルトの僅かな窪み
沿道を飾るはメインディッシュの数々
今にも食べてくださいと云わんばかりに
ずらりと、やけに綺麗に並んでいる
いや並べられているのか
木の葉みたいな景色に姿を変え
皿に盛られることもなく
ああこんなに空腹なのに、私ときたら
もっと、はしたなくはなれないものか
浅ましく、意地汚くはなれないものか
ああ、今にも滲み出て来そうだ
破れそうなくらいに薄く心許ない膜という膜から
ぬるっとした下等な生き物が
飛び出て来そうだ、熱く重たい怪物が
喉の奥、腹の底、目を覚ましやがる
美しかったと過去形にされるのは、後日で十分だ
我々生き物っていうのはね
皆そういうふうに食べていくんだよ
知らんぷりで乾いてちゃいけないんだよ
今なら誰を食べても、綺麗に消化してしまうであろう
そして私も今此処で食べられたとしても
同じく消化されるであろう
栄養にするか、血肉にするか、それとも自分がそうなるか
ゴールのおぞましい姿を知ってしまったとしても
まだ終わりじゃない
また誰かの臓腑の中で、次のレースが始まってしまうのではないか
何故もっと早く走れなかったのか
何故先に食べておかなかったのか
はしたなく、ひたすらに、泣きながら、悔やみながら
喰らう、喰い散らかす、ご機嫌になって、食事を摂る
まだ逃げるか、それとも逃げられるか
走れるか、それにありつけるか
空腹だ
ただひたすらに、空腹で
吹き出る汗の雨を潜り抜け、煮えたぎる血の海を泳ぎ切り
もはや料理を手にした給仕の脇をすり抜け
白いクロスの予約席に向けて突進し
着席する以外に完走する術は
無い